たびびとの写真帳

*小さな旅の思い出写真集*

旅先・散歩中の心に残る写真が中心です。
旅の思い出・滝・風景・花の写真など。

鋸山頂上「地獄のぞき」(千葉県)

2020年02月17日 | 千葉県


 久しぶりに南房総富津市と鋸南町にまたがる鋸山(標高329.5m)へ向かった。房総で最高峰の山は愛宕山(408m)で、300mを超える22の山のうち鋸山の標高は18番目となっている。鋸山全体が8世紀から続く古刹日本寺の境内で、日本最大の石造の大仏、急斜面の長い断崖に並ぶ千五百羅漢像などがよく知られている。鋸山ははるか昔の室町時代から昭和57年(1982年)まで、質の高い「房州石」の産地として重要な役割を果たしてきた。見上げる稜線がまるで鋸の歯のように切り刻まれた姿になっていることから「鋸山」と名付けられたという。ロープウェイ頂上駅には古来使用されてきた石切りの用具や図面なども展示されている。

 
一枚目の写真は頂上脇にある「地獄のぞき」と呼ばれる目もくらむような展望スポットで、ここからの絶景を楽しみに訪れる人も多い。なぜこのような形に断崖が切り残されたのかはだれもが不思議に思う。実は、この絶壁から飛びだしたような展望スポットは、昔の石工さんたちの遊び心から残されたものだといわれている。下からじっと見上げると、どこにもこんなことは書き残されてはいないと思うが、何度もここを訪れている自分にはつきだした部分がまるで獣の顔のように見えてならない。鼻や口、顎までが意図的に彫刻されたかのように見える。おそらくこの上なく危険な作業の毎日で犠牲者も多かったと思われるが、この展望スポットを作る作業にしばし楽しみを見出したのではないかと想像できる。



 展望スポットから眼下に東京湾フェリーの発着港「浜金谷港」を見下ろすことができる。ちょうど対岸の神奈川県久里浜港から入港するフェリーボートが近づいてきた。


頂上からの南房総海岸線眺望。(右上方の島は安房勝山海岸の浮島)