藤森くんと芝居を見たのは、もう1つあったのを思い出した。
それは、鴻上 尚史の「朝日のような夕日をつれて」だった。
鴻上 尚史も、如月小春同様、当時の小劇場のブームを担う、「新人類」の1人だった。
インターネットで調べると、新宿・紀伊國屋ホールで、1985年2月2日~6日の公演である。
ということは、如月小春の「MORAL 2nd」より前に見に行ったことになる。
記憶というのは、いつもあいまいなものだ。
***
公演前、藤森くんと2人で、ロビーに佇んでいると、鴻上 尚史、そのものが居た。
「あれ!鴻上さんじゃないか!」と、自分は興奮しているのに、藤森くんは、「ああ、そうだね」と普通に言った記憶がある。
芝居というのは、そういうもので、余りそれくらいで興奮しちゃいけないんだ、そう自分を恥じたように思う。
如月小春は演出家ながら、芝居にも出るのに反して、鴻上さんは、あくまでも演出家に徹していた。
鴻上さんは、何気なく、身近にいるファンと語りながら、タバコを何気なく吸っていた。
***
鴻上さんは、当時、「オールナイトニッポン」をやっていた。
そして、それは、1985年3月で終わることになっていた。
思い出したが、如月小春さんの「MORAL 2nd」を、3月28日見終わった後、藤森くんに連れられて向かったのは、出版界の人々が夜な夜な集うというバーだった。
そこで、お酒をご馳走になり、酔いながら、サブカルチャーの研究をしているという美人の女性の大学教授と、生意気な会話をした記憶がある。
ありったけの自分の思い込みと、妄想じみた80年代のサブカルチャーについての生意気な会話を、彼女は、うるさいそのバーで、耳を傾けてくれたのを覚えておる。
かたちんば、18歳のキチガイ間際の、頭でっかちな、でも、感覚だけはやけに鋭い生意気神経症少年がそこには居た。
***
さんざん酔った上で、藤森くんの家に向かうことになった。
彼の家は、奥多摩の羽村(はむら)にあった。
最終の電車を乗り継ぎながら、羽村を降りると、藤森くんの運転する自転車の後ろに乗り、彼に掴まって、走った。
雨が降っていた。
雨は横殴りだった。
その中を、夜中の未知への道を、酔った2人は走った。
途中で、コースを誤って、草むらに突っ込んだ。
「いててて・・」
自転車は、転がり、2人は草むらになだれ込んだ。
再度、体勢を立て直して、彼の家に向かった。
彼の全速力の自転車は、また、再び、その速度を取り戻した。
家に着くと、すぐラジオを点けた。
というのも、この3月28日の放送が、鴻上さんの「オールナイトニッポン」の最終回だったからだった。
何とか無事、ラジオにたどり着き、最終回の放送を、2人で、もう後半に差し掛かっていたが、聴き、3:00の終了まで聞き終えた。
最後、鴻上さんは、「しあわせになってください」・・・。
そんなセリフをつぶやいたように思う。
***
・・・・そうして、かたちんばの高校生の生活は終わりを向かえた。
・・・・未来の見えない、新たな至難の時代に、自分は、突入していく、その前夜の嵐の夜だった。
それは、鴻上 尚史の「朝日のような夕日をつれて」だった。
鴻上 尚史も、如月小春同様、当時の小劇場のブームを担う、「新人類」の1人だった。
インターネットで調べると、新宿・紀伊國屋ホールで、1985年2月2日~6日の公演である。
ということは、如月小春の「MORAL 2nd」より前に見に行ったことになる。
記憶というのは、いつもあいまいなものだ。
***
公演前、藤森くんと2人で、ロビーに佇んでいると、鴻上 尚史、そのものが居た。
「あれ!鴻上さんじゃないか!」と、自分は興奮しているのに、藤森くんは、「ああ、そうだね」と普通に言った記憶がある。
芝居というのは、そういうもので、余りそれくらいで興奮しちゃいけないんだ、そう自分を恥じたように思う。
如月小春は演出家ながら、芝居にも出るのに反して、鴻上さんは、あくまでも演出家に徹していた。
鴻上さんは、何気なく、身近にいるファンと語りながら、タバコを何気なく吸っていた。
***
鴻上さんは、当時、「オールナイトニッポン」をやっていた。
そして、それは、1985年3月で終わることになっていた。
思い出したが、如月小春さんの「MORAL 2nd」を、3月28日見終わった後、藤森くんに連れられて向かったのは、出版界の人々が夜な夜な集うというバーだった。
そこで、お酒をご馳走になり、酔いながら、サブカルチャーの研究をしているという美人の女性の大学教授と、生意気な会話をした記憶がある。
ありったけの自分の思い込みと、妄想じみた80年代のサブカルチャーについての生意気な会話を、彼女は、うるさいそのバーで、耳を傾けてくれたのを覚えておる。
かたちんば、18歳のキチガイ間際の、頭でっかちな、でも、感覚だけはやけに鋭い生意気神経症少年がそこには居た。
***
さんざん酔った上で、藤森くんの家に向かうことになった。
彼の家は、奥多摩の羽村(はむら)にあった。
最終の電車を乗り継ぎながら、羽村を降りると、藤森くんの運転する自転車の後ろに乗り、彼に掴まって、走った。
雨が降っていた。
雨は横殴りだった。
その中を、夜中の未知への道を、酔った2人は走った。
途中で、コースを誤って、草むらに突っ込んだ。
「いててて・・」
自転車は、転がり、2人は草むらになだれ込んだ。
再度、体勢を立て直して、彼の家に向かった。
彼の全速力の自転車は、また、再び、その速度を取り戻した。
家に着くと、すぐラジオを点けた。
というのも、この3月28日の放送が、鴻上さんの「オールナイトニッポン」の最終回だったからだった。
何とか無事、ラジオにたどり着き、最終回の放送を、2人で、もう後半に差し掛かっていたが、聴き、3:00の終了まで聞き終えた。
最後、鴻上さんは、「しあわせになってください」・・・。
そんなセリフをつぶやいたように思う。
***
・・・・そうして、かたちんばの高校生の生活は終わりを向かえた。
・・・・未来の見えない、新たな至難の時代に、自分は、突入していく、その前夜の嵐の夜だった。