■師走のお買いもの■
この休みに街を歩く中、暗がりに灯るお店に吸い込まれる。
一つには来るべき冬の対策。閑散として人が少ないお店。
店内をぶらぶら見て回る中で、割引セール中という誘いもあり、あったかくつ下・黒のヒートテック肌着・スパッツを買う。
買い終わってお店を出ると、今度はお向かいのお店に寄ってみるか。。。
などと「見るだけ」入ったつもりは、一時間後、たんまりの荷物で外に出ることになった。
CD・本類などを除けば、ふだんほとんどモノを買わない自分。
資本主義の敵=商売人・消費者・この”クニ”の敵というのに。
それも師走の街の雰囲気に揺られたことがなすワザか?どうかは分からない。
袋の中には、画材(アクリルえのぐ・筆・丸型定規・ノリ)、それにA6サイズの日記帳兼スクラップ帳兼ミニノートといった風のもの、などなど。。。
別に無駄な浪費をした明細じゃないので良いはずなのだが、貧乏症なもので、少し多めの品目を一日で手にすると、気分はすぐ飽和状態になる。
■日記帳、スクラップ帳、そして何だかわからない帳へ■
この2年は、チラシの裏が白い紙をメモ用として、日記帳代わりにしている。
日記的なメモは数十年続けてきたが、よく年末年始に新しい年の新しい色とりどりの日記帳コーナーに胸躍らされ、買ってしまう人は多いだろう。
それをそのまま丹念に使い込めるマメな信念の持ち主なら、それで良いだろう。
しかし、私の場合、そんな売り場での胸躍る気持ちなど、すぐに覚めてしまう。
そうして正月気分のうちにも日記帳に書くことに行き詰まり、浮気してほかのモノに手を伸ばしたりしてしまう。元旦にていねいに書き込まれた文字は早々に型崩れし、次第に省略されて、はしおるようになる。
そんな自分の資質を分かってしまった”元・文房具マニア”は小中学生時代を経て、高校生以降は日記帳なるものは買わなくなる。
『ランダムノート』と位置付けた帳面を相手に、走り書きメモ・イラスト・いたずら描き・領収書・きっぷ・広告の切れ端・スクラップ等々。。。
ごった煮のような帳面が何冊も重なっていく。
まだ帳面で済めば良いのだが、「一冊を最後まで使わねばならない」というプレッシャーから、時期によっては、一枚一枚分解できる罫線入り用紙を使っていた。
そのばらんばらんの状態をまとめたこともあるし、あるときにはそのまま、どれが前後関係にあるのか?整理付かないまんま、結果袋に突っ込んで終わり、という時期のものもある。
他人が見たらただのゴミの山以上のものではない。
そうしてたどり着いたこの2年の裏紙メモ。
書いたものをA4のファイルに入れて綴じている。
かたやそのへんのゴミを貼り付けたスクラップも存在するのだが、どうも最近、そのどちらにもリアリティを感じない。
そろそろうずいているのが、両方を区分することもなくミックスしたい、それに周囲のものをひたすら貼ることにも疲れた。
散乱する紙類をほとんどを一回捨ててしまわねば、水の底は見えない、そんな感じがある。
ゴミ屋敷掃除をしたい。それも年末が来てしまう、もう師走上旬が終わってしまう。そんな焦りも確かにある。
まあ、それだけではないのだが、話すと余計にムダに長くなるのでやめる。
■吉田美奈子 「頬に夜の灯」1982■
いつか語ったはずのこの曲。
冬の夜の街を色とりどりの電飾がかざる中歩いていると、この曲が脳に浮かんでくる。
FM東京の深夜3時「マイ・サウンド・グラフィティ」で出会った『ライトゥン・アップ』。エアチェックしたこのカセットテープを毎夜聴いていた少年の記憶を、どうしても忘れられないのだ。
A面始まりのタイトル曲「ライトゥン・アップ」。アップテンポのシティポップスのあと、2曲目として続く「頬に夜の灯」。
ゆるやかに始まり、酔うようにたゆたう美奈子さんの歌・メロディ・歌詞に眼を輝かせ、いくたびも心を温めてもらった想い出の一曲。
夜な夜な聴いていたラジオ日本・大貫憲章さん&今泉恵子さんのエンディングテーマ曲だった「夢で逢えたら」。この大瀧詠一さん作曲の吉田美奈子さんの歌も素敵だが、自分が想い入れ強いのは、この「頬に夜の灯」。
1980年カセットテープ・マクセルのキャンペーン・チラシに並んだ3人。
吉田美奈子・ラジ・大貫妙子のモノクロームの写真。
この3人の音楽は”はやりもの”ではないので、未だに色あせることを知らない。
セックスも女も好きだが、冬のイルミネーションもクリスマスも、セックスへ導くツール(道具)・目的のモノだけでは決して”無い”。
この愛する一曲を、この季節のお歳暮の替わりとして、愛する人や生き物たちに贈りたい。
『灯ともし頃ならば 街もはなやいで
急ぐ足を止める 夜に飾られて
すれちがう人色とりどり 輝く灯に頬を染めたら
一番好きなあなたの為 わずかだけど愛をおくろう
灯ともし頃なら 少しはにかんだ
うつむきかげんでも恋はかなうはず
弧を描く 星達のまたたきが終わらぬうちに
時をそのまま止められたらなんて素敵
あなたの為に 恋をかなえる夜の街に頬を染めて 愛をおくろう』(吉田美奈子 「頬に夜の灯」)