二胡は量産によって作られています。
そのほとんどの工程は、機械の力によるものです。
それも昔のように(30年前?40年前?)一つの工場でまとめて作られていないものも多いのです。
木軸専門・胴専門・棹専門。
たとえ同じ工場内だとしても、それぞれの専門の人がいて、
最後にそれらをまとめて、アセンブルしています・
その点ではヴァイオリンなども同じことが言えるかもしれません。
ハンドメイドで作っている作家といわれる人が、黒檀の指板やテールピースや
あるいはペグ(木軸)を仕入れて、、、、
中には、可也大切な部品である、ネックでさえ、量産のものを仕入れてという方もいます。
以前にも書きましたが、二胡の場合、ハンドメイドの楽器の時代、
そうですね今から50年くらい前でしょうか、紫檀黒檀を使わず、
桑の木や楓、あるいは、花梨などまだ手の技術で何とかできるくらいの硬さのもの、
それらで作られていた時代には、一台の二胡を一人の職人さんが作り上げていたという事はあったと思います。
もちろん、それ以前にも、硬い黒檀や、手違い紫檀などでも作られているものもあります。
出来ないことではないのです。
ただ刃物の研ぎや、砥石の扱いなど、本当に、時間をかけて鍛えてきた職人といわれる人でないとできないことでしょう。
二胡という一つの楽器にもたくさんの技術が使われます。
機械加工
製材 木のどの部分を柾目板目どちらの方向でとるか、あるいは心材偏材の製材の仕方、
乾燥・乾燥のさせ方によって水分の抜け方も変わり、色も変わります。
部材に削る・この時の削り方で木の動きが変わります。
胴の接ぎ。下処理の仕方によっては後々接ぎがはがれやすくなります。
棹の曲面の加工。
旋盤。木軸を造ります。
皮張り。
大きく言ってもこれだけ違う種類の、職種があります。
これらはみな分業でなされて、それぞれの専門が仕事として成り立っています。
それなりに一人前になるには、数年~10年以上かかります。
ここで一つの問題が発生します。
楽器として、出来上がってから、木の動きや扱いのまずさから、楽器に不具合が生じた時。
それを修理しなければいけないとして、これらのどこの部分の不具合化によっては持って行く場所が分からないのです。
もちろん購入した楽器屋さんへ皆さんは持って行かれるでしょう。
でもその時に対応してくれないのが日本の二胡の業界なのです。
最近では楽器屋さんでも修理をしますよというところも増えてきています。
でもその実態は、中国へ送り返すか、あるいはその関係者の中で職人を探すかという事になります。
しかしこれらを全部やれる職人というのはほとんどいませんね。
以前はいたのです。
それは、中国屋楽器店のショウホウさんでした。(3年前に他界されました)
彼は日本で二胡屋を始める前に、数年二胡工房でこれらの技術を一通り教わり、
そして修復技術も身に付けたようです、ですから皮張りもできました。
皮張りだけで1年かけたそうです。
ところがいま、修理をやっているという人に聞くと、
「2週間もかけて全部教わった!」と、、、
え!2週間で?
この人は天才なのかと思いました。
しかし、二胡の救急箱を見て、これは教わったほうが良いと考えたようでその姿勢は良しと思いました。
「では、3,4年、私の工房へ勤めてください」
「時間は?」
「8時間ですよそれも毎日」
「いえいえ。そこまでしなくとも、頭取れのコツや、棹の曲がり直しや、胴割れの治しくらいを、、、」
「いえいえ、毎日、です、まずは製材から、刃物研ぎに最低でも一年はかかりますし、皮張りも、1年季節による違いを知ってもらわないと」
2週間やっただけで二胡の修理はできるのですね。
いいですね、
話は少し変わりますが、私はヴァイオリンの調整や修理はやりません。
出来ないからです。
まだヴァイオリンは5年くらいきり作っていません。
それもほんの20台くらい。
作れても直せないし、調整などとんでもないです。それが本音です。
修理は総合力ですから。
現在でも二胡の修理というのは、毎回ひやひやします。
形は治っても、音はどうなのか、
とくに胴割れの直しは怖いです。
皆さん、二胡の胴の内部を削ってみてください。
内部を200番くらいの紙やすりで削っただけでも、その部分によってはとんでもなく音は変わるのです。
ボンドにしても、付けすぎればmならなくなりますし、特に花窓のある当たりの削りなど、
例えボンドを取るために刃物を入れるにしても、怖いのです。
でも、この怖さがあるうちは、ダイジョブと、自分を励ましています。