二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

二胡修理

2012-09-06 09:49:12 | ■工房便り 総合 

パガニーニは、自分の楽器の表板がはがれてきてしまって修理してもらう時に、
自宅へ修理屋さんを呼んで、自分の目の前で直すように要求したと言います。

今まで光舜堂は、ご来店の方以外には、修理というのを受付けていませんでした。

理由は、運送上の問題。

直し方のお互いの確認の問題。

主にこの二つのことが理由でした。

運送上の問題というのは、勿論運走している間での何らかの衝撃によって頭が取れてしまうというのがあるからです。

二胡の頭というのは皆さんご存知のように大変に破損しやすい物です。

或いは、木軸が抜けてしまったりして千斤が緩んだりし、調整がダメになってしまうことも有ります。

これは、運送会社と保険の取り決めをすれば金額的には解決しそうです。

それにしても、お客様も届いたケースを開けたら頭が取れていたなどということが有れば、何をやっているのだ光舜堂は! ということになります。

この文章読んでいる限りにはそれは仕方ないねと、思われる方も多々いらっしゃるとは思うのですが、

御自分の二胡であったとして考えてみて下さい。

決して、仕方ないねとは思わないものです。私もそうですから。

折角信頼してご自分の二胡を預けたのに、壊して戻されたと、極端に言えばそのように思われる方もいらっしゃるでしょう。

今までそれはいた仕方なく、光舜堂が自腹を切って直していましたが、壊れたということは消えません。

それと信頼というのが崩れてしまいます。

また、修理の際、千斤や駒を外してしまうことも有ります。

そうするといくら木部の修理だけと言っても、再調整をすることになります。

胴の傷を治しても、木軸を削って綺麗に合わせたとしても、音は変わります。

本来ならば、修理した後の方が良い鳴りをするのですが、お客様は、いままで、どこかしら傷んでいた状態での音に慣れていますから、音を変えられてしまったと思われる方もいらっしゃいます。

人の慣れと思いこみというのは、もの凄く強いものです。

人はみたい物を見るだけですし聞きたいと思うことだけを聞くものです。

これが人の価値観を作るのですから当たり前なのです。

単なる調整でも、鳴りは良くなったけど今までの音と違う、と言われる方も多くいらっしゃいます。

この事は二胡だけではありません。

友人のバイオリン作りや修理屋は皆この問題に頭を抱えています。

演奏者は、必ずしも、自分の弾いた音を、周りが聞いているように聴いているわけでは無く自分の頭の中に音を作り上げていますから。

ましてや音は、一瞬で消えます。残るのは、身体に響く音と頭の中に残る音の記憶でしかありません。

私の楽器はこんな音のはずではなかった。

修理したのだから、ストラデバリウスのように鳴るべきだろう

などなど。。。

楽器のその修理と調整ということの最大の問題なのです。


これは反対の意味で私も思うのです。

ですから出来る限り、目の前でお客様に弾いていただいて、私も弾いて、お互いに確認したうえで、調整なり、修理なりの方法を話し合います。

それでさえ、多分、多分ですよ、全てのお客様が100%ご満足していただいていると言うわけでは無いと、思っています。

以前いらした、お客様に、頭が取れたのを全く分からないようにして欲しいと言われ、これはお断りしました。

元々が、違う木を接着している物ですから、元から多少違いが有ったはずなのですが、頭が取れて初めてその部分をよく見たのだと思います。

すると多少木目の違いや、色の違いが有ります。

ましてや、中国製のものには、色を付けて木の色を変えてある物も沢山有ります。

私は仮り付けをしてこのように違いますよと確認をしますが、お客様はこの木の色が違うからと言われることも有ります。

もちろん出来うる限り綺麗には直します、隣の人から見れば、直したところが判らないくらいにはなります。

しかし、意識してみればそこに接いだ後は分かります。

それは元々違いますよと言っても、御納得頂けません。

このようなことも有ります。

これらの、修理以外の人様との信頼関係などということをかいくぐって、修理屋は仕事をせざるを得ません。

ですから、私の方針は、なるべくお客様の顔を見て楽器を弾いてもらって、その上で話し合って、修理調整するという方針で来たのです。

が、ここへきて、特に皮の張り替えなどのご要望が大変多くなってきています。

考えたのは、ご紹介者が居て、西野なら、安心して任せられるよと紹介された場合、修理や皮の張り替えというのは引き受けても良いかなと思います。

御理解いただきたいのは、皮を張り替えれば、弾きこんで1年ぐらいするまでは元の音色にはならない事。

胴を直した時には、新しい音色になるということ、今までご自分の聞いていたご自分の二胡の音とは音色や響きが変わるということです。


よく、皮を張りかえても元の音色になるという方もいらっしゃいますが、これは、ウソです。

当然でしょう、皮が違うのですから全く同じ皮というのはあり得ません。

皮を変えるというのは新しい楽器になるのだというぐらいに考えていただいた方が良いと思います。

但し、まるきりの新品より、鳴り始めるのは早く、半年ぐらいで良い音色にはなります。

また、木の持っている音色は変わりませんから、基本的な音色というのは変わりません。

このような事ども、ご理解していただいて、ご紹介者がある場合、遠方からの、皮の張り替え等お引き受けしても良いかなと、少し考えを変えることにしました。

調整だけというのはお引き受けいたしかねます。

理由は、先ほどの運送上の問題で、調整した物がずれたりというのもあるからです。

また、二胡は調整の仕方でどのようにでも音色も変わりますし、また雑音なども無くなったりもしますが、その折角の調整がずれたりもします。

調整をお望みの方は、大変鋭敏な感覚をお持ちなのでしょう、皆さん独特の音色の好みというのが有りますのでこれだけは、目の前で話し合いながらやるべき事と思います。

但し修理や、皮の張り替えというのは、緊急事態です、二胡の楽器としての根本的な問題です。

また、大都市圏以外では二胡を直すところも非常に少ないと思います。

ですから、私も少しはお手伝いできるかと思います。

私の場合は楽器としての二胡の修理です。

単に、壊れたところを直すということではありません。

特に胴や棹は、楽器としての役割が大きいですから。

修理代も決して安いわけではありません(HPを見て下さい)
http://www.ko-shun-do.jp/clinic.htm

もっと安く直しますというところも、ネット上では見受けます。

また、修理をすると、どうしても千斤や駒など調整が発生します。

私の調整というのは、楽器を最大限鳴らしその音色を引き出すという方針です。

如何にも伝統的な二胡の音色に聞こえるかなという調整ではありません。

その事はご承知願いたいのです。

ご紹介は、今まで光舜堂で何らかの修理や調整をした方で、西野なら任せても大丈夫と考えておられる方、

そして光舜洞会員。

或いは、今までにお会いして、西野なら大丈夫と考えていてくれる方とさせていただきます。



やり方は、送っていただく前にご紹介者からと、ご本人様からとメールをいただくこと。

そして、ご本人様から、修理内容などをご連絡いただきます。

修理部分の写真が有れば一番良いです。

無い場合は、お電話いただいて、修理内容など話し合ってから、送っていただきます。

送り方はその時に、楽器の梱包の方法なども、お知らせいたします。

この段階で大体の費用を決めます。

送っていただいて、受け取り次第、中身を改め楽器の状態を確認して、お客様に連絡します。

この時に本格的に費用が決まります。

特別な値段というものは考えていません。HP の修理の費用が基準となります。

修理の日数などお知らせして、出来上がり次第連絡し、楽器を送ります。

費用は、代引きとさせていただきます。

楽器は皆さん「ウチの胡」という位に可愛がっている物です。

その大切な物をお預かりするのですから慎重な上でも慎重を期したいと考えております。

いかがでしょうか。
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