強い言葉で申し訳ないです。
しかし注意してくださいというより絶対!!やらないでください!ということなのです。
先日、あるお客さまから、胴割れを直してほしいとの問い合わせがありまして、画像を送ってもらいました。
その画像を見て私はお断りせざるを得ませんでした。
その画像には明らかにどなたかがゴム系のボンドで直した跡が見えたからです。
二胡の頭の取れたのや胴の割れたのを直す時に、ゴム系のボンドを使わないでください。
このゴム系のボンドは広い面積を接着するための物です。
例えばべニア板の面と面などです。
二胡の頭などの補修に使うという方もいらっしゃいましたが、このゴム系のボンド平らな面でしたらかなり付きは良いのですが、それも相当薄くつけてです。
ヘラなどで、両面にこそげとるようにしてボンドを塗れればまだよくつきます。
しかし以前についていた膠などをしっかり取り除いて真っ平らな面にしないと後々動いてきてしまい、取れてしまいます。
また胴の割れには絶対!付けないでください。
二胡の胴は皮が張ってあります、その皮が相当な力で引っ張ってありますから、このゴム系のボンドでは胴の割れを元に戻すことができません。
そして何より、一度塗ってしまったこのゴム系のボンドは、木目に食い込むとほぼ落としきれません、よほどアセトンなどでブラシで洗いだしたりすれば取れないこともありませんが、それにはブラシが胴の割れに入らなければいけませんが、あの狭い間には入りません。
また少しでもこのゴム系のボンドが付いているとその上にはほかのボンドが乗りません。
それに何より、胴全体が振動して鳴る二胡ですから、ゴム系のボンドは柔らかくて音が伝わりにくいのです。
ですので、もしご自身で胴の割れを直そうとするなら、瞬間接着剤か、あるいはタイトボンドをお勧めします。
そして、圧着できることが条件です。
そして何より、以前付いていた膠なりボンドをせめて表面だけでも取り除いてください。木目の中に食い込んでいるのを取るのはとても難しいです。
もし皆さんがゴム系のボンドで胴の割れを補修して再度割れた場合、私は皮の張替えまで考えていただかざるを得ないです。それ以外にはお引き受けいたしかねます。元の良い二胡の音には戻らないからです。
皮を外しさえすれば、ゴム系のボンドでも取ることはできます。
それから、胴が割れた場合、なるべく速やかに直してください。
胴が割れるというのは何らかの形で胴の木が動いているからです、もちろん膠の劣化もあるでしょうが。
そして胴の木は接着が剥がれるとそれぞれ勝手に動いてしまい、最初に作り上げた平らな面が歪んでしまい、接着しにくくなります。
胴の割れはなるべくならプロにお任せください。気がついたらなるべく早く。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ