一日一条ずつの日本国憲法の解説と、自民党改憲案の問題点の考察。
28日は、28条。
28条は、労働基本権(団結権、団体交渉権、団体行動権・争議権の労働三権)を保障しています。
団結権:労働者の団体を組織する権利(労働組合結成権)であり、労働者を団結させて使用者の地位と対等に立たせるための権利。
団体交渉権:労働者の団体が使用者と労働条件について交渉する権利。交渉の結果、締結されるのが労働協約(労働組合法14条)
団体行動権:労働者の団体が労働条件の実現を図るため団体行動(争議行為)を行う権利。
公務員の労働基本権は、現行法上、以下の制限がなされている。
1)警察職員、消防職員、自衛隊員、海上保安庁または刑事施設に勤務する職員
団結権×、団体交渉権×、団体行動権×
2)非現業の一般の公務員
団結権○、団体交渉権×、団体行動権×
3)現業の公務員
団結権○、団体交渉権○、団体行動権×
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日本国憲法
第二十八条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
自民党案
(勤労者の団結権等)
第二十八条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、保障する。
2 公務員については、全体の奉仕者であることに鑑み、法律の定めるところにより、前項に規定する権利の全部又は一部を制限することができる。この場合においては、公務員の勤労条件を改善するため、必要な措置が講じられなければならない。〔新設〕
******************
自民党案は、公務員の労働基本権の制限を規定する条項を2項として、新設しています。
「公務員の勤労条件を改善するため、必要な措置」として人事院勧告があり、人事院勧告については、全農林警職法事件の最高裁判決で、岸・天野追加補足意見が、勧告が機能しない場合には、その回復を求める争議は合憲であることをのべていることが有名です。
*****全農林警職法事件(昭和48・4・25) 抜粋************
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319115747561765.pdf
わが国で、公務員の争議行為の禁止
について論議されるとき、代償措置の存在がとかく軽視されがちであると思われる のであるが、この代償措置こそは、争議行為を禁止されている公務員の利益を国家 的に保障しようとする現実的な制度であり、公務員の争議行為の禁止が違憲とされ ないための強力な支柱なのであるから、それが十分にその保障機能を発揮しうるも のでなければならず、また、そのような運用がはかられなければならないのである。 したがつて、当局側においては、この制度が存在するからといつて、安易に公務員 の争議行為の禁止という制約に安住すべきでないことは、いうまでもなく、もし仮 りにその代償措置が迅速公平にその本来の機能をはたさず実際上画餅にひとしいと みられる事態が生じた場合には、公務員がこの制度の正常な運用を要求して相当と 認められる範囲を逸脱しない手段態様で争議行為にでたとしても、それは、憲法上 保障された争議行為であるというべきであるから、そのような争議行為をしたこと だけの理由からは、いかなる制裁、不利益をうける筋合いのものではなく、また、 そのような争議行為をあおる等の行為をしたからといつて、その行為者に国公法一 一〇条一項一七号を適用してこれを処罰することは、憲法二八条に違反するものと いわなければならない。
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自民党案第二項は、このような条文を新設しなくとも現状公務員の争議行為の制限はなしえているため、真に必要な条文であるかどうかは、議論が必要です。
公務員の皆様、いかがお考えでしょうか。
28日は、28条。
28条は、労働基本権(団結権、団体交渉権、団体行動権・争議権の労働三権)を保障しています。
団結権:労働者の団体を組織する権利(労働組合結成権)であり、労働者を団結させて使用者の地位と対等に立たせるための権利。
団体交渉権:労働者の団体が使用者と労働条件について交渉する権利。交渉の結果、締結されるのが労働協約(労働組合法14条)
団体行動権:労働者の団体が労働条件の実現を図るため団体行動(争議行為)を行う権利。
公務員の労働基本権は、現行法上、以下の制限がなされている。
1)警察職員、消防職員、自衛隊員、海上保安庁または刑事施設に勤務する職員
団結権×、団体交渉権×、団体行動権×
2)非現業の一般の公務員
団結権○、団体交渉権×、団体行動権×
3)現業の公務員
団結権○、団体交渉権○、団体行動権×
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日本国憲法
第二十八条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
自民党案
(勤労者の団結権等)
第二十八条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、保障する。
2 公務員については、全体の奉仕者であることに鑑み、法律の定めるところにより、前項に規定する権利の全部又は一部を制限することができる。この場合においては、公務員の勤労条件を改善するため、必要な措置が講じられなければならない。〔新設〕
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自民党案は、公務員の労働基本権の制限を規定する条項を2項として、新設しています。
「公務員の勤労条件を改善するため、必要な措置」として人事院勧告があり、人事院勧告については、全農林警職法事件の最高裁判決で、岸・天野追加補足意見が、勧告が機能しない場合には、その回復を求める争議は合憲であることをのべていることが有名です。
*****全農林警職法事件(昭和48・4・25) 抜粋************
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319115747561765.pdf
わが国で、公務員の争議行為の禁止
について論議されるとき、代償措置の存在がとかく軽視されがちであると思われる のであるが、この代償措置こそは、争議行為を禁止されている公務員の利益を国家 的に保障しようとする現実的な制度であり、公務員の争議行為の禁止が違憲とされ ないための強力な支柱なのであるから、それが十分にその保障機能を発揮しうるも のでなければならず、また、そのような運用がはかられなければならないのである。 したがつて、当局側においては、この制度が存在するからといつて、安易に公務員 の争議行為の禁止という制約に安住すべきでないことは、いうまでもなく、もし仮 りにその代償措置が迅速公平にその本来の機能をはたさず実際上画餅にひとしいと みられる事態が生じた場合には、公務員がこの制度の正常な運用を要求して相当と 認められる範囲を逸脱しない手段態様で争議行為にでたとしても、それは、憲法上 保障された争議行為であるというべきであるから、そのような争議行為をしたこと だけの理由からは、いかなる制裁、不利益をうける筋合いのものではなく、また、 そのような争議行為をあおる等の行為をしたからといつて、その行為者に国公法一 一〇条一項一七号を適用してこれを処罰することは、憲法二八条に違反するものと いわなければならない。
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自民党案第二項は、このような条文を新設しなくとも現状公務員の争議行為の制限はなしえているため、真に必要な条文であるかどうかは、議論が必要です。
公務員の皆様、いかがお考えでしょうか。