まちづくりの勉強会で、日本橋横山町・馬喰町問屋街地区が取り上げられていました。
街の課題を、うまく土地・建物を利用しやすくし、そこにクリエーターが入居してきて、街が面白く活性化していこうとしています。
解決に向けるべく課題、①地域固有の産業の衰退、②建物の老朽化、③商いの伝統の喪失に直面した中での取り組みです。
中央区のほうでも、課題解決に向けて、まちづくり部門、商工観光部門の密な連携もまた必要です。
日本橋問屋街活性化事業、日本橋問屋街街づくりビジョンなどもフォローして参ります。
2022年度グッドデザイン賞を『問屋街の遊休不動産を活用した街の再生手法[日本橋問屋街STURT(スタート)]』で受賞されているのも驚きです。
注目していきたいと考えています。
*******参考URL*************
●さんかく問屋街アップロード
http://sankaku-tonya.tokyo
● 日本橋横山町・馬喰町エリア参画推進プログラム
(通称:さんかくプログラム)
https://sankaku-nihonbashi.com/
●+PLUS LOBBY 日本橋問屋街 Facebook
https://www.facebook.com/pluslobby/
●日本橋問屋街デザイン協議会
https://www.city.chuo.lg.jp/a0041/machizukuri/toshikeikaku/machi/design/nihonnbashi_tonyagai.html
●【URのまちづくり最前線 第20回】日本橋横山町・馬喰町問屋街地区土地有効利用事業(東京都中央区)
https://www.ur-net.go.jp/aboutus/publication/web-urpress66/town_saizensen.html
●YYパーク(中央区問屋街産業支援施設)
https://www.city.chuo.lg.jp/a0016/shigoto/kigyoushien/yypark.html
******勉強会 主催者 海老塚良吉氏によるまとめ******
25日(火)18時30分から渋谷の八雲クラブで比較住宅都市研究会を開催して、日本橋問屋街STURT(スタート)による段階的エリア再生について、坪田 華氏(都市再生機構東日本都市再生本部 都心業務部事業推進第3課)にお話しいただきました。開催要旨:東京都中央区日本橋に位置し歴史ある繊維問屋街である日本橋問屋街エリアで増える遊休不動産をURが買い支え、問屋の旦那衆がつくったビジョンに沿って新たな参画者を招き入れながら問屋街をアップサイクルさせる取り組みを行っている。グランドレベルの店舗の連続性というハード特性を活かした新たな用途と接点を増やすデザインなどが評価されて2022年度グッドデザイン賞を受賞している。
「私は東京大学工学部都市工学科卒業後、都市再生機入社して25年、神奈川を中心に団地再生、再開発事業を担当。STURTのプロデューサーを務めた。
日本橋繊維問屋街は、中央区の北にあり台東区と墨田区に隣接している。東京駅から2m圏内でJRと都営の3線の駅に近接し、成田空港に良好なアクセスのためにホテルが立地している。繊維問屋の売り上げは12年間で3分の1になり、ホテルや住宅への建て替えが進行している。間口が狭く階段などの縦動線が奥にあるため、上層へは施設内を経由せざる得ない。
URはまちづくりのプロデューサとして 、また、不動産の買い支えの2つの役割を担い、取組を推進してきた。当地区の街づくりをソフト面から加速させるため、問屋街の若手やUR取得物件のプレイヤー、当地区に興味を持つク リエイターとまちづくりネットワSTURを令和2年度に立上げた。運営は鎌倉のエンジョイワークス。
URはこの地区で6物件を取得した。1号物件は、問屋街の中心である公共駐車場に隣接する更地。日本橋問屋街に積極的に関わる人を増やすため、更地にテントを整備し、暫定的な交流空間としてまちづくり活動の拠点「+PLUSLOBBY」を運営。「面白がる会」や「問屋街交流会」、「いっぴん市」等のイベントを定期的に実施中。唐品知浩氏に無給で取り組んでもらっている。公租公課は地元に負担してもらっている。
2号物件はまちの典型的な建物である 短冊敷地で、EV無し物件の活用。運営事業者の冨川 浩史氏が自ら設計改修し、上階倉庫を設計事務所にしている。1階はイベント時には街に開放できる作りで展示スペースになる。
3号物件は、装飾問屋だった旧耐震建物をURが取得。元所有者の想いが詰まった建物を運営事業者により耐震改修・内装改装を実施し外観の雰囲気を残したま、1階を日替わりカフェ+シーシャ(水煙草)バー、 2~4階をシェアSOHOとして活用。運営事業者は勝亦丸山建築計画で富士市と東京を中心に活動する若い建築家の2人で富士市の商店街にあるマル イチビルの旧耐震物件の改修・運営や富士市中心街地の老朽化した遊休不動産の活用・再生可能性検討プロジェクトを行ってきた。
4号物件は、うつわを軸としたコミュニティビルで、地域の事業者と地域を利用する人々、全国の作り手とまちの問屋、日本とグローバル、それらをつながることを目指す。1階はスイーツ&バルがオープン。運営事業者はCulture Generation Japanの堀田氏で、国内唯一の和食器サブスクリプション(定期額レタル)サービスを中心に、香港での店舗運営(地元企業とJV)、 中国への卸売を展開 。次世代にジャパンブラドの価値を紡ぐ人が集い学びあう場を運営。
5号物件は、令和 2年度にUR が約150㎡の底地の取得。10 年間の事業用定期借地でみどり荘 (民間事業者)が建物の取得・活用を行う。令和 3年みどり荘が 建物改修し、クリエータ等が集う シェアオフィスとして活用開始。 1階にはカフェ、 sight site_studdio(不要となった衣類をアップサイクルするスタジオ)併設。
6号物件は、令和 2年度にUR が261㎡の土地の取得。翌年、活用事業者(株式会社エイチツー・ファクトリ)が決定。13年間の事業用定期借地権設契約を締結。令和 4年度 鉄骨造地上5階の建築物を予定。用途は1階に飲食(カフェ)、 2~5階をコワーキングスペース及び事務所(自社含む)とする予定。
継続的に街に新たなプレーヤーを招き入れるためのさんかくプログラム。町の魅力が高まり、地域経済が回復する。取得物件を活用しプレーヤー(まちづくり参画者)を誘致。問屋、プレーヤー等の繋がりが誘発されて、コロナ過でも順調に進捗。地元の物件活用意欲の促進を図る。WEBサイトでプレーヤーを募集、イベントや見学会の実施。問屋の方々と共同でいっぴんいちを2021年度から開催、約30者の出店者が自信のある逸品を小売りで販売。」
質疑討論では、住宅建設ではURは大きな土地しか購入できなかったが、土地有効事業ではこのような小規模な土地取得することができ、他にも東池袋の密集事業などで行われている、小規模な取得用地をまとめて再開発するのではなく、バラバラのままで地域をこのように更新していくこともできる、URの役割として社会賃貸住宅の供給以外に地方再生や新たな都市の課題なども担っている、クリエーターは地域の特性に合わせ古いビルのおもしろい使い方を見出す、横浜でも古いビルのオーナーが芸術家に建物を貸して活用している、問屋街のオーナーはまちづくりに協力的で事業がしやすい、13年間の短期の寿命の建物を建設するのは環境問題からはどうか、URの組織全体としては環境問題に取り組んでいる、リノベーションまちづくりに取り組んでいる清水氏の原点となった街などが議論されました。