憲法前期試験の一部(100点中配点20点)、択一の問題。
実は、配点80点の記述問題が、とても面白い問題が出されました。
いつかご紹介できればと思っています。
参考までに。
*****憲法1*****
憲法1 短答式問題
①「憲法に規定される諸権利は、憲法によって創設され、人民に与えられる」という立場
に立った場合でも、憲法にそれまで規定されていなかった「新しい人権」を観念すること
は可能である。(× → 芦部pp.80-81)
②「人権は、内在的制約のみに服する」という考え方は、「人権の不可侵性」とは両立しな
い。(× → 芦部p.81)
③基本的人権を「憲法以前に成立していると考えられる権利を憲法が実定的な法的権利と
して確認したもの」と捉えた場合、日本国憲法が保障する権利は、すべてが基本的人権と
は言えない。(○ → 芦部p.82)
④参政権は、国民の国政に参加する権利であり、「国家による自由」とも言われる。(× →
芦部p.84)
⑤「表現の自由」は自由権に分類され、そこから受益権的な性質の権利を導き出すことは
できない。(× → 芦部p.85)
⑥社会権は、憲法の規定だけを根拠として権利の実現を裁判所に請求することのできる具
体的権利ではないので、立法によって具体化されない限り社会権が裁判で問題になること
はない。(× → 芦部pp.84-85)
⑦「大学の自治」は、学問の自由を保障するための制度的保障であり、その具体的内容に
は、「人事の自治」と「施設・学生の管理の自治」が含まれる。(○ → 芦部p.86/p.167)
⑧外国人の人権享有主体性を認める根拠として、「人権の前国家的・前憲法的な性格」や「国
際協調主義」を挙げることができる。(○ → 芦部p.92)
⑨わが国最高裁判所の判例によれば、外国人は憲法15 条にいう「国民」には当たらない
が、憲法93 条2 項にいう「住民」には該当する、とされる。(× → 最判H7.2.28)
⑩法人の人権享有主体性が認められる根拠として、「法人の活動が自然人を通じて行われ、
その効果は究極的に自然人に帰属すること」や、「法人が現代社会において一個の社会的実
体として重要な活動を行っていること」などを挙げることができる。(○ → 芦部p.89)
⑪日本国憲法が規定する「公共の福祉」の法的意味について、「一元的内在制約説」に立っ
た場合には、「二重の基準」論とは両立しない。(× → 芦部pp.100-101)
⑫わが国最高裁判所の判例によれば、公務員の政治活動禁止違反に刑事罰を設けることは、
表現の自由に対する必要最小限度を超える制限となり憲法に違反する、とされる。(× →
最大判S49.11.6)
⑬わが国最高裁判所の判例によれば、速度違反車両の自動撮影を行う自動速度監視装置に
よる運転者の容ぼうの写真撮影は、現に犯罪が行われている場合になされ、緊急に証拠保
全する必要性があり、その方法も一般的に許容される限度のものであるから、肖像権・プ
ライバシー権等を侵害しない、とされる。(○ → 芦部p.119/最判S61.2.14)
⑭20 世紀の社会福祉国家においては、社会的・経済的弱者に対して、より厚く保護を与え、
それによって他の国民と同等の自由と生存を保障していく、という実質的平等の観念が要
請される。憲法14 条はこれを請けて、実質的平等を実現する国の義務を規定しており、
憲法14 条を根拠に、現実の経済的不平等の是正を国に請求する権利が認められる。(× →
芦部p.127)
⑮最大判S48.4.4 は、尊属に対する殺人罪について刑罰を加重する改正前刑法200 条を、
憲法に違反すると判示している。この判例の立場に立てば必然的に、尊属に対する傷害致
死罪について刑罰を加重する改正前刑法205 条2 項も憲法違反ということになる。(× →
最判S49.9.26)
⑯わが国最高裁判所の判例によれば、謝罪広告の中には、これを強制することが債務者の
人格を無視し著しくその名誉を棄損し意思決定の自由乃至良心の自由を不当に制限するこ
ととなるものもある、とされる。(○ → 芦部p.149/最大判S31.7.4)
⑰わが国最高裁判所の判例によれば、公の財産の利用提供行為が憲法89 条ひいては20 条
1 項に反するのは、それが信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当
とされる限度を超える場合であり、その判断は当該宗教施設の性格、当該土地が無償で当
該施設の敷地としての用に供されるに至った経緯、当該無償提供の態様、これらに対する
一般人の評価等、諸般の事情を考慮し、社会通念に照らして総合的に行うべきである、と
される。(○ → 芦部p .161/最大判H22.1.20)
⑱知る権利は、個人がさまざまな事実や意見を知ることによって政治に有効に参加するこ
とができることから、参政権的な役割をも演じることがある。このことから、知る権利に
は、国民が積極的に政府情報等の公開を要求することのできる具体的請求権も含まれる。
(× → 芦部p.171)
⑲わが国最高裁判所の判例によれば、憲法21 条2 項にいう「検閲」とは、公権力が主体
となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的として、
対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査した上、不適
当と認めるものの発表を禁止することを、その特質として備えるものを指す、とされ、税
関検査は、国外において既に発表済みのものを対象とする点、思想内容等それ自体を網羅
的に審査し規制することを目的とするものではない点、検査の主体である税関は、特に思
想内容等を対象としてこれを規制することを独自の使命とする機関ではない点、税関長の
判断に司法審査の機会が与えられている点において、検閲には当たらない、とされる。(×
→ 最大判S59.12.12)
⑳わが国最高裁判所の判例によれば、公安条例において集団示威運動の一般的許可制が定
められていたとしても、許可基準が明確である限りは憲法に違反しない、とされる。(× →
最大判S29.11.24
*****憲法2******
憲法2 短答式問題
①憲法22 条が、とくに「公共の福祉に反しない限り」という留保をつけているのは、公
権力による規制の要請が強いという趣旨を示したものであるが、それは、職業は性質上、
社会的相互関連性が大きいので、無制限な職業活動を許すと、社会生活に不可欠な公共の
安全と秩序の維持を脅かす事態が生じるおそれが大きいことのほか、現代社会の要請する
社会国家の理念を実現するためには、政策的な配慮に基づいて積極的な規制を加えること
が必要とされる場合が少なくないことを根拠とする。(○ → 芦部p.217)
②わが国において電力供給事業が一定の事業者のみに認められているのは、積極目的の規
制である。(○ → 芦部p.218)
③わが国最高裁判所の判例によれば、小売商業調整特別措置法3 条1 項による小売市場開
設の距離制限は積極目的の規制であり、その合憲性の判断に際しては、規制の必要性・合
理性の審査と、より緩やかな規制手段で同じ規制目的が達成できるかどうかの検討が必要
である、とされる。(× → 芦部p.219/最大判S47.11.22/最大判S50.4.30)
④「居住・移転の自由」は、その条文上の位置から経済的自由権と考えられ、それを規制
する法律の合憲性審査は、「緩やかな基準」に依拠すべきである。(× → 芦部p.222)
⑤憲法29 条1 項は、私有財産制を制度的に保障するもので、個人が現に有する具体的な
財産権を保障するものではない。(× → 芦部p.225)
⑥わが国最高裁判所の判例によれば、財産上の損失について法令上補償規定を欠く場合に
は、憲法29 条3 項を直接根拠にして補償請求をすることができることはもとより、財産
上の損失以外の損失、たとえば予防接種に起因する健康被害についても、補償規定を欠く
場合には、憲法29 条3 項を直接根拠として補償請求できる、とされる。(× → 芦部
p.231/東京地判S59.5.18/東京高判H4.12.18)
⑦わが国最高裁判所の判例によれば、憲法31 条の定める法定手続の保障は、直接には刑
事手続に関するものであるが、行政手続については、それが刑事手続でないとの理由のみ
で、そのすべてが当然に同条による保障の枠外にあると判断することは相当でない、とさ
れる。(○ → 最大判H4.7.1)
⑧わが国最高裁判所の判例によれば、憲法25 条にいう健康で文化的な生活水準の具体的
内容は固定的ではないが、理論的には特定の国における特定の時点においては一応客観的
に決定しうるから、厚生大臣の生活保護基準の設定行為は裁判的統制に服する羈束行為で
ある、とされる。(× → 芦部p.261/最大判S42.5.24)
⑨わが国の最高裁判所の判例によれば、国民年金制度について具体的にどのような立法措
置を講じるかの選択決定は、立法府の広い裁量にゆだねられており、制定された法令にお
いて受給者の範囲、支給要件等につき不当な差別的取扱いが生じていたとしても、それが
著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱、濫用とみざるを得ないような場合を除き、裁判
所が審査判断するのに適しない事柄であるといわなければならない、とされる。(× →
最判H19.9.28)
⑩司法の観念は国や時代により異なるものであって、近代憲法における普遍的な司法の観
念は存在しない。(○ → 芦部p.328)
⑪司法試験の合格・不合格の判定は、具体的な権利義務または法律関係の存否に関する紛
争でもなく、法の適用によって終局的に解決することもできないから、裁判の対象にはな
らない。(○ → 芦部p.330/最判S41.2.8)
⑫わが国最高裁判所の判例によれば、条例に違反する建築工事の中止命令に従わない者に
対して、市長が同工事を続行してはならない旨の裁判を求める訴訟は、自己の主観的な権
利利益の保護救済を目的とするものではなく、法律上の争訟に当たらない、とされる。(○
→ 最判H14.7.9)
⑬わが国の最高裁判所の判例によれば、衆議院の解散は、内閣の自由裁量に基づく行為で
あって司法判断が及ばない、とされる。(× → 芦部p333-334/最大判S35.6.8)
⑭国を被告とする行政事件の第一審について専属管轄権を持つ裁判所を、東京地方裁判所
の支部として設置しても、この裁判所は憲法76 条2 項にいう「特別裁判所」には当たら
ない。(○ → 芦部p.337)
⑮わが国最高裁判所の判例によれば、最高裁判所裁判官の国民審査は、最高裁判所裁判官
の任命そのものを完成させる行為である、とされる。(× → 最大判S27.2.20)
⑯わが国最高裁判所の判例によれば、下級裁判所の裁判官も、憲法81 条に基づく違憲審
査権を有する。(○ → 最大判S27.10.8)
⑰憲法と条約の形式的効力の関係において、「条約優位説」を採った場合には、条約が違憲
審査の対象になるか否かは問題にならない。(○ → 芦部p373)
⑱違憲判決の効力について「一般的効力説」を採った場合、判決の効力は、必然的に法律
制定時まで遡及する。(× → 芦部p.378)
⑲選挙区選出の国会議員について、その選挙区の選挙人によるリコール(解職請求)の制
度を設けることは、憲法43 条1 項に違反する。(○)
⑳国会議員が委員会の議場で行った「ヤジ」にも、憲法51 条の「免責特権」は及ぶ。(×)
実は、配点80点の記述問題が、とても面白い問題が出されました。
いつかご紹介できればと思っています。
参考までに。
*****憲法1*****
憲法1 短答式問題
①「憲法に規定される諸権利は、憲法によって創設され、人民に与えられる」という立場
に立った場合でも、憲法にそれまで規定されていなかった「新しい人権」を観念すること
は可能である。(× → 芦部pp.80-81)
②「人権は、内在的制約のみに服する」という考え方は、「人権の不可侵性」とは両立しな
い。(× → 芦部p.81)
③基本的人権を「憲法以前に成立していると考えられる権利を憲法が実定的な法的権利と
して確認したもの」と捉えた場合、日本国憲法が保障する権利は、すべてが基本的人権と
は言えない。(○ → 芦部p.82)
④参政権は、国民の国政に参加する権利であり、「国家による自由」とも言われる。(× →
芦部p.84)
⑤「表現の自由」は自由権に分類され、そこから受益権的な性質の権利を導き出すことは
できない。(× → 芦部p.85)
⑥社会権は、憲法の規定だけを根拠として権利の実現を裁判所に請求することのできる具
体的権利ではないので、立法によって具体化されない限り社会権が裁判で問題になること
はない。(× → 芦部pp.84-85)
⑦「大学の自治」は、学問の自由を保障するための制度的保障であり、その具体的内容に
は、「人事の自治」と「施設・学生の管理の自治」が含まれる。(○ → 芦部p.86/p.167)
⑧外国人の人権享有主体性を認める根拠として、「人権の前国家的・前憲法的な性格」や「国
際協調主義」を挙げることができる。(○ → 芦部p.92)
⑨わが国最高裁判所の判例によれば、外国人は憲法15 条にいう「国民」には当たらない
が、憲法93 条2 項にいう「住民」には該当する、とされる。(× → 最判H7.2.28)
⑩法人の人権享有主体性が認められる根拠として、「法人の活動が自然人を通じて行われ、
その効果は究極的に自然人に帰属すること」や、「法人が現代社会において一個の社会的実
体として重要な活動を行っていること」などを挙げることができる。(○ → 芦部p.89)
⑪日本国憲法が規定する「公共の福祉」の法的意味について、「一元的内在制約説」に立っ
た場合には、「二重の基準」論とは両立しない。(× → 芦部pp.100-101)
⑫わが国最高裁判所の判例によれば、公務員の政治活動禁止違反に刑事罰を設けることは、
表現の自由に対する必要最小限度を超える制限となり憲法に違反する、とされる。(× →
最大判S49.11.6)
⑬わが国最高裁判所の判例によれば、速度違反車両の自動撮影を行う自動速度監視装置に
よる運転者の容ぼうの写真撮影は、現に犯罪が行われている場合になされ、緊急に証拠保
全する必要性があり、その方法も一般的に許容される限度のものであるから、肖像権・プ
ライバシー権等を侵害しない、とされる。(○ → 芦部p.119/最判S61.2.14)
⑭20 世紀の社会福祉国家においては、社会的・経済的弱者に対して、より厚く保護を与え、
それによって他の国民と同等の自由と生存を保障していく、という実質的平等の観念が要
請される。憲法14 条はこれを請けて、実質的平等を実現する国の義務を規定しており、
憲法14 条を根拠に、現実の経済的不平等の是正を国に請求する権利が認められる。(× →
芦部p.127)
⑮最大判S48.4.4 は、尊属に対する殺人罪について刑罰を加重する改正前刑法200 条を、
憲法に違反すると判示している。この判例の立場に立てば必然的に、尊属に対する傷害致
死罪について刑罰を加重する改正前刑法205 条2 項も憲法違反ということになる。(× →
最判S49.9.26)
⑯わが国最高裁判所の判例によれば、謝罪広告の中には、これを強制することが債務者の
人格を無視し著しくその名誉を棄損し意思決定の自由乃至良心の自由を不当に制限するこ
ととなるものもある、とされる。(○ → 芦部p.149/最大判S31.7.4)
⑰わが国最高裁判所の判例によれば、公の財産の利用提供行為が憲法89 条ひいては20 条
1 項に反するのは、それが信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当
とされる限度を超える場合であり、その判断は当該宗教施設の性格、当該土地が無償で当
該施設の敷地としての用に供されるに至った経緯、当該無償提供の態様、これらに対する
一般人の評価等、諸般の事情を考慮し、社会通念に照らして総合的に行うべきである、と
される。(○ → 芦部p .161/最大判H22.1.20)
⑱知る権利は、個人がさまざまな事実や意見を知ることによって政治に有効に参加するこ
とができることから、参政権的な役割をも演じることがある。このことから、知る権利に
は、国民が積極的に政府情報等の公開を要求することのできる具体的請求権も含まれる。
(× → 芦部p.171)
⑲わが国最高裁判所の判例によれば、憲法21 条2 項にいう「検閲」とは、公権力が主体
となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的として、
対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査した上、不適
当と認めるものの発表を禁止することを、その特質として備えるものを指す、とされ、税
関検査は、国外において既に発表済みのものを対象とする点、思想内容等それ自体を網羅
的に審査し規制することを目的とするものではない点、検査の主体である税関は、特に思
想内容等を対象としてこれを規制することを独自の使命とする機関ではない点、税関長の
判断に司法審査の機会が与えられている点において、検閲には当たらない、とされる。(×
→ 最大判S59.12.12)
⑳わが国最高裁判所の判例によれば、公安条例において集団示威運動の一般的許可制が定
められていたとしても、許可基準が明確である限りは憲法に違反しない、とされる。(× →
最大判S29.11.24
*****憲法2******
憲法2 短答式問題
①憲法22 条が、とくに「公共の福祉に反しない限り」という留保をつけているのは、公
権力による規制の要請が強いという趣旨を示したものであるが、それは、職業は性質上、
社会的相互関連性が大きいので、無制限な職業活動を許すと、社会生活に不可欠な公共の
安全と秩序の維持を脅かす事態が生じるおそれが大きいことのほか、現代社会の要請する
社会国家の理念を実現するためには、政策的な配慮に基づいて積極的な規制を加えること
が必要とされる場合が少なくないことを根拠とする。(○ → 芦部p.217)
②わが国において電力供給事業が一定の事業者のみに認められているのは、積極目的の規
制である。(○ → 芦部p.218)
③わが国最高裁判所の判例によれば、小売商業調整特別措置法3 条1 項による小売市場開
設の距離制限は積極目的の規制であり、その合憲性の判断に際しては、規制の必要性・合
理性の審査と、より緩やかな規制手段で同じ規制目的が達成できるかどうかの検討が必要
である、とされる。(× → 芦部p.219/最大判S47.11.22/最大判S50.4.30)
④「居住・移転の自由」は、その条文上の位置から経済的自由権と考えられ、それを規制
する法律の合憲性審査は、「緩やかな基準」に依拠すべきである。(× → 芦部p.222)
⑤憲法29 条1 項は、私有財産制を制度的に保障するもので、個人が現に有する具体的な
財産権を保障するものではない。(× → 芦部p.225)
⑥わが国最高裁判所の判例によれば、財産上の損失について法令上補償規定を欠く場合に
は、憲法29 条3 項を直接根拠にして補償請求をすることができることはもとより、財産
上の損失以外の損失、たとえば予防接種に起因する健康被害についても、補償規定を欠く
場合には、憲法29 条3 項を直接根拠として補償請求できる、とされる。(× → 芦部
p.231/東京地判S59.5.18/東京高判H4.12.18)
⑦わが国最高裁判所の判例によれば、憲法31 条の定める法定手続の保障は、直接には刑
事手続に関するものであるが、行政手続については、それが刑事手続でないとの理由のみ
で、そのすべてが当然に同条による保障の枠外にあると判断することは相当でない、とさ
れる。(○ → 最大判H4.7.1)
⑧わが国最高裁判所の判例によれば、憲法25 条にいう健康で文化的な生活水準の具体的
内容は固定的ではないが、理論的には特定の国における特定の時点においては一応客観的
に決定しうるから、厚生大臣の生活保護基準の設定行為は裁判的統制に服する羈束行為で
ある、とされる。(× → 芦部p.261/最大判S42.5.24)
⑨わが国の最高裁判所の判例によれば、国民年金制度について具体的にどのような立法措
置を講じるかの選択決定は、立法府の広い裁量にゆだねられており、制定された法令にお
いて受給者の範囲、支給要件等につき不当な差別的取扱いが生じていたとしても、それが
著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱、濫用とみざるを得ないような場合を除き、裁判
所が審査判断するのに適しない事柄であるといわなければならない、とされる。(× →
最判H19.9.28)
⑩司法の観念は国や時代により異なるものであって、近代憲法における普遍的な司法の観
念は存在しない。(○ → 芦部p.328)
⑪司法試験の合格・不合格の判定は、具体的な権利義務または法律関係の存否に関する紛
争でもなく、法の適用によって終局的に解決することもできないから、裁判の対象にはな
らない。(○ → 芦部p.330/最判S41.2.8)
⑫わが国最高裁判所の判例によれば、条例に違反する建築工事の中止命令に従わない者に
対して、市長が同工事を続行してはならない旨の裁判を求める訴訟は、自己の主観的な権
利利益の保護救済を目的とするものではなく、法律上の争訟に当たらない、とされる。(○
→ 最判H14.7.9)
⑬わが国の最高裁判所の判例によれば、衆議院の解散は、内閣の自由裁量に基づく行為で
あって司法判断が及ばない、とされる。(× → 芦部p333-334/最大判S35.6.8)
⑭国を被告とする行政事件の第一審について専属管轄権を持つ裁判所を、東京地方裁判所
の支部として設置しても、この裁判所は憲法76 条2 項にいう「特別裁判所」には当たら
ない。(○ → 芦部p.337)
⑮わが国最高裁判所の判例によれば、最高裁判所裁判官の国民審査は、最高裁判所裁判官
の任命そのものを完成させる行為である、とされる。(× → 最大判S27.2.20)
⑯わが国最高裁判所の判例によれば、下級裁判所の裁判官も、憲法81 条に基づく違憲審
査権を有する。(○ → 最大判S27.10.8)
⑰憲法と条約の形式的効力の関係において、「条約優位説」を採った場合には、条約が違憲
審査の対象になるか否かは問題にならない。(○ → 芦部p373)
⑱違憲判決の効力について「一般的効力説」を採った場合、判決の効力は、必然的に法律
制定時まで遡及する。(× → 芦部p.378)
⑲選挙区選出の国会議員について、その選挙区の選挙人によるリコール(解職請求)の制
度を設けることは、憲法43 条1 項に違反する。(○)
⑳国会議員が委員会の議場で行った「ヤジ」にも、憲法51 条の「免責特権」は及ぶ。(×)
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