「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

ネットに匿名性の悪用は通用しません。悪意の書き込みは司法手続きにより特定可能です。

2014-08-20 10:04:43 | メディア・リテラシー

 ネットの匿名性を利用し、名誉棄損、妨害行為を行うひとは、残念かな、おられます。

 しかし、司法手続きにより、悪意のそれら書き込みは、特定することが可能です。

 親御さんや教育委員会においては、この手続きを用いることで、心無い中傷などから、子ども達を守って下さい。


<参考法令>
 「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」
 いわゆる「プロバイダ責任制限法」

特に4条では、名誉棄損等された投稿がなされた場合、プロバイダに、投稿者の情報の開示を求めることができます。
 名誉棄損の損害の回復の際に、その情報を使うことができるようになります。

 ブログ:http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/46c187ebbac775189f5beb5e76a27ba3


*****************東京新聞201/08/19)*********

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中央区の一大事!中央区にカジノは絶対に許しません。築地市場跡に米社カジノ建設検討。

2014-08-20 00:37:22 | マニフェスト2011
 驚きの記事です。

 土壌汚染地に、生鮮食料品の市場を開場できないにもかかわらず、作ろうとしている東京都の愚行以上に驚きです。

 中央区の一大事です。

 中央区にカジノは絶対に許しません。
 一区民として、そのようなばかげた計画自体、排除を求めます。

 みなさん、声を上げて下さい。
 まず、できることは、区民の皆様には、地域の重大課題として、カジノに対する区議会議員、政党の考え方を注視してください。
 早い段階から、芽を摘む必要があります。


*********************************
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NAC3ZN6JTSEG01.html

築地市場跡に米社がカジノ建設検討、お台場に次ぐ都内候補地

8月19日(ブルームバーグ):ラスベガス歓楽街最大のカジノ運営企業、米MGMリゾーツ・インターナショナル は、移転を予定している東京都築地の中央卸売市場の跡地をカジノ建設候補地の1つとして検討している。都内のカジノ建設ではこれまでお台場が候補地だったが、新たな場所が浮上した。
MGMのジェームス・ミューレン最高経営責任者(CEO)はカジノを含めた統合型リゾート(IR)建設の可能性を探るため3月に築地市場を訪れ、調査したという。同社の事業計画に詳しい2人の関係者が明らかにした。
カジノは国内で現在違法だが、自民党議員らが合法化法案を昨年末に国会に提出し、6月に審議入りした。地方自治体では、大阪府・市の他、長崎県や北海道、沖縄県などが誘致への関心を示すなか、都内では歴代知事がお台場を候補地としてきた。築地はお台場よりも都心からのアクセスがよく、外国人観光客が訪れる銀座も近いことから魅力的な立地だとの声が上がっている。
香港の投資銀行CLSAのシニア調査アナリスト、ジェイ・デフィバウ氏によると、お台場に比べて築地は地価こそ高くなるものの、アクセスのしやすさという点でより多くの来訪者が期待できるという。「東京では他に比肩する場所はない」と話す。「カジノ運営業者はコストがかかったとしても非常に魅力的に感じるだろう」と述べた。

銀座から近い立地
国土交通省によると、築地市場周辺の地価は1平方メートルあたり約139万円に対し、お台場周辺では約95万6000円と割安。築地はブランドショップが並ぶ銀座から徒歩圏内で、外国人観光客が利用するホテルのある日比谷周辺も近い。
都の都市整備局、佐藤匡まちづくり推進担当部長によると、築地市場の跡地利用について、カジノを含むIR建設を「対象とするかどうかも現時点で未定」と言う。ただ「新市場への移転コストなどから、一部を民間に売却するのは有力な案の1つ」だと述べた。
東京都ではこれまでに石原慎太郎元知事や猪瀬直樹前知事が、都議会での答弁や所信表明演説を通じ、お台場へのカジノ誘致に関心を示してきた。一方、今年就任した舛添要一知事は6月の会見でカジノ導入について、法的な問題点などを指摘した上で「私にとってこれは優先課題ではありません」と話している。
MGMのグローバルゲーミング開発のシニアバイスプレジデント、エド・バワース氏によると、同社はIR建設には30エーカー(約12万平方メートル)の土地が必要だと考えている。詳細についての言及は控えたものの、お台場と築地が候補地として「浮上している」と述べた。

単独の地権者
バワース氏は「最終的には、都がどこに建てたいかに尽きる」と言う。お台場の開発候補地の地権者は複数に分かれているのに対し、築地市場は都が保有しており、単独の地権者だと建設はスムーズに出来るだろうと述べた。築地市場の敷地面積は23万833平方メートルで、東京ドームおよそ5つ分。
IRやゲーミング調査会社、スペクトラム・アジアの岡本健司取締役は、「築地の魅力は銀座に隣接していること。基本的には銀座の一部」と言う。一方、「お台場というのは都心からやや離れてはいるが、ショッピングやゲーム、エンターテインメント関連の楽しめる施設が充実している。どちらの場所にもそれぞれ魅力的な要素がある」と述べた。
築地市場は1935年に日本橋にあった魚市場などが移転して開場。日本最大の市場として利用されてきたが、施設の老朽化や効率化などを理由に都は2001年に豊洲地区に移転することを決定した。現在、15年度中の建物の完成を目指し工事が行われている。
CLSAは2月のリポートで、カジノが年間400億ドル(約4兆円)の市場を日本に創出するとの見通しを出しており、国内外の企業が解禁を見越して相次いで参入を表明している。
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除染作業員の診断書偽造。防ぐのは、医師と労働基準監督官の正義感。

2014-08-20 00:28:07 | 社会問題
 恐ろしく、悲しい時代になりました。

 予想できたことではありますが。

 働く除染作業員にしても、検診結果が悪く働くことが出来なければ、生活の糧を失う。
 雇う側も、特に下請けの場合、働くひとがいないと仕事をとってこれない。
 働く側も、雇う側も、虚偽の診断書を作成する力学が働くこととなる。

 このことに歯止めをかけるのは、医師の役割、そして正義感をもった労働基準監督官。


*******************************************
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014081902000108.html

【社会】

除染作業員の診断書偽造 下請け「こちらで用意」

2014年8月19日 朝刊

 被ばく労働と健康診断 原発や除染など被ばく労働をする作業員の健康を守るため、雇用会社は通常の健康診断のほかに、雇用時や就業後半年ごとなどに、通常の健康診断とは別に白血球数など詳細な健康診断を受けさせなくてはならないと法令で定められている。雇用会社は、詳細な診断結果を記した健康診断書(《除染等》電離放射線健康診断個人票)を保管し、所轄の労働基準監督署長に報告しなくてはならない。
 東京電力福島第一原発事故に伴う国直轄の福島県田村市の除染作業で、下請け会社が作業員の健康診断書を偽造し、健康診断を受けさせずに作業をさせていたことが分かった。被ばくの危険がある労働は、詳細な血液検査などの健康診断が義務付けられている。法令に違反するだけでなく、作業員の健康への影響が懸念される。 
 下請け会社は、鹿島(東京都港区)を中心とした共同事業体の仕事を請け負っていた松栄ワークス(横浜市、破産手続き中)。鶴見労働基準監督署(神奈川県)は今年六月、同社が四十代の男性作業員を雇う際、健康診断を受けさせなかったなどとして是正の指導をした。
 複数の作業員によると、二〇一二年八月、福島県郡山市の事務所などに集まった際、同社社員らから「健康診断を受けたことにしてください。診断日を(教えるので)覚えておいて」と言われ、田村市の山間部の除染に当たった。
 三十代の男性は「誕生日に受けたことにして」と言われ、日付を書いたメモを渡された。事前に同社に健康診断が必要かと問い合わせた作業員らは、「必要ない」「こちらで用意します」と言われたという。
 四十代の男性は同年十一月に事務所に呼ばれたとき、心当たりのない自分の健康診断書があるのを見つけた。一通は「健康診断書」と書かれ、医師名として女性の名前と印があったが病院名はなかった。もう一通は「除染等電離放射線健康診断個人票」と書かれ、福島県内に実在する病院名と医師名のスタンプなどが押されていた。
 男性が医師に確かめると、スタンプも印鑑も病院で使われているものとは違い、数字の筆跡も医師のものではなかった。
 医師は「うちの診断書ではない。私の名前をかたった偽物です」と断言したという。取材に対し、医師は「取材には応じられない。男性らに聞いてほしい」と話した。
 松栄ワークスの社長には再三連絡を試みたが回答はなかった。元請けの鹿島は「作業員の健康診断の受診状況はコピーの提出を受けて確認していた。まさか偽造とは思わなかった」とコメントした。
 発注者である環境省の担当者は「労働管理は各業者に対応してもらっている。労働者から相談があれば、元請けに確認を取らせ、改善要請する」と話した。
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日本国憲法の一日一条ずつの解説、8月19日は、第19条。思想及び良心の自由。

2014-08-19 19:06:54 | 日本国憲法

  一日一条の日本国憲法の解説と、自民党改憲案の問題点の指摘。

 本日、8月19日は、第19条の問題点を考えます。


 第三章の人権規定に入り、重要な条文が続いています。

 19条以下条文の規定内容がより具体的になりさらに重要性が増します。

 一度、第三章を整理し、現段階の位置づけを行いたいと思います。

 19条は、自由権の中の精神的自由の既定の一つです。
 19、20、21、23と精神的自由が続きます。

 

********整理*********
<憲法3章 国民の権利及び義務(10条~40条)の規定の整理>

  ○包括的人権(13条、14条、24条、31条)
  包括的基本権(総則的規定)                 13条 幸福追求権
  法の下の平等(総則的規定)                 14条 平等権

 
  ○国務請求権(15条、16条、17条、32条、40条)
  参政権(公務員の選定権・選挙権・国民投票をする権利)    15条
  請願権                                                       16条
  国家賠償および補償請求権                                    17条 
  裁判を受ける権利                                             32条 
  刑事補償請求権                                              40条
 

 ○自由権 精神的自由 19条 20条 21条 23条 
         経済的自由 22条 29条
         人身の自由 18条 31条、33~39条
 

○社会権 25条 26条 27条 28条
 

  *国民の要件:10条

  *三つの義務:
  教育を受けさせる義務 26条
  勤労の義務      27条
  納税の義務      30条

***************************



 19条、「思想及び良心の自由」、思想と良心を合わせて「内心の自由」についての規定で、とても重要です。

 重要であるからこそ、「侵してはならない」と強い表現で、規定が置かれています。

 特に、明治憲法下において、治安維持法の運用にみられるように、特定の思想を反国家的なものとして弾圧するという、内心の自由そのものが侵害される事例が少なくありませんでした。日本国憲法が、精神的自由に関する諸規定の冒頭において、思想・良心の自由をとくに保障した意義は、そこにあります。(『憲法 第5版』芦部信喜 147ページ)

 「思想及び良心」とは、世界観、人生観、主義、主張など個人の人格的な内面的精神作用を広く含むものと解されます。


 思想・良心の自由を「侵してはならない」とは、憲法学者故芦部先生は、以下、説明されています。(『憲法 第5版』芦部信喜 147-148ページ)

 「このような思想・良心の自由を「侵してはならない」とは、第一に、国民がいかなる国家観、世界観、人生観をもとうとも、それが内心の領域にとどまる限りは絶対的に自由であり、国家権力は、内心の思想に基づいて不利益を課したり、あるいは、特定の思想を抱くことを禁止することができない、ということである。

  (中略)

  第二の意味は、国民がいかなる思想を抱いているかについて、国家権力が露顕を強制することは許されないこと、すなわち、思想について沈黙の自由が保障されることである。国家権力は、個人が内心において抱いている思想について、直接または間接に、訊ねることも許されないのである。」




***********
日本国憲法
第十九条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない

自民党案
(思想及び良心の自由)
第十九条 思想及び良心の自由は、保障する
***********


 さて、このような大事な19条を、自民案は、「侵してはならない」という文言を、こっそりと「保障する」に置き換えています。

 「侵してはならない」とはっきりと断言をするべきもので、「保障する」と表現を弱めては決してならないと考えます。

 「保障した」けど「侵された」とかいうように、国家権力が、言い訳をする余地が生まれないだろうか。


*****同様の手口で、保障の程度を弱めてしまっている例、弱めなかった例******
〇財産権の29条1項
日本国憲法
第二十九条 財産権は、これを侵してはならない
2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
3 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

 自民案
(財産権)
第二十九条 財産権は、保障する
2 財産権の内容は、公益及び公の秩序に適合するように、法律で定める。この場合において、知的財産権については、国民の知的創造力の向上に資するように配慮しなければならない。
3 私有財産は、正当な補償の下に、公共のために用いることができる。

 

〇22条2項
日本国憲法
第二十二条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
2 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない

(居住、移転及び職業選択等の自由等)
第二十二条 何人も、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
2 全て国民は、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を有する



〇さすがの自民案でも、保障の程度をゆるめなかった憲法21条2項検閲
日本国憲法
第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない

 自民案
(表現の自由)
第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、保障する。
2 前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。〔新設〕
3 検閲は、してはならない。通信の秘密は、侵してはならない

*****************************



 あと、自民党案では、19条の2を下記のように新しいものを新設しています。
***********
自民党案
(個人情報の不当取得の禁止等)
第十九条の二 何人も、個人に関する情報を不当に取得し、保有し、又は利用してはならない。〔新設〕
***********

 憲法の考え方(参照 日本国憲法99条)で規定を置くならば、主語が逆です。

 「国民が、○○してはならない。」ではなく、「国民が、○○されないよう、国が○○しなければならない。」と書くべきで、
 すなわち、
 「何人も、個人に関する情報が不当に取得され、保有され、又は利用されてはならない。」のような言い回しが、少なくとも必要です。
 守られるべきは、国民の個人情報で、遵守すべき主体は、国民よりもまずは、国だからです。
 

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日本国憲法の一日一条ずつの解説、8月18日は、第18条。徴兵制の禁止。

2014-08-18 16:04:45 | 日本国憲法

 今日8月18日は、憲法18条です。

 18条は、人権保障の基本とも言うべき奴隷的拘束からの自由を定めた重要規定です。

 自民党改憲案は、これまた、大問題があります。


 ひとことでいうと、まずは、18条前段の適用範囲を巧妙に狭めることで、徴兵制の下準備がなされています。

 以下、説明します。


*************
日本国憲法
第十八条 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。

自民党案
(身体の拘束及び苦役からの自由)
第十八条 何人も、その意に反すると否とにかかわらず、社会的又は経済的関係において身体を拘束されない。
2 何人も、犯罪による処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。
*************

 憲法学者故芦部先生は、「憲法18条は、「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない」と定め、人間の尊厳に反する非人道的な自由の拘束の廃絶をうたっている。
 (中略)
 「その意に反する苦役」とは、広く本人の意思に反して強制される労役(たとえば、強制的な土木工事への従事)を言う。もっとも、消防、水防、救助その他災害の発生を防御し、その拡大を防止するため緊急の必要があると認められる応急措置の業務への従事は、本条に反しない(災害対策基本法65条・71条、災害救助法24条・25条等参照)。しかし、徴兵制は「本人の意思に反して強制される労役」であることは否定できないであろう。」と説明されています。(『憲法 第5版』岩波書店 234-235ページ)

 憲法18条は、徴兵制を否定する重要な条文でもあることがわかります。

 
 その18条において、自民党改憲案がなぜ、「いかなる」という文言を削除して、「社会的又は経済的関係において」という、漠然不明確な文言に置き換えたたのか、意味不明です。
 法律でさえ、漠然不明確な文言を使っただけで、法律で規定されている内容を吟味することなく、それ以前の問題として、その法律は違憲無効になります。よって、憲法で漠然不明確な文言は使用できないことは自明のことです。
 自民党改憲案Q&Aを見ても、「社会的又は経済的関係において」という内容について書かれていませんでした。


 この点に関し、考えてみるに、憲法18条の適用の範囲を、自民党案では、巧みに狭めています。
 「社会的又は経済的関係において」と、身体を拘束されない場面が、限定的に書かれています。
 ならば、「政治的関係」ではどうなのでしょうか?
 自民案からだと、「社会的又は経済的関係において」という規定の範囲外であるから、身体を拘束されないことの例外になり、「政治的関係において」は拘束を可能にせしめます。

 徴兵制をも否定する基本的人権の重要規定の適用範囲を狭めては絶対になりません




(芦部先生の引用文内にあった法律の条文) 
*****災害対策基本法65条、71条*********

第六十五条  市町村長は、当該市町村の地域に係る災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、応急措置を実施するため緊急の必要があると認めるときは、当該市町村の区域内の住民又は当該応急措置を実施すべき現場にある者を当該応急措置の業務に従事させることができる。
2  第六十三条第二項の規定は、前項の場合について準用する。
3  第一項の規定は、市町村長その他同項に規定する市町村長の職権を行うことができる者がその場にいない場合に限り、災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官の職務の執行について準用する。この場合において、同項に規定する措置をとつたときは、当該災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官は、直ちに、その旨を市町村長に通知しなければならない。

(都道府県知事の従事命令等)
第七十一条  都道府県知事は、当該都道府県の地域に係る災害が発生した場合において、第五十条第一項第四号から第九号までに掲げる事項について応急措置を実施するため特に必要があると認めるときは、災害救助法 (昭和二十二年法律第百十八号)第二十四条 から第二十七条 までの規定の例により、従事命令、協力命令若しくは保管命令を発し、施設、土地、家屋若しくは物資を管理し、使用し、若しくは収用し、又はその職員に施設、土地、家屋若しくは物資の所在する場所若しくは物資を保管させる場所に立ち入り検査をさせ、若しくは物資を保管させた者から必要な報告を取ることができる。
2  前項の規定による都道府県知事の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、その一部を市町村長が行うこととすることができる。



*****災害救助法24条、25条***********

第二十四条  都道府県知事は、救助を行うため、特に必要があると認めるときは、医療、土木建築工事又は輸送関係者を、第三十一条の規定に基く厚生労働大臣の指示を実施するため、必要があると認めるときは、医療又は土木建築工事関係者を、救助に関する業務に従事させることができる。
○2  地方運輸局長(運輸監理部長を含む。)は、都道府県知事が第三十一条の規定に基づく厚生労働大臣の指示を実施するため、必要があると認めて要求したときは、輸送関係者を救助に関する業務に従事させることができる。
○3  第一項及び第二項に規定する医療、土木建築工事及び輸送関係者の範囲は、政令でこれを定める。
○4  第二十三条の二第二項の規定は、第一項及び第二項の場合に、これを準用する。
○5  第一項又は第二項の規定により救助に従事させる場合においては、その実費を弁償しなければならない。

第二十五条  都道府県知事は、救助を要する者及びその近隣の者を救助に関する業務に協力させることができる。

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日本国憲法の一日一条ずつの解説、8月17日は、第17条。請願権。

2014-08-17 00:00:01 | 日本国憲法

 一日一条の日本国憲法の解説。あわせて、自民党改憲案の問題点の考察。

 本日、8月17日は、第17条。


*****************
日本国憲法
第十七条 何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。


自民党改憲案
(国等に対する賠償請求権)
第十七条 何人も、公務員の不法行為により損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は地方自治体その他の公共団体に、その賠償を求めることができる。

****************

 ほぼ同じです。
 大日本帝国憲法回帰の方向性をもつ自民党案では、以下に、説明しますが、今後「裁判所は、損害賠償の訴訟を受理せず」などの文言へ、内容が後退しないか、注意が必要です。


 
 憲法17条は、国家賠償を定めた規定です。

 
 大日本帝国憲法には、国家賠償制度に関する規定はなく、法律でも「行政裁判所ハ損害要償ノ訴訟ヲ受理セス」(行政裁判所法16条)とされていたため、公権力の行使によって私人に損害が発生しても、国も公務員も責任を負いませんでした(国家無答責の原則)。

 
 本条に該当する規定は、マッカーサー草案にも政府草案にも存在せず、衆議院の修正で付加されました。


(参考文献 『判例憲法』第一法規 290ページ)


*****以前17条について書いたこと****
http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/5c880b2427a128c1eb6c1b55eb418cd8 

[憲法]公務員による不法行為 憲法17条によって、公務員の不法行為によって損害を受けたとき、憲法でその賠償を求めることが出来る対象として明記されているのは、公務員を雇用または使用している国または公共団体に対してのみである。国家賠償法1条の根拠とも言えます。

[国家賠償法] 通称「国賠」。あまり馴染みのないこの法律。条文は少なく、六条しか規定されていません。ならば理解するのも簡単かと言うとそうでもなく。国賠の対象は公権力の行使にあるが、では公権力とはなにか?公権力に過失がなくても国賠の対象となりうるのか?
(考える社会人大学生高校生のためのBOT ‏@totoro2sei)


 実際に見てみます。

日本国憲法
第十七条  何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。


 実際に、法律としての規定は、国家賠償法によります。

 短い法律です。

 短い法律だから、全文掲載します。

 法律の文言は、「公共団体」であって、「地方公共団体」ではありません。
 それによって、弁護士会のような団体も、「公共団体」に含まれ、国会賠償法が適用されることになります。

 法6条では、その国に日本人に対しても国家賠償法同様の規定がある場合、その国の外国人に、日本の国家賠償法が適用されることが規定されています。


************************************
国家賠償法
(昭和二十二年十月二十七日法律第百二十五号)



第一条  国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
○2  前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。

第二条  道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。
○2  前項の場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国又は公共団体は、これに対して求償権を有する。

第三条  前二条の規定によつて国又は公共団体が損害を賠償する責に任ずる場合において、公務員の選任若しくは監督又は公の営造物の設置若しくは管理に当る者と公務員の俸給、給与その他の費用又は公の営造物の設置若しくは管理の費用を負担する者とが異なるときは、費用を負担する者もまた、その損害を賠償する責に任ずる。
○2  前項の場合において、損害を賠償した者は、内部関係でその損害を賠償する責任ある者に対して求償権を有する。

第四条  国又は公共団体の損害賠償の責任については、前三条の規定によるの外、民法 の規定による。

第五条  国又は公共団体の損害賠償の責任について民法 以外の他の法律に別段の定があるときは、その定めるところによる。

第六条  この法律は、外国人が被害者である場合には、相互の保証があるときに限り、これを適用する。

   附 則 抄


○1  この法律は、公布の日から、これを施行する。
○6  この法律施行前の行為に基づく損害については、なお従前の例による。

***********************************

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日本国憲法の一日一条ずつの解説、8月16日は、第16条。請願権。

2014-08-16 00:00:01 | 日本国憲法

 一日一条の日本国憲法の解説。あわせて、自民党改憲案の問題点の考察。

 8月16日は、第16条。


********
日本国憲法
第十六条 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。


自民党案
(請願をする権利)
第十六条 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願をする権利を有する。
2 請願をした者は、そのためにいかなる差別待遇も受けない。
********

 憲法16条は、請願について規定しています。

 この条文は、いまのところ、ほぼ同じとみてよいということですね。
 日本国憲法で一項だったものが、二項に分けたということだけの違いでしょうか。

 皆様のほうで、なにか問題があれば、教えてください。

 
 自民案では、21条の表現の自由に対しての大幅な制限強化をしていることからしても、この16条の制限強化も考えているはずです。
 今後、制限強化の文言が入らないか要注意です。



 ところで、私達は、もっと「請願」を有効に使うべきと考えます。


 声を、国、自治体、政治に反映させる重要な手段です!
 政治家に頼んで、届けてもらうだけでなく、自らが届けることができます。


 なお、憲法16条で、請願した者に差別的待遇をしてはならないと現行憲法で規定しているにもかかわらず、ある自治体が、署名者や署名活動者に対し、限度を超えて戸別訪問調査をして、不当に圧力を加えたという事件が実際に発生していることは、驚きです(岐阜地判平成22.11.10、名古屋高判平成22.4.27、最三小決平成24.10.9)。
 憲法一条一条を侮ってはなりません。
 権力機関は、容易に不当な圧力を住民に対して加えることがありえます。


 憲法16条を受けて、請願を規定する法律は、

〇請願法

〇国会法(79~82条)

〇衆規(171~180条)

〇参規(162~172条)

〇自治法(124~125条)

 で、請願権行使の手続きについて規定が設けられています。

 参考までに、掲載します。


******各法律、該当部分の掲載******

〇請願法 全文
請願法
(昭和二十二年三月十三日法律第十三号)



第一条  請願については、別に法律の定める場合を除いては、この法律の定めるところによる。

第二条  請願は、請願者の氏名(法人の場合はその名称)及び住所(住所のない場合は居所)を記載し、文書でこれをしなければならない。

第三条  請願書は、請願の事項を所管する官公署にこれを提出しなければならない。天皇に対する請願書は、内閣にこれを提出しなければならない。
○2 請願の事項を所管する官公署が明らかでないときは、請願書は、これを内閣に提出することができる。

第四条  請願書が誤つて前条に規定する官公署以外の官公署に提出されたときは、その官公署は、請願者に正当な官公署を指示し、又は正当な官公署にその請願書を送付しなければならない。

第五条  この法律に適合する請願は、官公署において、これを受理し誠実に処理しなければならない。

第六条  何人も、請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

   附 則

 この法律は、日本国憲法施行の日から、これを施行する。


〇国会法(79~82条)
第七十九条  各議院に請願しようとする者は、議員の紹介により請願書を提出しなければならない。

第八十条  請願は、各議院において委員会の審査を経た後これを議決する。
○2  委員会において、議院の会議に付するを要しないと決定した請願は、これを会議に付さない。但し、議員二十人以上の要求があるものは、これを会議に付さなければならない。

第八十一条  各議院において採択した請願で、内閣において措置するを適当と認めたものは、これを内閣に送付する。
○2  内閣は、前項の請願の処理の経過を毎年議院に報告しなければならない。

第八十二条  各議院は、各別に請願を受け互に干預しない。


〇衆規(171~180条)
 第十一章 請願

第百七十一条 請願書には、請願者の住所氏名(法人の場合はその名称及び代表者の氏名)を記載しなければならない。

第百七十二条 請願書には、普通の邦文を用いなければならない。やむを得ず外国語を用いるときは、これに訳文を附けなければならない。

第百七十三条 請願を紹介する議員は、請願書の表紙に署名又は記名押印しなければならない。

第百七十四条 議長は、請願文書表を作成しこれを印刷して各議員に配付する。
•会期末に請願の文書表を作成するいとまがないときは、本書により審査する。(衆先390)

第百七十五条 請願文書表には、請願者の住所氏名、請願の要旨、紹介議員の氏名及び受理の年月日を記載しなければならない。

  数人の連署による請願は、請願者某外何名と記載する。

  同一議員の紹介による同一内容の請願が数件あるときは、請願者某外何名と記載する外その件数を記載する。

第百七十六条 請願は、文書表の配付と同時に議長がこれを適当の委員会に付託する。

第百七十七条 裁判官の罷免を求める請願については、議長は、これを委員会に付託しないで裁判官訴追委員会に送付する。

第百七十八条 委員会は、請願についてその審査の結果に従い左の区別をなし、議院に報告する。

 一 議院の会議に付するを要するもの

 二 議院の会議に付するを要しないもの

  議院の会議に付するを要する請願については、なお、左の区別をして報告する。

 一 採択すべきもの

 二 不採択とすべきもの

  採択すべきものの中、内閣に送付するを適当と認めるものについては、その旨を附記する。

第百七十九条 委員会において、議院の会議に付するを要しないと決定した請願について、議員二十人以上から休会中の期間を除いて委員会の報告の日から七日以内に会議に付する要求がないときは、委員会の決定が確定する。

第百八十条 陳情書その他のもので、議長が必要と認めたものは、これを適当の委員会に参考のため送付する。


〇参規(162~172条)
第11章 請願

第162条 請願書は、請願者の氏名(法人の場合はその名称)及び住所(住所のない場合は居所)を記載したものでなければならない。
第163条 法人を除いては、総代の名義による請願は、これを受理しない。
第164条 請願書の用語は平穏なものでなければならない。また、その提出は平穏になされなければならない。
第165条 議長は、請願文書表を作り印刷して、毎週一回、これを各議員に配付する。
 請願文書表には、請願の趣旨、請願者の住所氏名、紹介議員の氏名及び受理の年月日を記載する。
第166条 請願は、請願文書表の配付と同時に、議長が、これを適当の委員会に付託する。
第167条 裁判官の罷免を求める請願については、議長は、これを委員会に付託しないで裁判官訴追委員会に送付する。
第168条 請願を紹介した議員は、委員会から要求があつたときは、請願の趣旨を説明しなければならない。
第169条 請願書は、議院の議決がなければ、これを印刷配付しない。
第170条 委員会は、審査の結果に従い、次の区別をして、議長に報告書を提出しなければならない。
1.採択すべきもの
2.不採択とすべきもの

採択すべきものについては、なお、次の区別をしなければならない。
1.内閣に送付するを要するもの
2.内閣に送付するを要しないもの

第171条 委員会において採択すべきものと決定した請願については、委員会は、前条第1項の報告書に付して意見書案を提出することができる。
第172条 委員会において議院の会議に付するを要しないと決定した請願については、委員会は、議長にその旨の報告書を提出しなければならない。
 前項の場合において、報告書が提出された日から休会中の期間を除いて七日以内に、議員二十人以上から会議に付する要求がないときは、同項の決定が確定する。
第173条 削除



〇自治法(124~125条)
第百二十四条  普通地方公共団体の議会に請願しようとする者は、議員の紹介により請願書を提出しなければならない。

第百二十五条  普通地方公共団体の議会は、その採択した請願で当該普通地方公共団体の長、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会若しくは公平委員会、公安委員会、労働委員会、農業委員会又は監査委員その他法律に基づく委員会又は委員において措置することが適当と認めるものは、これらの者にこれを送付し、かつ、その請願の処理の経過及び結果の報告を請求することができる。

以上

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日本国憲法の一日一条ずつの解説、8月15日は、第15条。大切な大切な選挙権も保障。

2014-08-15 18:14:37 | 日本国憲法

 8月15日は、憲法15条を考えます。

 15条は、
 〇公務員が全体の奉仕者であるということとともに、
 〇議会制民主主義の根幹をなす選挙権に関して定める条文でとても重要です。

 特に3項と4項で、近代選挙の基本原則である、

1普通選挙

2平等選挙

3自由選挙

4秘密選挙

5直接選挙

 を要請しています。

 だからこそ、日本国憲法では、普通選挙を「保障する」という文言を用いています。


****************
日本国憲法
第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
3 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する
4 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

自民党案
(公務員の選定及び罷免に関する権利等)
第十五条 公務員を選定し、及び罷免することは、主権の存する国民の権利である。
2 全て公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。
3 公務員の選定を選挙により行う場合は、日本国籍を有する成年者による普通選挙の方法による
4 選挙における投票の秘密は、侵されない。選挙人は、その選択に関し、公的にも私的にも責任を問われない。

*****************


 自民案は、一言一句気をつけて読まねばなりません。

 自民案で、15条が変えられた点は、以下。

15条1項
 国民固有の権利ということのその「固有の権利」という文言を削除しています。
 これは、悪意をもってなされています。
 11条でのべましたがhttp://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/ad3650d77379d66bbf6142d8342bfefe
 人権の三つの意義のひとつ固有性を、11条及び97条で削除しています。それにあわせてこの15条の「固有の権利」という文言も犠牲になりました。
 人権の固有性、すなわち、「人権が憲法や天皇から恩恵として与えられたものではなく、人間であることにより当然に有するとされる権利であること。」という考え方を、自民党はどうも否定したいようであり、自民党案では、徹底的に人権の固有性の考え方をなくそうとしています。

15条2項
 漢字になっています。
 個人的に、「全て」の漢字は読みにくいので、「すべて」のひらがなのままでよいと思います。

15条3項
 大問題です。
 普通選挙を「保障する」という大切な文言を削除しています
 なぜ、わざわざ、削除するのか、疑問です。
 議会制民主主義の根幹である選挙権でさえも、自民党は否定したいのでしょうか。
 自民案において、ここだけでなく各人権を、弱めるように文言を巧妙に、おそらくわざとだと思いますが、置き換えています。

 また、日本国籍を有する成年者と、わざわざ「日本国籍を有する」とかぶせています。
 ここでは、その是非は述べませんが、最高裁判所の見解(最三小判平成7・2・28)によると、国政選挙は別にしても、地方議会議員選挙では、定住外国人の選挙権は、否定をしていません。
 地方の政治に判断が委ねられた部分です。
 にもかかわらず、自民案は、有無を言わさず、定住外国人の地方議会議員選挙の選挙権を奪おうとしています
 最後に、判決文を全文掲載します。
 自民党のように安易に、定住外国人の地方議会議員選挙の選挙権を奪ってよいか、判決文(一番最後に掲載)を読んで考察いただければ幸いです。

15条4項
 「侵してはならない」という主体的な言い方から、「侵されない」と、なにか他人事のような表現に変えています。
 15条3項の「保障する」の文言削除と共に、自民党は、選挙権を軽視している印象を受けざるを得ません。

************************





以下、憲法15条が保障することのひとつ選挙権の大切さについて、書きます。



選挙権の大切さ。




 被選挙権の大切さ。
 立候補することの自由も保障されています。


 どのようなひとも、立候補は許されます。
 だからこそ、逆に、私達、国民の側に、きちんと選ぶ目が要求されます。



日本国憲法15条1項。
第十五条  公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。



 選挙権に、なんら制限を加えては、なりません。
 もちろん、成年被後見人にも、選挙権は保障されねばなりません。
 重病者には、在宅投票もきちんと保障されるべきだと考えます。
 例えば、ALSなど難病で、投票所に行くことができない方々の選挙権の保障は、なされねばなりません。





 一人一票の価値は、守られねばなりません。

 



 一人一票を判断する場合の裁判所の論理1と2
 




 一人一票を判断する場合の裁判所の論理3




 違法であり、本来、勝訴判決を得られるはずであるが、裁判で、敗れる論理。

行政事件訴訟法
(特別の事情による請求の棄却)
第三十一条  取消訴訟については、処分又は裁決が違法ではあるが、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮したうえ、処分又は裁決を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは、裁判所は、請求を棄却することができる。この場合には、当該判決の主文において、処分又は裁決が違法であることを宣言しなければならない。
 裁判所は、相当と認めるときは、終局判決前に、判決をもつて、処分又は裁決が違法であることを宣言することができる。
 終局判決に事実及び理由を記載するには、前項の判決を引用することができる。


 一人一票の最高裁の論理のまとめ。






 ただすべきものをたださない国会の責任について、最高裁の考え方。
 やや弱い感じはするところではありますが。



 

*******最高裁ホームページより*****
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120908067922.pdf

主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。


         理    由
 上告代理人相馬達雄、同平木純二郎、同能瀬敏文の上告理由について
 憲法第三章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをそ
の対象としていると解されるものを除き、我が国に在留する外国人に対しても等し
く及ぶものである。そこで、憲法一五条一項にいう公務員を選定罷免する権利の保
障が我が国に在留する外国人に対しても及ぶものと解すべきか否かについて考える
と、憲法の右規定は、国民主権の原理に基づき、公務員の終局的任免権が国民に存
することを表明したものにほかならないところ、主権が「日本国民」に存するもの
とする憲法前文及び一条の規定に照らせば、憲法の国民主権の原理における国民と
は、日本国民すなわち我が国の国籍を有する者を意味することは明らかである。そ
うとすれば、公務員を選定罷免する権利を保障した憲法一五条一項の規定は、権利
の性質上日本国民のみをその対象とし、右規定による権利の保障は、我が国に在留
する外国人には及ばないものと解するのが相当である。そして、地方自治について
定める憲法第八章は、九三条二項において、地方公共団体の長、その議会の議員及
び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が直接これを選挙するも
のと規定しているのであるが、前記の国民主権の原理及びこれに基づく憲法一五条
一項の規定の趣旨に鑑み、地方公共団体が我が国の統治機構の不可欠の要素を成す
ものであることをも併せ考えると、憲法九三条二項にいう「住民」とは、地方公共
団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するものと解するのが相当であり、右
規定は、我が国に在留する外国人に対して、地方公共団体の長、その議会の議員等
の選挙の権利を保障したものということはできない。以上のように解すべきことは、
- 1 -
当裁判所大法廷判決(最高裁昭和三五年(オ)第五七九号同年一二月一四日判決・
民集一四巻一四号三〇三七頁、最高裁昭和五〇年(行ツ)第一二〇号同五三年一〇
月四日判決・民集三二巻七号一二二三頁)の趣旨に徴して明らかである。

 このように、憲法九三条二項は、我が国に在留する外国人に対して地方公共団体
における選挙の権利を保障したものとはいえないが、憲法第八章の地方自治に関す
る規定は、民主主義社会における地方自治の重要性に鑑み、住民の日常生活に密接
な関連を有する公共的事務は、その地方の住民の意思に基づきその区域の地方公共
団体が処理するという政治形態を憲法上の制度として保障しようとする趣旨に出た
ものと解されるから、我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居
住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものに
ついて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処
理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対す
る選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではないと解
するのが相当である。しかしながら、右のような措置を講ずるか否かは、専ら国の
立法政策にかかわる事柄であって、このような措置を講じないからといって違憲の
問題を生ずるものではない。以上のように解すべきことは、当裁判所大法廷判決(
前掲昭和三五年一二月一四日判決、最高裁昭和三七年(あ)第九〇〇号同三八年三
月二七日判決・刑集一七巻二号一二一頁、最高裁昭和四九年(行ツ)第七五号同五
一年四月一四日判決・民集三〇巻三号二二三頁、最高裁昭和五四年(行ツ)第六五
号同五八年四月二七日判決・民集三七巻三号三四五頁)の趣旨に徴して明らかであ
る。
 以上検討したところによれば、地方公共団体の長及びその議会の議員の選挙の権
利を日本国民たる住民に限るものとした地方自治法一一条、一八条、公職選挙法九
条二項の各規定が憲法一五条一項、九三条二項に違反するものということはできず、
- 2 -
その他本件各決定を維持すべきものとした原審の判断に憲法の右各規定の解釈の誤
りがあるということもできない。所論は、地方自治法一一条、一八条、公職選挙法
九条二項の各規定に憲法一四条違反があり、そうでないとしても本件各決定を維持
すべきものとした原審の判断に憲法一四条及び右各法令の解釈の誤りがある旨の主
張をもしているところ、右主張は、いずれも実質において憲法一五条一項、九三条
二項の解釈の誤りをいうに帰するものであって、右主張に理由がないことは既に述
べたとおりである。
 以上によれば、所論の点に関する原審の判断は、正当として是認することができ
る。論旨は採用することができない。
 よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、
裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    可   部   恒   雄
            裁判官    園   部   逸   夫
            裁判官    大   野   正   男
            裁判官    千   種   秀   夫
            裁判官    尾   崎   行   信

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川内原発の危険性 パブコメを原子力規制庁に届けました。〆切8/15

2014-08-15 12:30:31 | 防災・減災

 九州電力株式会社川内原子力発電所1号炉及び2号炉の発電用原子炉設置変更許可申請書に関する審査書案(以下、単に「審査書案」という。)に対する意見を述べます。
 ご検討の程、どうかよろしくお願い申し上げます。

1、火山影響評価
 火山噴火に対する対応が、審査書案では検討が不十分である。例えば、火山灰が、原発周辺の海域に降り積もり、そのため、原発の冷却作動ができないおそれが考えられる。
 このような審査書案は、重大な瑕疵あるものとして採用はできず、再検討を求める。よって、この状態での再稼働は、許されない。

2、川内原発の老朽化
 川内原発1号機、2号機とも約30年を経過している。
 老朽化に伴い、大震災の際の破壊の程度は、新設機より劣るにも関わらず、その可能性を十分に評価に取りいれていない。
 また、耐震性については、原発本体だけでなく、配管類も耐震性があるかきちんと評価が求められるにも関わらず、配管類は、大震災には耐えられる証明がきちんとなされていない。川内原発の場合は、老朽化があるため、さらに深刻である。
 審査書案では、老朽化と配管類の耐震性の検討が不十分であり、このような審査書案は、重大な瑕疵あるものとして採用はできず、再検討を求める。よって、この状態での再稼働は、許されない。


3、攻撃拠点となる点
 日本のすべての原発にあてはまることだが、外国からの攻撃拠点とされた場合、その対策がなされていない。
 海外のように少なくとも二重格納容器が導入されるべきであるところされていないのであって、安全保障上のリスクが高まる昨今、最低限の対策もなされていない以上、再稼働は許されない。
 審査書案では、リスクを過小評価されており、このような審査書案は、重大な瑕疵あるものとして採用はできず、再検討を求める。よって、この状態での再稼働は、許されない。

4、再稼働自体の必要性がない
 日本のエネルギーは、再稼働なくとも供給できている。
 再稼働させねば、電力が賄えないとの必要不可欠性を証明する試算がない以上は、安全性に問題がある再稼働は許されない。
 審査書案では、再稼働の必要性も含め、記載されるべきであり、再検討を求める。

5、周辺住民の合意形成がなされていない
 周辺自治体、住民の合意形成がなされたとは言い難い状況にある。
 安全性が不十分なままの再稼働なのであるから当然ではあるが、再稼働検討に当たっては、総合的な評価を入れたうえで、なされるべきであり、周辺住民・自治体の再稼働に向けた合意形成がなされていない以上、再稼働は許されない。
 審査書案には、総合的な評価として、周辺自治体、住民との合意形成の得る経過も含め、記載されるべきであり、再検討を求める。



以上

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「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」の憲法学的実践、形式的平等と相対的平等、実質的平等

2014-08-14 18:37:07 | 憲法学


 憲法14条を考える準備として、知識の整理をします。




(かつてのブログ http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/43a9d028c76ebb79604435665c5ba078  )
***************************
「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」

 憲法では、ご存知のように、第14条
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
○2  華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
○3  栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
 と謳われているところです。

 平等の考え方を整理します。


 自然的事実としての不平等が世の中には存在しています。

 能力や資質の差、環境の差、人格の差などです。

 もし、形式的平等のルール(A=B=C=D=E=F=G・・・・)を適用すると、能力のある人、資質のある人、そして、能力や資質をのばすための環境が整備されているひとが、高い成績をあげることができ、結果に大きな差が生じてしまいます。
 行きつく先は、格差社会です。

 今の世の中では、基本は形式的平等のルールです。
 入試、選挙権、運賃、消費税、法律が等しく適用されること、誰でもどんな職業にもつけるということなど。

 形式的平等のルールの長所は、分かりやすい、「公平」らしく見えるという点にあります。
 ただ、背後にある不平等を隠しており、格差を無視しています。

 行きつく先には、例えば、富裕層と貧困層の間の格差が広がり、貧困層が拡大し、貧困層から脱出困難な社会ができあがることにつながります。


 そこで、どうすればよいか。

 実質的平等のルールの採用です。
 簡単に言えば、下駄を履かせ、機会を実質的に平等にすることです。

 累進課税を想像すればわかりやすいですが、同じレベルの収入のひとにかかる税率は同じですが、高い収入のひとにかかる税率は、高い税率を課しています。

 実質的平等の極端な例は、結果まで平等にすることです。(結果の平等)

 この場合の短所は、「モラル・ハザード」が生じることです。
 がんばっても、がんばらなくても結果は同じですので、がんばる意欲がそがれる状態になります。

 例外のない平等を「絶対的平等」というのであれば、このような平等は、「相対的平等」すなわち「等しいものは等しく、等しくないものは等しくなく扱うべし」といいます。
 そして、このことが、平等原則となっています。

 
 再度、整理しますと、

 形式的平等、ペアの概念として、機会の平等そして絶対的平等があります。

 それに対して、実質的平等、相対的平等が言われ、実質的平等を突き詰め過ぎると結果の平等となります。


 日本国憲法のもと、場面場面で、形式的平等と相対的平等、一部実質的平等が保障されています。
 

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日本国憲法の一日一条ずつの解説、8月14日は、第14条。平等権。

2014-08-14 18:30:38 | 日本国憲法

 一日一条ずつの日本国憲法の解説です。あわせて、自民党改憲案の問題点の分析。

 8月14日は、14条、平等権。

 以下、比較すると大差ないようにお感じになると思います。


*************************
日本国憲法
第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。


自民党案
(法の下の平等)
第十四条 全て国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、障害の有無、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2 華族その他の貴族の制度は、認めない。
3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
*************************

 

 私も、最初、「あれっ」と思いました。

 なぜ、今までの14条に至るまで問題点が多々あったのに、ここでは「障害の有無」の追加をするもその他の変更をしなかったのだろうかと。

 日本国憲法14条≒自民党案14条 ?

 よくよく、考えると、ぞっとしました。

 

 日本国憲法が機能する人権の世界と、自民党案が機能する人権の世界では、世界が異なるのです。
 その条文だけで考えてはいけません。

 人権の総則規定12条を思い出して下さい。


****************** 
日本国憲法 
第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。 

自民党案 (国民の責務) 
第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。 

******************     

 人権の世界が、まるっきり自民党案では変えられていて、「公益及び公の秩序」に反することは許されなくなっているのです。


 12条と14条を併せて考えると、 

 日本国憲法 12条+14条=「公共の福祉」のために実質的平等のルールの採用を可能にする。 (実質的平等「等しいものは等しく、等しくないものは等しくなく」の考え方。例、所得税)

 自民党案  12条+14条= 「公益及び公の秩序」に反しないように、形式的平等を課す。(形式的平等「A=B=C=D=E=F=G・・・・」の考え方。例、消費税)

 
 日本国憲法と自民党案では、意味をしている平等概念そのものが異なるのです。

 日本国憲法においては、「障害の有無」の文言をいれることはよいと思いますが、自民党案では、とても危険です。(ターゲットを増やしたかと、悪意さえ感じます。)
 すなわち、形式的平等のルール(A=B=C=D=E=F=G・・・・)を適用すると、能力のある人、資質のある人、そして、能力や資質をのばすための環境が整備されているひとが、高い成績をあげることができ、結果に大きな差が生じてしまいます。
 行きつく先は、格差社会です。
 それをよしとするぞと、自民党案は、宣言をしているのです。
 (実質的平等、形式的平等などの概念は、前のブログhttp://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/c6493bd72f0b2d3296c2da24d939ce8dで基本的なところの解説をしています。)


  日本国憲法14条≠自民党案14条 !

 
 国家主義を目指す自民党案では、憲法の人権概念を、大きく覆す「公益及び公の秩序」という文言を、「公共の福祉」を削除して入れ替えており、人権規定を注意深く読んで行く必要があります。

 一体、誰を守るための憲法なのだろうか? 

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日本国憲法の一日一条ずつの解説、8月13日は、第13条。最も重要な条文のひとつ。

2014-08-13 16:43:34 | 日本国憲法

 一日一条ずつの日本国憲法の解説と、自民党改憲案の問題点の分析。

 8月13日は、13条。

 着眼点により異なりますが、13条は、憲法の中で最も重要な条文と考えられます。2番目に大事なのは、手続き保障を定めた31条(13の数字のならびを逆にすればよい対になっています。)でしょうか。

 

 憲法学者の故芦部先生によると、「社会の変革にともない、「自律的な個人が人格的に生存するために不可欠と考えられる基本的な権利・自由」として保護するに値すると考えられる法的利益は、「新しい人権」として、憲法上保障される人権の一つだと解するのが妥当である。その根拠となる規定が、憲法13条の「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」(幸福追求権)である。」として、13条は、幸福追求権を謳っているとされています。

 「個人の尊重の原理に基づく幸福追求権は、憲法に列挙されていない新しい人権の根拠となる一般的かつ包括的な権利であり、この幸福追求権によって基礎づけられる個々の権利は、裁判上の救済を受けることができる具体的権利」であります。

 「幸福追求権からどのような具体的権利が実際に導き出されるか、そして、それが新しい人権の一つとして承認されるかどうかをどのような基準で判断するかは、なかなか難しい問題」です。

 「これまで、新しい人権として主張されたものは、

○プライバシーの権利、

○環境権

○日照権

○静穏権

○眺望権

○入浜権

○嫌煙権

○健康権

○情報権

○アクセス権

○平和的生存権

 など多数」あります。

 「最高裁判所が、正面から認めたものは、プライバシーの権利としての肖像権ぐらい」です。

 「裁判上の権利と言えるかどうかは、

○特定の行為が個人の人格的生存に不可欠であることのほか、

○その行為を社会が伝統的に個人の自律的決定に委ねられたものと考えているか、

○その行為は多数の国民が行おうと思えば行うことができるか、

○行っても他人の基本権を侵害するおそれがないかなど
 
 種々の要素を考慮して慎重に決定」しなければなりません。

(加憲すべき権利を考える場合にも、重要な考慮要素だと、私は思います。逆を言えば、安易な加憲もまた、許されません。)

 以上、「」は、『憲法 第五版』芦部 118~121ページ。

 
 


*************************
日本国憲法
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする

自民党案
(人としての尊重等)
第十三条 全て国民は、として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重されなければならない
*************************

 さて、自民党案は、13条において、重大な過ちを犯しております。

 「公共の福祉」を、「公益及び公の秩序」に、悪意をもって置き換えています。(昨日の12条でも述べました。今後、21条、22条、29条でも同様の問題が出て来ます。)

 国家主義を目指している自民党にとって、「個人」という言葉も、極力用いたくないのだと思います。これまた、「個人」から「人」に置き換えられています。

 「最大の尊重を必要とする。」この文言が「最大限に尊重されなければならない。」の置き換えはどうなんでしょうか。
 両者は、同じとみてよいのかは、判断を現時点で、保留にさせてください。
 

 少なくともわかるのは、個人の幸福追求権を謳う13条では、「個人」を「人」に置き換えてはならないし、「公共の福祉」は絶対に「公益及び公の秩序」に置き換えてはなりません。
 新しい人権が生まれる余地がなくなります。
 個人の幸福追求権が否定されます。



 ひとつだけ例を挙げます。


 肖像権が生まれた、「京都府学連事件」

 デモ行進に際して、警察官が犯罪捜査のために行った写真撮影の適法性が争われました。

 最高裁(最大判昭和44・12・24)は、

「憲法一三条は、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由
及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ
の他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と規定しているのであつて、これ
は、国民の私生活上の自由が、警察権等の国家権力の行使に対しても保護されるべ
きことを規定しているものということができる。そして、個人の私生活上の自由の
一つとして、何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態(以下「容ぼう
等」という。)を撮影されない自由を有するものというべきである。」

 と判決をしています。


 もし、「公共の福祉」が「公の秩序」に置き換えられてしまえば、
 この判決の内容は変わることになると思います。

 自民案を許してしまった場合、 「公の秩序」が優先され、国民の私生活上の自由が、警察権等の国家権力の行使に対して保護されないことになり、肖像権は主張できなくなります。
 なぜならば、「公の秩序」が意味するものは、「国家権力からみた秩序」であるからです。

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ネイチャー記事(03September2013)が、日本政府の福島第一原発事故処理対応を批判

2014-08-12 16:30:10 | 地球環境問題

 ネイチャー記事(03 September 2013)が、日本政府の福島第一原発事故処理の対応を批判しています。


 ⇒ http://www.nature.com/news/nuclear-error-1.13667 

 同記事を取り上げた論説

 ⇒ http://www.huffingtonpost.jp/2013/09/07/nuclear_error_nature_n_3884364.html 

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日本国憲法の一日一条ずつの解説、8月12日は、第12条。「公共の福祉」とは?

2014-08-12 15:41:21 | 日本国憲法

 8月12日、日本国憲法の解説は、12条。
 あわせて、自民党改憲案の問題点を述べます。  

 自民党案の最大の問題点が、ここにあります!  

 「公共の福祉」が「公益及び公の秩序」に、悪意をもって置き換えられています。  
 この置き換えだけは、絶対にゆるしてはなりません。  
 憲法12条、13条、22条、29条及び21条が狙われています。  

 自民党案に、賛同する憲法学者や裁判官など法律の専門家は、誰一人としていないと思います。  
 特に、この削除・置き換えには、賛同するものなどいないはずです。自信を持っていいます。  
 おられれば、そのかたを後学のため教えていただきたいほどです。  

 条文一つに一つ以上の問題点を抱える自民党改憲案であり、憲法のていをなしていないのですが、もし、ひとつだけしか問題点をあげることができないような極端な表現の自由の制約を受けた場合、私は、やむを得ずに、この「公共の福祉」の文言の削除と、それに代わる「公益及び公の秩序」の置き換えは、絶対に許してはならないと答えます。  

 やや、乱暴な書き方をしますが、  

 「公益」=「国のため、国家のために」で、片づけられます。  

 「公の秩序」=権力機関により、権力機関の論理・都合で、片づけられます。  

 「公共の福祉」=人権と人権のぶつかり合いを、二重の基準論、比較衡量論を用い、均衡のとれた解決を見出していきます。  



******************
日本国憲法
第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

自民党案 (国民の責務)
第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。

******************    

 「公共の福祉」の概念は、前のブログhttp://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/11adf6d04c55152a6546d1681e84426fで、基礎知識で整理をしたところです。  

 一部抜き出します。    

 人権があるから、私たちは、何をやっても許されるというわけではなく、人権が制約される局面があります。  

 次の3つの場合が想定されます。

1)権利行使が他者に害を与える場合。

2)権利行使が他者の正当な権利ないしは利益と衝突する場合。

3)権利行使が社会全体の利益にとってマイナスになる場合。    


 それぞれの場合を具体例を挙げてみます。

1)権利行使が他者に害を与える場合。  
政治団体の街宣車がフルボリュームで、音楽を流すことは、彼らの表現の自由の行使ではあるが、市街地の平穏を乱し、市民に不快感を与えていることから、他者に害を与えている。人権は、まず、他者に迷惑をかけてはならない、という制約がある。

2)権利行使が他者の正当な権利ないしは利益と衝突する場合。  
マスコミが、有名人のプライバシーや名誉を傷つける報道を行う場合は、マスコミの表現の自由(報道の自由)と有名人のプライバシーが衝突する。表現の自由もプライバシーもともに、極めて重要な人権である。

3)権利行使が社会全体の利益にとってマイナスになる場合。  
空港や高速道路を建設する際には、その用地を買収しなければならないところ、地権者が用地買収に協力してくれない場合は、建設が遅れ、社会全体に大きな不利益を与える場合がある。  

 このような人権の制約を掛けねばならないときに、用いられるのが、「公共の福祉」による人権の制限です。  


 現行憲法で、「公共の福祉」の制限がついている条文は、12条・13条・22条・29条。

*****日本国憲法*****
第十二条  この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。


第十三条  すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。


第二十二条  何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
○2  何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。


第二十九条  財産権は、これを侵してはならない。
○2  財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
○3  私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

***************  

 これら条文において、自民案は、22条以外の3つは、絶対にやってはならないのにもかかわらず、「公共の福祉」を「公益及び公共の秩序」に置き換えています。  

 そして、22条では、はぶいてはならないのに、「公共の福祉」を省いています。  

 さらに、重大問題なのは、21条に、「公共の福祉」さえついていなかった条文に、「公益及び公共の秩序」を新たに導入しています。後に21条のところで触れますが、表現の自由を国家権力が制約し、言論弾圧ができる体制づくりを着々と進める素地を作っています。


****自民案*****
(国民の責務)
第十二条
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。

(人としての尊重等)
第十三条
全て国民は、人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重されなければならない。


(表現の自由)
第二十一条
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、保障する。
2 前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。〔新設〕
3 検閲は、してはならない。通信の秘密は、侵してはならない。


(居住、移転及び職業選択等の自由等)
第二十二条
何人も、居住、移転及び職業選択の自由を有する。    ←「公共の福祉」の文言が落ちています。ここでは、落としてはなりません!
2 全て国民は、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を有する。


(財産権)
第二十九条 財産権は、保障する。
2 財産権の内容は、公益及び公の秩序に適合するように、法律で定める。この場合において、知的財産権については、国民の知的創造力の向上に資するように配慮しなければならない。
3 私有財産は、正当な補償の下に、公共のために用いることができる。

**********  

 「公共の福祉」削除の狙い撃ちは、かなり意図的であり、悪質です。  
 単に言葉だけとか、そんな生易しい問題ではありません。  

 11条でのべた、「ナチスに学べ」という麻生発言(2013年7月)の意図が、ここにも表れています。
 麻生氏が、「だから、静かにやろうやと。憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね。 わーわー騒がないで。本当に、みんないい憲法と、みんな納得して、あの憲法変わっているからね。」と発言されたことの真意が、この「公共の福祉」の削除でも出ています。  

 と言いますか、麻生氏の「ナチスに学べ」という発言を聞いたとき、瞬時に、この自民党案の「公共の福祉」の削除に思い当たりました。
 麻生氏が、本心で発言していることが、たやすく想像できました。
 
 日本国憲法における基本的人権の制約する文言である「公共の福祉」が、「だれも気づかない手口」で削除され、代わりに「公の秩序」に置き換えられています。

 

 いつも冷静に書いているつもりですが、「公共の福祉」の削除だけは、冷静さを保つのに苦労します。  

 皆さん、私達の幸せが奪われないように、声を挙げて下さい。

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日本国憲法の一日一条ずつの解説、8月11日は、第11条。

2014-08-11 12:48:51 | 日本国憲法

 一日一条ずつ、日本国憲法の解説を致しております。
 あわせて、自民党改憲案の問題点を考えています。

 昨日から、第三章の人権規定「国民の権利及び義務」に入りました。

 8月11日は、第11条。

************
日本国憲法
(基本的人権の享有)
第十一条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。


自民案
(基本的人権の享有)
第十一条 国民は、全ての基本的人権を享有する。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利である。
************

 今日は、憲法11条。11条は、人権保障の総則的規定です。
 基本的人権の享有主体と、基本的人権の保障の意義についてうたっています。

 すなわち、基本的人権の享有主体は、国民であり、基本的人権の保障の意義が、その固有性、不可侵性、普遍性があるがゆえに保障すべきものと意義づけられるとしています。

 固有性:人権が憲法や天皇から恩恵として与えられたものではなく、人間であることにより当然に有するとされる権利であること。

 不可侵性:人権が、原則として、公権力によって侵されないこと。行政権はもとより、立法権も、さらに憲法改正権も侵すことはできない。

 普遍性:人権は、人種、性、身分などの区別に関係なく、人間であることに基づいて当然に享有できる権利であること。


 日本国憲法の条文を見ることで再度確認します。


第十一条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない普遍性)。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利不可侵性)として、現在及び将来の国民に与へられる固有性、人間が生まれながらに有するということ)。


 自民党案を次に。

第十一条 国民は、全ての基本的人権を享有する。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利である。


 私は、基本的人権を守るという真摯な思いが、自民党案に感じられません。
 それは、重要な文言を削除しているからです。

1)基本的人権の「普遍性」が自民案では弱まっている
現行憲法
国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない
 ↓
自民案
国民は、全ての基本的人権を享有する

 単に享有するだけでなく、享有を「妨げられない」ところに意味があると思います。
 自民案では、故意に重要文言を落としています。

2)基本的人権の「固有性」が自民案では、ない。
現行憲法
現在及び将来の国民に与へられる。
 ↓
自民案
(削除)

 憲法以前に、私たちは人間として固有の権利をもっています。それを文字で表したのが、憲法です。「実定的な法的権利」として確認したのが憲法です。
 「人間の固有の尊厳に由来する」のが基本的人権です。

 このような重要な「固有性」の観念を、自民案では削除しています。
 考えられないことです。

 なお、このことは、単に文言を整理していたら、たまたま落ちたとかいうレベルの話ではなく、自民案では意図して行っていることが分かります。

 日本国憲法が、人権を、「信託されたもの」であるとして人権の固有性を謳った重要な憲法97条も、自民案では、こっそり削除しています。

現行憲法97条
第九十七条  この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
 ↓
自民案
(97条自体を削除)

3)昨年夏の自民党麻生氏麻生氏の「ナチスに学べ」発言
 昨年夏の自民党麻生氏麻生氏の「ナチスに学べ」発言が意図していたものが、この憲法11条、97条にも表れていないでしょうか。

 麻生氏が、「だから、静かにやろうやと。憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね。 わーわー騒がないで。本当に、みんないい憲法と、みんな納得して、あの憲法変わっているからね。」と発言されたことの真意が、憲法11条の変更、97条の削除でも出ていると、私は、危機感をもって感じます。

 日本国憲法における基本的人権の重要な観念である「固有性」が、自民案では、「誰にも気づかないような手口」で、落とされています。

以上



 いままで、1条から11条まで自民案を見て来て分かることは、

 自民党改憲案は、

○象徴天皇制を否定する

○戦争の放棄を否定する

○基本的人権の保障よりも、国家主義

 その意図が含まれているということを私はあらためて感じます。

 第三章に入り、基本的人権の保障は、私たちひとりひとりに直接影響が出る話です。
 憲法がなぜ、大事か、逆を言えば、自民党改憲案がいかに危険なものか、考えて行きたいと思います。

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