◆〜本と歩こう(55)〜◆
こんにちは。市民レポーターの 杉浦玲子 (すぎうら れいこ)です。
今回は「正ノ木さん」(植木祭り)でも知られる稲積神社で行われた「針供養」のご報告です♪
「事始めの日」ともいわれる2月8日。
「一年間お疲れ様でした」という感謝の気持ちをこめて、折れたり曲がったり、錆びたりして使えなくなった針を供養する習わしを「針供養」といいます。
この供養祭は江戸時代から全国各地で行われ、地域によっては「事納めの日」の12月8日に行うところもあるそうです。
ここ稲積神社では午前10時頃から祭事が行われ、和裁や装束店、神社の関係者の方々が15名ほど参列しました。
はじめに神職が祝詞を奏上。その後、参列者がこんにゃくに針を刺して労をねぎらい、玉串を奉納しました。
厚さや硬さのある生地を縫ってきた針たちが、柔らかいこんにゃくで休めるように。
供養された針たちは、「針供養」の石碑の後ろに一年間納められるそうです。
かつて着るものはすべて手縫いであった時代に思いを馳せながら、針への感謝と技術向上を祈願しました。
おわりに、神職の根津佳明さん(写真左奥)からご挨拶があり、「ものづくりに励んでいる方の継承が難しくなっておりますので、そういったところをつなげる努力をしていただきたいと感じてご祈願しました。ぜひ皆さま方におかれましても道具に感謝をして、技術の向上に努めていただければ幸いです。」と結ばれました。
私も使えなくなった針たちをお納めしてきました。少しでも裁縫の腕が上達しますように。
年に一回のこの行事は、一般の方も自由に参加できます。
興味のある方はぜひ稲積神社のHPをご覧ください♬
★本と歩こう(55)★
『あかてぬぐいのおくさんと7にんのなかま』
イ・ヨンギョン文と絵
かみや にじ訳
福音館書店
1999.11.20初版
1650円(税込)
※出版社の著作権規定に準じて書影を使用しています
針供養では針が主役ですが。もちろん針だけでは裁縫の仕事はできません。
ものさし、はさみ、針、糸、ゆびぬき、のしごて、ひのし。
裁縫のじょうずなおくさんの仕事を支える、7つの道具たち。
ある日、おくさんの昼寝中に「私が一番大事よ」とけんかが始まります。
怒ったおくさんに、道具たちは悲しくなってしまいますが…。
やっぱり仕事には仲間が大事。韓国の昔話をもとにした美しい彩色の絵本です。
―取材へのご協力、ありがとうございました―