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ミステリ感想-『影の告発』土屋隆夫

2021年08月12日 | ミステリ感想
~あらすじ~
百貨店のエレベーター内で毒殺された男。手掛かりは二人の女の写真と名刺、そして「女がいた」という被害者の最後の言葉のみ。偶然居合わせた千草検事は捜査に加わり、謎めいた男の半生を追う。

1963年日本推理作家協会賞、東西ベスト(1985)41位

~感想~
おのぼりさんの学生が修学旅行で生まれて初めてのデパートに押し寄せ、エレベーターガールが事件を目撃する生粋の昭和ミステリ。
昭和は「少女」の概念も現在とは異なり、ただ「少女」とだけ書かれるので漠然と10~15歳を想像してたら余裕で成人しているから驚かされる。
トリックも捜査手法も昭和の代物ではあるものの、足を使っての地道な捜査や、千草検事の閃きとそれをかいくぐる犯人の狡猾さ、次第に明らかになっていく謎めいた男の半生などは十分に読ませる。
章ごとに挟まる謎の少女の独白やある手掛かりの真相こそそれはちょっと…という拍子抜けだったが、レトロな雰囲気の中に光るものはいくつもあり、現代人にもしっかり楽しめる佳作ではある。


21.7.27
評価:★★☆ 5

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