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ホラー感想-『ぼぎわんが、来る』澤村伊智

2020年09月04日 | ミステリ感想
~あらすじ~
サラリーマンの田原秀樹のもとを訪れた女は、誰にも言っていないはずの生まれる前の娘の名を呼んだ。訪問者は亡き祖父が恐れていた「ぼぎわん」なのか?
怪異が相次ぎ、愛する家族を守るため秀樹はつてをたどり、霊媒師の比嘉真琴に相談する。

2015年日本ホラー小説大賞


~感想~
作者の昨年このミスにランクインした「予言の島」が年間ベスト級に面白く、名前だけは知っていたデビュー作も読んでみたが大当たり。何より驚いたのがすでにデビュー作からミステリ的素養が抜群で、章が改まるごとに意外な真相が明かされ驚かせてくれる。
特にある人の印象が完全に一変し、しかしフォローもされて流石に底を打ったかなと思ったら、さらにもう一段落ちて行ったのには笑った。
ぼぎわんに対する霊媒師も非常にわかりやすい強キャラで、終盤までは怪異といえども一定の論理に基づき動いていながら、最後は予想以上に物理攻撃が物を言うガチンコバトルが始まるのも良い。素手で受け止めたのには笑った。
また映画版「来る」で話題になっている柴田理恵がまさかあんな○○とは思わなんだ。だいぶアレンジされているんだろうな。映画版もいずれ観る。
結末もそうこなくっちゃ!という最高のオチで、ホラーの楽しさを凝縮させ、そこにミステリの味付けもした素晴らしい一作である。
しかも文庫版解説の千街晶之によると、このシリーズの続編2冊はさらにミステリ要素が上らしい。これは読まなくてはなるまい。


20.9.3
評価:★★★★ 8

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