~あらすじ~
缶詰にされたホテルから新進気鋭のハードボイルド作家が失踪し、部屋には血の跡が残されていた。編集者はハウスキーパーの経験のあるフリーライターの葉村晶を呼び、血の跡を消させ無かったことにしようとするが…「海の底」
他、「冬物語」「ロバの穴」「殺人工作」「あんたのせいよ」「プレゼント」「再生」「トラブル・メイカー」収録の短編集。
~感想~
葉村晶シリーズ第一作。といってもこの時点ではシリーズ化の構想はなく、そもそも一話目の「海の底」にのみ登場する単発キャラの予定だったそう。
本作も一話ごとに探偵役を葉村と小林警部補が代わる代わる務める構成で、エピソードゼロや前日譚のような雰囲気である。
個々の感想を簡単に言うと、冒頭の「海の底」が白眉で、気づきそうで気づけないギリギリのラインをつく仕掛けに驚かされる。
続く「冬物語」は探偵役が小林警部補に入れ替わり、しかも犯人による倒叙形式で、完全犯罪の破綻が描かれる。
「ロバの穴」は葉村晶が語り手に戻り、近年の傑作「殺人鬼がもう一人」のように真相をそのまま書かずほのめかすだけに留めるのだが、それが説明不足かつ消化不良に繋がってしまい、はっきりしないのが残念。
それは「あんたのせいよ」にも同じことが言えるが、なにぶん24年前の作品であり、近年と比べると作者の腕前の向上がうかがえる。
そして掉尾を飾る「トラブル・メイカー」は期待通りに葉村晶と小林警部補が交錯し、連作短編集、と呼べるほどではないが、この一冊を締めくくるに相応しい内容だった。
何はともあれこれで葉村晶シリーズを追っていける。先に読んでしまった次作「依頼人は死んだ」の再読から始めて行こう。
20.8.27
評価:★★★ 6
缶詰にされたホテルから新進気鋭のハードボイルド作家が失踪し、部屋には血の跡が残されていた。編集者はハウスキーパーの経験のあるフリーライターの葉村晶を呼び、血の跡を消させ無かったことにしようとするが…「海の底」
他、「冬物語」「ロバの穴」「殺人工作」「あんたのせいよ」「プレゼント」「再生」「トラブル・メイカー」収録の短編集。
~感想~
葉村晶シリーズ第一作。といってもこの時点ではシリーズ化の構想はなく、そもそも一話目の「海の底」にのみ登場する単発キャラの予定だったそう。
本作も一話ごとに探偵役を葉村と小林警部補が代わる代わる務める構成で、エピソードゼロや前日譚のような雰囲気である。
個々の感想を簡単に言うと、冒頭の「海の底」が白眉で、気づきそうで気づけないギリギリのラインをつく仕掛けに驚かされる。
続く「冬物語」は探偵役が小林警部補に入れ替わり、しかも犯人による倒叙形式で、完全犯罪の破綻が描かれる。
「ロバの穴」は葉村晶が語り手に戻り、近年の傑作「殺人鬼がもう一人」のように真相をそのまま書かずほのめかすだけに留めるのだが、それが説明不足かつ消化不良に繋がってしまい、はっきりしないのが残念。
それは「あんたのせいよ」にも同じことが言えるが、なにぶん24年前の作品であり、近年と比べると作者の腕前の向上がうかがえる。
そして掉尾を飾る「トラブル・メイカー」は期待通りに葉村晶と小林警部補が交錯し、連作短編集、と呼べるほどではないが、この一冊を締めくくるに相応しい内容だった。
何はともあれこれで葉村晶シリーズを追っていける。先に読んでしまった次作「依頼人は死んだ」の再読から始めて行こう。
20.8.27
評価:★★★ 6
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます