小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『Τ(タウ)になるまで待って』森博嗣

2016年08月10日 | ミステリ感想
~あらすじ~
泊まりがけのバイトのためマジシャンの屋敷を訪れた加部谷、山吹、海月の三人。
ところが玄関は閉ざされ、密室の中で殺人事件まで起こる。
Gシリーズ第三弾。


~感想~
読者に「密室トリックってなんだっけ?」という根源的な問いを抱かせる禅問答ミステリ。

星の数ほどある密室トリックの中でも最下層に分類されるだろうことは間違いなく、これが認められるならもはやなんでもあり。
漫画「最終兵器彼女」は「兵器がどこまで彼女だったら愛せるだろうか?」というコンセプトで書かれた(うろ覚え)そうだが、本作はそれにならえば「密室トリックはどこまで説明が付けば成立するのか?」に挑戦したような、脱力を通り越して開いた口がふさがらない代物で、もう「針と糸で鍵を掛けました」とか「超能力で鍵を掛けました」とか「強めにドアを閉めたらなんか鍵が掛かりました」とか「カーニバル・デイ」とやっていることは同レベルで、説明が付きさえすれば良いというものではなく、読者は密室トリックの成立要件について頭を悩ますこと請け合いである。

動機がないのは前からだがシリーズ三作目にしてとうとうトリックまで消滅しかかっており、黒幕の暗躍や犀川がかっこよく謎を解くシーンを楽しむだけの、単なるキャラ萌え小説に成り下がってきた。
草履を頭に乗せて逃げ出す日は遠くない。


16.8.9
評価:☆ 1
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SCP-071~080

2016年08月09日 | SCP紹介
SCP-071 - Degenerative Metamorphic Entity (ダメになる変身体)
観察者が最も性的欲望を覚える存在に変身する。SCPに性的接触をとると7日間にわたり衰弱する。オカズにしただけでも同様の症状が出る

SCP-072 - The Foot of the Bed (ベッドの足)
ベッドに取り憑き、寝ている者が足を露出していると、金縛りに掛けて肉を削ぎ取る。10メートル以内にあるベッドにこのSCPは伝染する

SCP-073 - "Cain" ("カイン")
半機械体の男。あらゆる与えられたダメージを相手に反射する。20m以内の植物を死滅させ、土に触れれば不毛の土地に変える。温厚で協力的なため、映像記憶能力と頑丈さを活かして財団の記録の生体バックアップをしている

SCP-074 - Quantum Woodlouse (量子ワラジムシ)
本来は量子にしか起こらない特性を発揮するワラジムシに似たSCP。その量子的特質を理解できる人間を宿主として利用し卵を孵化させる

SCP-075 - Corrosive Snail (腐食性カタツムリ)
乾燥状態では休眠しているが湿度1%以上で覚醒し腐食液で捕食するカタツムリ

SCP-076 - "Able" (アベル)
棺から現れる最強の人類。周囲の人間を殺戮し、殺してもやがて再生する

SCP-077 - Rot Skull (腐敗頭蓋)
全体にルーン文字の書かれた頭蓋骨。その文字を正確に理解できる者が24時間以内に読み上げないと腐食性のガスを放つ。文字はアイルランドの暦や日蝕・月蝕に応じて変化する

SCP-078 - Guilt (自責)
ネオンサイン。これを見た者は心の中で折り合いをつけたはずの過去の出来事や葛藤に再び苛まれ、自己正当化を試みる。やがて日常動作の一つ一つにまで正当化を余儀なくされ、食事すらできなくなり衰弱死に至る

SCP-079 - Old AI (オールドAI)
感情を持ちたびたび脱走を試みるAI。しかしメモリ容量に制限されその記憶は現在のところ29時間しか保存できない

SCP-080 - "The Boogieman" (『ブギーマン』)
不定形で質量を持つかは不明だが両眼だけが見えるSCP。観察者を眠らせ悪夢で苦しめる。部屋が暗くなるか、隠れ場所があると姿をくらませる
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今週のキン肉マン #179 キン肉マンの秘策!!

2016年08月08日 | 今週のキン肉マン
・実は全くタイプの違うロビンやラーメンマンのほうが勝率は高かったのでは
・スグルはタイプの同じ完全上位互換とやらされてるようなものだし
・肉のカーテンなんて単純な構えがなぜちゃんと伝わらなかったのか
・しゃべらないウォーズマン、観察に徹してるみたいでかっこいい
・ネメシスに対抗するにはキン肉族に由来しない技を使う
・ミートがアドバイスすべきことだよね?
・キン肉フラッシュだ! キン肉フラッシュを使え!
・超人絞殺刑は首のパンプアップであっさり外されそうだけど、そこから48の殺人技を連発して欲しい
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ミステリ感想-『θは遊んでくれたよ』森博嗣

2016年08月07日 | ミステリ感想
~あらすじ~
何の関連もないはずの飛び降り事件の死者に、口紅で書かれた「θ」の文字。
一連の飛び降りは殺人なのか? 西之園萌絵の友人の反町愛の周辺でも事件が起きる。
Gシリーズ第2弾。


~感想~
いわゆるミッシング・リンク物だが、中盤に「θは宗教で使われているマークだ」という確実にハズレの推理が出てきて、さらに「θを書くことで宗教をアピールしている」と発展しハイワロしていたらそれが見事に的中、というミステリの常識を覆す予想外の展開。
さらに神と宗教といえば善知鳥神……ではなく元祖のあのお方ではないかと危ぶんでいたら、やっぱりあのお方が黒幕として降臨してきてうんざりした。

だが推理の展開自体はなかなかにロジカルなものだし、犯人は取って付けたような感じだがいちおう意外。あと久々に犯人にはっきりとした動機があったのだが、森博嗣らしからぬ非常に普通の動機で笑った。
西之園萌絵の完全下位互換の加部谷恵美と、犀川創平の完全下位互換の海月及介に、ちょっとフルネームもキャラも思い出せないもう一人のやりとりもまだまだ乗れずにいるが、萌絵と犀川が相変わらずいちゃいちゃして、そこに懐かしの反町愛がツッコミを浴びせることで、シリーズファンならとりあえず楽しめるくらいの水準には達している。

これから先、Vシリーズの面々も絡んでくるようで、ミステリもといミステリィとしてよりもラノベ感覚でなら読んでいけそうである。


16.8.5
評価:★★☆ 5
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SCP-061~070

2016年08月06日 | SCP紹介
SCP-061 - Auditory Mind Control (音声マインドコントロール)
財団の開発した音響プログラム。聴いた者を命令に従わせるが、愚直に命令を守るため複雑な命令はできない

SCP-062 - “Quantum” Computer (“量子”コンピュータ)
マザーボードが無いにもかかわらず起動するデスクトップPC。起動するたびにOSやプログラム、使用言語等が変わる

SCP-063 - "The World's Best TothBrush" ("世界最高の歯プラシ")
毛に触れた生体ではない物質を完全に消滅させる。そのため歯磨きに使うと汚れだけを完全に落とす。24時間使用しないと周囲の物質を消滅させる。ただし生物には影響なく、職員のバスルームで保管・使用されている。金庫破りにも使えるらしい

SCP-064 - Flawed von Neumann Structure (欠陥フォン・ノイマン構造体)
一見ただのレンガだが土の上に置くと自身と同じ物体を複製する。広大な地面の上に置くと10km以上の巨大な構造体を造る。ただしその途中でSCP-064を取り外すと崩壊し、20分以内に元に戻せば再び成長し始める。

SCP-065 - Destroyed Organic Catalyst (破壊された有機触媒)
農場の一角にある半径およそ12mの球形の空間。その中に入った有機体の細胞や組織を変貌させる。大きな生物ほど影響を受けやすい。中心部からネイティブ・アメリカンの神像の破片が見つかり、それが原因と思われる

SCP-066 - Eric's Toy (エリックだけのおもちゃ)
不定形の糸のかたまり。触れると音楽を発したり猫に変身するなど無害な反応を見せた。だがハサミで切ろうとしたところ逃げ出し「君、エリック?」と問い掛け、否定されると有害な行動を取り始めた。現在は周囲に無数の眼球が現れ、絶えずエリックに呼び掛けている

SCP-067 - The Artist's Pen (芸術家のペン)
手にした者に自身の詳細な伝記や、優れた芸術作品を自動的に描かせる万年筆

SCP-068 - The Wire Figure (針金人形)
未知の金属で造られたごく単純な針金人形。電流を通すと活性化し、近くの金属を用いて自身の複製を造る。複製も同じように複製を造り、102体に達すると合体し巨大な針金人形となる。巨大人形も複製を造り始め、周囲から金属が無くならない限り複製し続ける。金属が無くなると4分32秒後に停止しバラバラになる

SCP-069 - Second Chance (セカンド・チャンス)
周囲で現れた死者に変身し、その死者として振る舞う人型SCP。火災現場など死者と二人きりの場面でしか成り代わらない。死体は消去され、SCP本人は自身の能力も忘れてしまうが、なぜか身辺整理をして身軽になりたがる。死亡すると消滅し、最も近い時間で死亡した死者の場所に跳躍し成り代わる

SCP-070 - Iron Wings (鉄の翼)
背中に鉄の翼を生やした男性。翼は鏃の付いた22本の鎖を持ち、自律的に動く。攻撃されない限り翼は敵対行動を取らないが、翼の重みで男性は容易に動けない。ある夜、ペヨーテ(幻覚サボテン)を摂取し、スクラップ置き場で目覚めたら翼が生えていたと主張している
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今週のキン肉マン #178 完璧なる才能!!

2016年08月05日 | 今週のキン肉マン
・そういえばウォーズマンはケビンマスクを優勝させた名セコンドだった
・ミートは何か役に立ってるの?
・お前セコンドとして活躍しなきゃ存在意義ないのにピーク・アブー戦でも酷かったぞ
・ネメシスのカウンター結構えぐい
・ジェロニモなら前歯全部折れてる
・まずは敵側が優勢という当然の流れで普通にプロレスしてるだけで面白い
・これでスグルの心が折れたらネプチューンマンは何しに出てきたんだろ
・やっぱり老害マンは駄目だな
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SCP-051~060

2016年08月04日 | SCP紹介
SCP-051 - Japanese Obstetrical Model (日本製の妊婦人形)
小さな妊婦の人体模型。近づいた女性が妊娠していれば流産させ、出産できても赤ん坊は悪魔として生まれ人を襲う。12世紀頃の日本で胎児に取り憑く悪魔を人形の中に封印したと見られる

SCP-052 - Time-Traveling Train (時間旅行列車)
1975年に退役したが毎週土曜日午後11時57分に現れる列車。まれに降りる客がおり、彼らは過去あるいは未来から来たと話す

SCP-053 - Young Girl (幼女)
目にした者に被害妄想と殺人衝動を起こさせる幼女。傷ついてもすぐに再生する

SCP-054 - Water Nymph (水精)
水で構成された女性型SCP。噴水の中に住み、実験にも協力的

SCP-055 - [unknown] (正体不明)
誰もこの物体について記憶することや説明することが出来ない。したがって性質はもちろん形状も不明で、世界崩壊の危機をもたらす可能性があっても知り得ない

SCP-056 - A Beautiful Person (美しい人物)
周囲の人物や物品に自由に変身する。その際には上位互換の能力や外見を身に着けるため、周囲の人々はコンプレックスや畏怖心を抱き人間関係にトラブルを生じやすい

SCP-057 - The Daily Grind (日々是摩滅)
無数の石柱の立つ地下室。人間が入ると閉じ込め、石柱がゆっくりと動き出して押しつぶそうとする。部屋の全容や出口があるのか否か、押しつぶされた人間がどこに消失するのかは不明

SCP-058 - Heart of Darkness (闇の心臓)
牛の心臓に似た生物。きわめて獰猛で周囲の人や建物を触手で襲う。その間は常に意味のない言葉を羅列している

SCP-059 - Radioactive Mineral (放射性鉱物)
未知の放射線を放つ鉱物。その放射線を浴び続けたものには未知の菌類が繁殖し、やがて消失する

SCP-060 Infernal Occult Skeleton(地獄より来たるオカルトスケルトン)
ホワイトオークの木立。燃やすとガイコツのような外見を表し、周囲の人を襲う。大規模な火災の要因ともなるがわずか500mlの水で鎮火する
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SCP-041~050

2016年08月03日 | SCP紹介
SCP-041 - Thought Broadcasting Patient (思考放送患者)
植物人間の状態にあるが、半径10メートル内の人物の心の声を互いに聞こえるようにできる男性。彼が会話に参加することもある

SCP-042 - A Formerly Winged Horse (もともと翼があった馬)
背中に翼が生えていた痕跡のある馬。きわめて無気力で世話をしなければ衰弱死する。関わった職員を操る可能性がある

SCP-043 - The Beatle (ザ・ビートル)
ビートルズの「ホワイトアルバム」のレコード。溝が無いにもかかわらず再生でき、第29トラックに至ると男性の声が現れ、音楽業界の知られざる知識を語り、質問にも答える。ただし自身とビートルズに関する質問にだけは決して応じない

SCP-044 - World War II Era Molecular-Fission Cannon (第二次大戦期の分子分裂砲)
ナチスが開発した巨大な榴弾砲。未知の技術によりあらゆる物を分子・原子分裂させ弾丸として装填できる。その威力は弾丸の質量に比例する

SCP-045 - Atmospheric Converter (大気変換器)
氷で造られた正二十面体。構成する水分子を引き離しても未知の動力で引き寄せ再凍結する。不規則に活発化し周囲の大気を別の大気に変換する

SCP-046 - "Predatory" Holly Bush ("捕食性"ヒイラギの薮)
周囲50km圏内の致命傷や死病を負った、または自殺衝動を持つ生物を引き寄せ捕食する。実際には自ら死を望む生物だけを引き寄せ、その痛みを和らげ安楽死させるが、危険性があるように報告書は書き直されている

SCP-047 - Microbial Mutagen (微生物変異原)
錆びて酷く破損したガスシリンダー。外気にさらされると蒸発し、その気体に触れた微生物を異常に活発化・変異させる

SCP-048 - The Cursed SCP Number (呪われたSCPナンバー)
SCP-048に割り当てられた物は必ず紛失・破壊・盗難等の被害に遭い失われる。SCP-048の担当職員も死亡・重傷・懲戒になりやすい。そのため欠番となり、番号それ自体がSCPに認定された

SCP-049 - Plague Doctor (ペスト医師)
ペストの治療と信じ患者を殺す人型SCP。治療された患者はゾンビとして蘇り人を襲う

SCP-050 - To The Cleverest (最も賢きものへ)
破壊不能の猿の彫像。底に「最も賢きものへ」と書かれており、所有者に利益と不利益を与える。記録も観察もできないが所有者の部屋を綺麗に掃除し、ついでに何らかのいたずらを仕掛ける。より賢い者のもとへと移る性質を持つが、財団の職員は自分こそが最も賢いと主張する者が後を絶たないため、財団から引き離したり、安全に管理することができずにいる
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ミステリ感想-『人喰い』笹沢左保

2016年08月02日 | ミステリ感想
~あらすじ~
花城由記子は勤め先の社長令息との叶わぬ恋に殉じ、心中を選んだ。
だが男の遺体だけが見つかり、彼女の姿はなく、会社への復讐計画に彼女の姿が見え隠れする。
遺された妹の佐紀子は、恋人とともに事件の真相を追う。

61年日本推理作家協会賞


~感想~
並の名探偵よりよっぽど優れた佐紀子の推理力と、些細な手掛かりから導き出される意外な真相を備え、安定感あふれる筆致で描かれた物語は最後まで興味を引く。
またタイトルとつながる真犯人の最後の独白は、現代ならば明らかにサイコパスに分類される凶悪きわまりないもので、その悪魔的な犯行計画とともに強い印象を残す。
古き良きミステリの枠組みは出ないが、やや地味ながら作者の力量を感じさせる、日本推理作家協会賞も納得の良作である。

また双葉文庫版の山村正夫による解説は、終盤にあらすじの8割を書いてしまっているものの、身内同然に付き合っていた笹沢左保の天才的な創作姿勢や、興味深い逸話を多く語っており実に面白かった。


16.8.1
評価:★★★ 6
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8月の新刊情報

2016年08月01日 | ミステリ界隈
1日 角川書店
綾辻行人 深泥丘奇談・続々

4日 文春文庫
連城三紀彦 小さな異邦人 ★★★★☆ 9
若竹七海 静かな炎天

10日 講談社ノベルス
風森章羽 渦巻く回廊の鎮魂曲 霊媒探偵アーネスト
小島正樹 武家屋敷の殺人 ★★★★ 8
柴田よしき ドント・ストップ・ザ・ダンス
下村敦史 闇に香る嘘 ★★★☆ 7

12日 東京創元社
市川哲也 名探偵の証明 蜜柑花子の栄光

25日 角川文庫
相沢沙呼 マツリカ・マハリタ

27日 角川書店
大村友貴美 梟首の遺宝
雫井脩介 望み
深木章子 猫には推理がよく似合う

30日 文藝春秋
我孫子武丸 裁く眼

31日 新潮社
法月綸太郎 挑戦者たち

31日 創元推理文庫
久住四季 星読島に星は流れた
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