1950年代のセーヌ左岸派文化全盛のころ、サンジェルマンデプレのドンだったボリス・ヴィアンは、取り立てて優れた文学者だったとは思えない。ミュージシャンとしても、トランペットも歌もほとんどシロウト同然だった。それでも彼は、歴史に残る1編の詩を書き残している。
血を流さなければならぬなら
あなたの血を流しなさい
大統領閣下
あなたは国民の善き指導者なんだから
「徴兵忌避者 Le déserteur」は、今も昔も「卑怯者、臆病者」のニュアンスで語られる。ヴィアンはあえて、その言葉をタイトルに選んだ。そこに庶民の目線がある。権力者の捨て駒にされるのは、いつも無名の市民である。抵抗すれば、非国民とののしられる。
この反戦歌を歌うべき時が、ふたたびやってきた。「大統領閣下」を「総理」に換えて。
昨日、安保関連法案が閣議決定された。10年後には、徴兵制が復活しているだろう。
血を流さなければならぬなら
あなたの血を流しなさい
大統領閣下
あなたは国民の善き指導者なんだから
「徴兵忌避者 Le déserteur」は、今も昔も「卑怯者、臆病者」のニュアンスで語られる。ヴィアンはあえて、その言葉をタイトルに選んだ。そこに庶民の目線がある。権力者の捨て駒にされるのは、いつも無名の市民である。抵抗すれば、非国民とののしられる。
この反戦歌を歌うべき時が、ふたたびやってきた。「大統領閣下」を「総理」に換えて。
昨日、安保関連法案が閣議決定された。10年後には、徴兵制が復活しているだろう。