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8月初旬に試験場の場内管理をお願いしている方(森林インストラクターをしていて植物に明るい方)からニガキとあるけど花の時期がおかしいので違う木ではないかとの連絡がありました。
研究員さんと一緒に調べてみると確かに時期が違うし高枝切りで葉と花を採取して検索してみるとニガキではありませんでした。「らしいかな?」と行き着いた植物は沖縄・南西諸島に自生するハマセンダン・・・でも、しっくりこないので再度調べ直しているとイヌゴシュユではないかなと・・・そして、以前イヌゴシュユについて赤城に人工植栽されていて調べているとの話を聞いたことがある自然観察会の講師仲間である片山先生に連絡をとってみました。
そして、先生から大御所である小暮先生、自然観察指導員会長の神宮さんと3人で見に来るとのことで、場内の木を見て貰うと、やはりミカン科のイヌゴシュユだろうということでした。イヌゴシュユは現在の標準和名は「シュユ」で、名前はイヌゴシュユやチョウセンゴシュユ、ビービーツリーと多々あり、学名までもが何度も変わってしまっているという奇怪な樹木でした。
シュユ(茱萸)はミカン科ゴシュユ属の中国北部と朝鮮半島に自生する落葉高木で、葉は対生の奇数羽状複葉で小葉は5~11枚です。
雌雄異株で8月頃に枝先に散房花序を付け、白色で5弁の小さな花を密生させます。この花が蜜源となって多くのハチやチョウなどの昆虫を呼び寄せるのでビービーツリーという名前も付いているのですね。(科名の元となったゴシュユは別の木で、古代の呉の国に自生するシュユだからゴシュユ(呉茱萸)なのだそうです。)
葉痕も面白そうです。時期になったらマクロで撮り直しです。
試験場の木は雌株の1本だけで雄木がないので実が付かないはずなのですが、近くには幼木がたくさん芽を出していました。
先生方によると根の先端付近から萌芽するとのことで納得しました。
さて・・・今日は昼ごろに出発して新潟の三面川に泊まりでアユ釣り(GFGの懇親会)です。釣れるといいなぁ~
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イヌゴシュユについては諸説さまざまで、此処にも書いた通り色々に変わっておるようです。
私も自信を持って言えないのですが・・・今のところ上記の様に思っております。
正説が判明されましたら是非ご教授お願いいたします。
ゴシュユ属の代表例として
和名ゴシュユ(別名ニセゴシュユ学名:Tetradium ruticarpum)、和名シュユ(別名イヌゴシュユ学名:Tetradium daniellii)、和名ホンゴシュユ(学名:Tetradium ruticarpum var. officinale)、和名ハマセンダン(別名シマクロキ学名:Tetradium glabrifolium var. glaucum)等が挙げられます。
ゴシュユ(ニセゴシュユ)とシュユ(イヌゴシュユ)は漢方薬植物として江戸時代に入って来て、先人たちは雌株の走出芽や挿し木栽培によりクローン増殖させて来ました。
故に日本ではゴシュユ(ニセゴシュユ)、シュユ(イヌゴシュユ)共に雌株に比べ雄株は極少数です。
私が調べた本にも同様のことが書いてありましたが、自信が無くて・・・
やはりイヌゴシュユ(シュユ)でいいのですね。ゴシュユはシュユに似て呉にあったからゴシュユ(ニセゴシュユ)ということですね。
あっ・・・標準和名がシュユですね!
そのシュユのうち、呉の物が質が良かったのでゴシュユと呼ぶようになったのです。
少しずつ分類が進み日本人は呉のゴシュユを本場本物のゴシュユとしてホンゴシュユと呼び、恐らく耐寒性の観点からホンゴシュユの近縁種のゴシュユ(ニセゴシュユ)と近縁種で更に耐寒性が強く大型になり実が多く採れるシュユ(イヌゴシュユ)を選んで帰化させました。
ですから順番としてはホンゴシュユが基準となり、帰化させる時にゴシュユ(ニセゴシュユ)、シュユ(イヌゴシュユ)の呼称が生まれました。
別名のニセゴシュユのニセとは本場本物の呉のホンゴシュユではないというところから、イヌゴシュユのイヌとはホンゴシュユやゴシュユより大型に育つところから付けられたと考えるのが最も自然です。
今度、この樹を説明するときにパクらせて戴きます(笑)。