テレビのワイドショーを観ている人にお奨め。
いや、テレビという媒体を考えたいという人にお奨めでしょうか。
『グッド・モーニングショー』は、朝のワイドショーです。
中井貴一はメインキャスター。女性キャスターに長澤まさみ、志田未来。
(役名は省きます)
ワイドショーには生放送しかない。毎日2時間ほど放送されている。
これがどれほど大変なことか、映画を見ればよくわかる。
そのうえ、速報や事件があれば、番組内容がどんどん変わる。
このことに対応できる態勢が長年の経験でできている。
制作がフジテレビということもあって、とてもリアルだ。
後半は、番組中に起こった人質閉じこもり事件からの展開になる。
犯人は中井キャスターを名指しで呼び出す。
警察は中井に協力を求める。
中井は現場に駆けつける。
これも番組が他社を抜けるからという動機である。
中井は現場からの報道で過去に致命的なミスをしたことがありトラウマになっていた。
また長澤キャスターからは番組中に中井との仲を自ら暴露すると言われている。
揺れる心のママに武装犯人と防御服を着て対峙する。頼れるのは、今を瞬時に語ることができる話力だけである。
現場という抜き差しできない時間の中で話力だけで時間と対峙する。
今だけの言葉。
国会と違い議事録は残らない。
このようなテレビマンの支えとはなにか。
矜持は何か。
視聴率であってはならない。
こころざしであり人のために進むという姿勢であろう。
過去を振り返ればテレビのキャスターの中にそのような人は確かにいたと思う。
歯車でありながら、意志を持ち続けることが出来た人が。
いやいや、これは私たち自身のことである。
記憶や記録には残らない私たちのことである。