「中国残留日本人孤児」とは実態がわかりにくい行政的表現だ。
残留とは勝手に残ったようにとられるが、当時幼児であった人々に
残る意思があるわけはない。
正確にいえば、「置き去りにされ、孤児にされた人々」である。
もちろん、置いていった親の選択肢は一つしかなかった。
そしてその判断ができたから孤児となった人々は生き残ることができた。
日本に一緒に帰るべく同行した子供を道半ばで無念にも亡くした親は
多いのだから。
その極限状態で里親となり育ててくれた中国人こそ恩人である。
しかし子供たちは日本人としてつらい思いをしてきた。
そして念願かなって日本に来た(ほとんどの人は中国生まれ)人々を
待っていたのは、異邦人としての扱いだった。
今回の神戸地裁判決はその日本政府の対応のまずさ=思いやりのなさを
糾弾している。
ここにも悲しい役所仕事がある。