岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

朝日新聞の社説21 憲法記念日に

2007-05-07 19:23:51 | 世界のなかま
読み応えあり。
ひとつに指標になりえると思う。
もしこれが価値のないものとすれば日本のメディアの歴史の主要な部分
(時の政府批判)の価値を低めてしまうことになる。

それだけの意気込みをもってこの新聞社はこの特集を組んだ。
この取組には先のNHKとの確執があったことが大きいと思う。
この点について横道にそれると朝日新聞阪神支社襲撃事件の報道で
NHKが記者遺影の祭壇に社旗が映っていた映像を流したことををみて 
レベルの低い争いは終結していると確信した。
一時、お互いの社のシンボルを報道することに極度に神経質になっていた。
これも過去のことになったのだろう。

横道から帰ってこよう。
朝日は、提言「日本の新戦略」で「世界のための世話役」になる。
地球貢献国家になれと訴えた。
これは地球というユニットに対して日本がどのようにコミットするかを
真剣にまじめに考えての提言である。細かくは読み込めていないが、
この提言には同意できることが多い。
いや教えられることも多い。私自身の知識が及ばないことも書かれている。

人間の長所や弱点もよく認識され楽観も悲観も抑えられている。
個人的には日本の国際的貢献にはもっと幅があるようにも思っている。
福祉や宗教に対する他の選択肢の提言が「もったい」思想とともに
考えられる。
これは国情が大きく作用されるがアナザー視点の提案にはなりえると思う。

この社説21が朝日新聞の21世紀のマニフェストになるのだろう。
これからの朝日の論説はこの提言に沿って行われるのだろう。
さまざまな主催行事もこの提言の影響下にある。

この提言でなるほどと感心したことが多い。
たとえば提言9の「アジア版「ユーロ」を遠くに見据える」という
言い回し。
遠くに見据えるということは何か。
それは羅針盤の役割の評価である。
50年後という目標も「戦後60年かかったユーロの成果」をみれば
決して不可能ではない。
また、提言8の「弊害と向き合い、上手に果実を増やす」がいい。
どうも「最近の日本人はこの上手に果実を増やす」と
「遠くに見据える」ことが苦手である。

この提言21は、今の日本の現状を見据えている。
そこには観念的な美しい日本はない。
現実的な日本がある。それも希望的な日本であり世界である。
このように進めば日本も捨てたものでもないという感覚がある。
しかも斬新的であり教条的ではない。
この点では今の政府は教条的で古典復古的で急進的である。
リスクも多い。

提言21は新たな論点を提示した。これは7月の参議院選挙の
論点にも十分なりうる。

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