苦しきはこひにやぶれてそののちもまだ捨てられぬ君への思ひ 揺之
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とほき海をながむる君の目をおひて鳥のごと飛ぶ心をぞ知る
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苦しみを重くかかへてひとり野を歩く我が身の袖を吹く風
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空低くかかる月をぞ目指しつつ荒れ野をひとりゆく我が身かな
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白雪の降り積もる野を眺めてはけふゆく道をうれひもぞする
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届かざるゆふべの月に手をのべてこひしき人を思ふ秋かな
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君がゆく道にちひさき花を植ゑ悲しみの日のなぐさめとせむ
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春の野を流るるみづのそのごとくいづへにかゆくわが心かな
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遠き日に去りし人をぞ思ひつつ胸にしみくる寂しさの色
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