民主党の岡田克也幹事長は3月14日(月)の定例記者会見で、与野党の幹事長・国対委員長会談で、来年度(平成23年度)予算案と関連法案の年度内成立をお願いし、「賛否の違いはあるが、審議には協力してもらえる」との理解を得られたと明らかにしました。そのうえで、平成23年度第1次補正予算(案)で、「不要不急」の歳出を減額補正し、(歳入も同額分の減額補正)する考えを各党に示した、と明かしました。これに先立ち公明党代表の山口那津男さんが首相官邸に菅直人首相(民主党代表)を訪ね、このアイディアを提案していた(岡田さんは所要により同席できず)ことも説明しました。
岡田幹事長の定例記者会見は、「3・11」東北太平洋沖大震災発生以来、初めて。きょう3月14日(月)の取引では、国債が買われましたが、これはリスク資産の株から安定資産の国債にマネーがシフトしただけと考えられ、今後も国債市場の安定という「危機管理」が復興のエンジンとして絶対的に必要になってきます。
広辞苑によると、「不要不急」とは「どうしても必要というわけでもなく、急いでする必要もないこと」という意味です。
ただ、減額補正とはいっても、平成23年度の総予算の歳入・歳出の総額を減額するという意味ではなく、一部の事業を削ったり、次年度以降に先送りしたりしたうえで、復旧・復興の事業を計上するということになりますから、総予算の歳入歳出総額は増えると思われます。要はメリハリをしっかりきかす、ということ。自民党の谷垣禎一シャドウキャビネット首相(総裁)が提案している増税や、国債増発を完全に否定したわけではありません。
まずは、参議院にある平成23年度予算(案)、衆議院にある予算関連法案とくに歳入関連法案の年度内成立が必要です。
ところで、2月14日(月)の記者会見は、終了後に、番記者を代表した女性からバレンタインデーの贈り物を渡されそうになり、「いえ、困ります、困ります」と照れながら断る出来事がありました。もちろん善意だったわけですが、それから1ヶ月経ったホワイトデーのきょうは、時間的にも大変慌ただしいので、照れながらも断ったことが結果的に時間的な余裕につながったことになります。2月14日の会見は私は党本部の記者会見室で聞きましたが、きょうは自宅が計画停電の対象地域となり(結果として停電せず)ましたので、ネット中継で見ました。
統一地方選の実施時期に関する質問のなかで、「節電は今後も続く」として、夏になっても節電が続くとの見通しを示しました。東京電力の福島第一原子力発電所の1号機などへの海水の処理については、「塩水(えんすい)を注入したので再開は難しいかもしれない」「苦渋の決断だったと思う」として、電力安定供給と原子力安全確保の双方のバランスを考えた、東電や政府の判断に一定の理解を示しました。
「三つ子の魂百まで」という言葉がありますが、岡田さんはぜいたくをきらう、薄利多売の流通業者の家に育ち、そして、22歳で通産省に入ったときは、オイルショックで石油の配給切符をつくる仕事を町村信孝・元官房長官らと経験していました。配給切符は運良く、日の目を見ることがありませんでした。これは秘密の仕事だったようです。岡田さんは15年間の通産省勤めのおよそ半分をこのような資源エネルギー関係の部署で過ごしています。通産省(旧経産省)・資源エネルギー庁の後輩は、ぜひ、ディスクロージャー(情報という重荷を解くこと)で、国民の信頼を得られるようにして欲しいと思います。
今はまさに、孫文が言う「訓政期」(くんせいき、政治を鍛える時期)です。岡田さんは「自分の意見は最後に言うようにしている」として、まず野党幹部や与党内政府外議員の声に耳を傾けることにしていると会見の中で強調しました。記者会見は昨年9月の幹事長復帰後もっとも短い、15分ほどで終わりました。
[画像]記者会見する民主党幹事長の岡田克也さん、2011年3月14日午後5時30分ごろ、民主党ホームページのインターネット中継からキャプチャ