【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

NHK日曜討論で岡田本部長、石破幹事長謝罪を要求 「小選挙区比例代表並立制」守り抜く!

2013年04月14日 20時50分33秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

[写真]民主党の岡田克也政治改革推進本部長、細野豪志幹事長、2013年4月2日(火)、民主党本部内、筆者(宮崎信行)撮影。

 早いもので、連休前国会は残り2週間、10営業日となりました。

 自民党と民主党は4月16日(火)の本予算の衆院通過と22日(月)の参院審議入りで合意しており、本予算が成立しないままの連休入りになります。連休前国会最終日の4月26日(金)が、会期末6月26日(水)の62日前であることから、日本国憲法60条「3分の2再議決」による法成立の参院採決のメドとなります。

 2013年4月14日放送の「NHK日曜討論」は時間を15分拡大して、「どうなる選挙制度改革」を放送しました。

 各党の選挙制度実務者として出席したのは、自民党が細田博之・幹事長代行、公明党が北側一雄副代表、民主党が岡田克也・政治改革本部長、日本維新の会が片山虎之助さん、みんなの党が中西健治さん、生活の党が鈴木克昌幹事長、日本共産党が穀田恵二さん、社民党が又市征治幹事長、みどりの風が舟山康江・政調会長、新党改革が舛添要一代表。

 政府は、2013年4月12日(金)の閣議で、「鳥取県を定数2としたうえで0増5減する公職選挙法と区割り審設置法の改正法案(183閣法51号)」を決定しました。

 この法案について、野党から「自民党は0増5減で食い逃げしようとしており、抜本改革をしないつもりだ」との指摘がでました。島田敏男NHK解説委員が細田幹事長代行に「今国会中に(改正公職選挙法成立後に)2段階で抜本改革をする用意があるのか」と問いただすと、細田さんは「4月中に両院を(改正公選法が)通れば、今国会中にやる用意がある」と答えました。スタジオ内の野党実務者は、「0増5減でお茶を濁しそうで信用できない」という風情でした。

 岡田さんは「細田さんの言うことはおかしい。人口比例にするのならば鳥取県は(閣法の2ではなく)1になるはずだ。党利党略ではないか。説明してほしい」としたうえで、「抜本改革をこの国会(第183通常国会)でやるのは時間的に無理だ。別にやるべきだ」と話すと、スタジオ内からどよめきが起こりました。

 これは、細川内閣が命と引き替えに成立させた「平成6年選挙制度改革4法(細川・羽田法)」の肝である「小選挙区・比例代表並立制」を守り抜く覚悟を示した発言。

 片山さんも「抜本改革はできればいいですよ。ただ会期は(残り74日間と)短いけどね。それよりも、高裁の(憲法違反で選挙は無効だという)判決が出て、0増5減では無理だということになっている」と話し、閣法ではなく、1人別枠方式を完全廃止した法案を審議するよう迫りました。

 この後、各党が閣法への対案を披露しました。



 民主党は、
 小選挙区を300→270へ。
 比例代表を180→130へ。



 日本維新の会は、
 小選挙区は300→240へ。
 比例代表は180→ 96へ。


 みんなの党は
 小選挙区を300→0へ。
 比例代表を180→300へ。
 


 生活の党は
 小選挙区300→240へ。
 比例代表が180→130へ。

 とそれぞれの対案を披露しました。

 岡田さんは、野党案を閣法と同時に審議して欲しいと要望したうえで、名指しは避けながらも、「自民党の幹部から『3分の2を使う』という発言が出たことを謝罪し、撤回してほしい」と石破茂・自民党幹事長(鳥取1区)を暗に批判しました。

 社民党の又市幹事長も「そうだそうだ、(このスタジオには)5人の参議院議員いるんだ」とヤジを飛ばし司会者から制されると、「(石破発言は)参議院に対する冒涜だ!」と叫びました。

 岡田さんは「1人別枠方式(の廃止)に反対しているのは自民党だけで、(1人別枠方式の維持で)得をするのは自民党と民主党だけだが、民主党は割り切りました」と語りました。これを裏付けるように、前日、定数が3から2に減る山梨県では、民主党県連が衆院2区総支部長(前衆院議員)を夏の参院選に院替え出馬させることを決めた、と報じられています。

 細田さんが「新聞報道で誤解があるが、(区割りは)住民基本台帳ではなく、国勢調査に基づくことになっている」としました。これは私はその通りだと思ったのですが、きょうの番組を見て、認識が変わりました。みんなの党の中西さんが冒頭発言で、「(選挙無効判決が)選挙当日の有権者数に基づいていることに留意すべきだ」と発言。片山さんは細田発言を受けて、「住基台帳は国調台帳の先触れであって、(10年に1度の国勢調査結果は)かならずそうなる」とし、住基では既に6選挙区で2倍超になっている、との指摘を尊重すべきだとの認識を示しました。そのうえで、「だから、0増5減だけでは不十分だ。0増5減で食い逃げするのではないかという野党の懸念を払拭するのは自民党の責任だ」と語りました。

 これまで維新は園田博之さんが実務者でしたが、理由は分かりませんが、きょうは片山虎之助初代総務大臣(昭和33年自治省)になりました。片山さんというと思い出すシーンがあります。橋本官邸を一人訪れた片山さんは「私は自民党岡山県連会長。総理は自民党岡山県第4選挙区総支部長だ」として、県連に関する案件では、自分が総理より偉い立場だ、と記者に強調しました。まったくもって正しい認識だし、政治家のあるべき姿です。片山さんは岡山県知事を狙っていると噂されていましたが、複数の総支部長との折り合いが悪かったともされ、知事選に出馬することはありませんでした。しかし、橋本行革で誕生した総務省の初代大臣となり、「三位一体の改革」という大胆すぎる命名の改革をしました。やはり、国の将来を考えているのは、経世会出身者だなという感じがしました。頼もしい限り。

 細川・羽田改革のうち、「1人別枠方式」に関しては、平成23年最高裁判決は「卒業」を命じまし。しかし、小選挙区比例代表並立制による政権交代ある二大政党政治はようやく始まったばかりです。20年前の国会は、「改革派」と「守旧派」に2分されました。この国会は「改革派」と「エセ改革派」を仕分ける国会に進化しました。あの夏熱病に冒された若手議員のうち、「改革」という美名の下に、国家国民を裏切り、私益を貪ったのは誰か。いったい誰が「改革派」で誰が「エセ改革派」だったのか。

 「一度裏切る者は二度裏切る」ーーそれが明らかになる会期末まで残り74日間・47営業日(連休谷間除く)となりました。

tags 細川護煕 羽田孜 橋本龍太郎


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