【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

「地球の裏側で日本人クリスチャンがISILに殺害さるも安倍首相「テロとの戦い続行」をヨルダン国王に宣言

2015年02月01日 19時41分21秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

[写真]後藤健二さん殺害について記者に答える安倍首相、2015年2月1日(日)、NHKテレビ映像、筆者(宮崎信行)撮影。

「後藤さん殺害」映像公開=イスラム国、日本も標的-安倍首相「テロリスト許さず」(時事通信) - goo ニュース


中東シリアなどの一部地域を支配して「イスラム国だ」と自称している、イスラム教の一部過激派武装集団、ISILに拘束されていた後藤健二さんが殺害されました。この後藤さんとともに拘束されていた男性も1週間前に殺害されています。先週殺害された男性が拘束されていたことは、日本でも報道されていましたが、後藤さんが昨年後半から拘束されていたことは政府・外務省は発表しておらず、1月20日のISILの投稿動画で、一般の知るところとなり、CNNでも報道されました。

筆者は、日曜日でも午前3時から読売新聞、午前4時から朝日新聞販売店配達の各新聞をよみ、午前6時からTBS時事放談を見る関係上、午前5時のNHKニュースを見ており、VTRによるニュースが流れていましたが、突然スタジオに戻り、新しい情報としてアナウンサーが読み上げ、インターネットをウォッチしていた国際部デスクが口頭で動画の内容を説明しました。

 筆者は、午前5時15分ごろには、ISILの動画を発見し、自ら見ました。後藤さんは、首の片側にナイフを突き付けられたときには、運命を悟り、顔をゆがめながら目を閉じました。私もさすがに目を薄めながら動画を見ましたが、ところが動画には殺害する最中のシーンは無く、静止画になりました。静止画では、手錠を両後ろ手にはめられたままの首がない胴体の背中に、明らかに後藤さんである夥しい鮮血にまみれた生首が置かれており、後藤さんの召天(後藤さんは日本基督教団のキリスト教徒)は見るからに確実でした。殺害シーンの動画を省いたのは、ISILが日本人らの怒りの矛先がISILに完全に向かうのではなく、ある一定部分を安倍首相ら日本政府に向かわせようという考え方があったのだろうと思われます。

 夜、安倍首相はヨルダン国王に対して、「人道支援をさらに拡充し、テロとの戦いで責任を果たしていく」と語り、「テロとの戦い」の継続を宣言しました。

 サミュエル・ハンチントン著「文明の衝突」の日本語版は、550ページの大著ですが、この冒頭に、4ページだけの「日本語版への序文」があります。ここで、ハンチントン教授は「日本の文明と文化は西欧のそれと異なったままである。日本は近代化されたが、西欧にならなかったのだ」「日本は自国の利益のみを考慮して行動することもでき、他国と同じ文化を共有することから生じる義務に縛られることがない。その意味で、日本は他の国々がもちえない行動の自由をほしいままにできる」としています。

 ちなみに、ISILを空爆したヨルダン軍のF35のパイロットも拘束されています。彼はイスラム教徒です。ISIL側の主張によれば、彼は現在も生きていて、後藤さんよりも長く生きていることになります。 例えば、ISILの支配地域が、イスラエル・ヨルダン・トルコ・イラン・サウジアラビアという地域に迫ってくれば別ですが、シリア・イラクの領内にとどまっている限り、我が国の安全保障上の利益や、経済なかんずく石油の利益にはほとんど関係ありません。ヨルダン国王との連帯感は必須ですが、シリア・イラクと日本には何も関係はありません。安倍首相はただちに、「ISILとの戦い」から手を引くべきです。

そして、地球の裏側まで、自衛隊と武器弾薬を際限なく送り込む、昨年7月1日の閣議決定はすみやかに撤回すべきです。これは、公明党もお得意の骨抜きではなく、閣議決定辞退撤回しないと、4月の第18回統一地方選では、中の下くらいの順位で当選していた現職が、足腰が弱り、微妙に落選してくかもしれません。公明党地方議員も北側一雄副代表や、西田実仁・与党協議会メンバーらを徹底的に突き上げたら、良いのではないかと、かつての仲間(私は新進党員だった)から余計なアドバイスをさせていただきたいところです。