【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

完全超与党ペースの国会に、法案付託見込みの衆議院全常任委員会で大臣所信説明終わる

2018年11月09日 16時48分03秒 | 第197回臨時国会2018年12月までの「定例日無視延長なしのひどい国会」」

 園遊会があるので、午前だけの国会となりました。

 大臣の所信表明。

 (1)衆議院内閣委員会は所信表明に対する一般質疑が始まり、自公立国の4会派が質問完了。
宇う
 (2)法務、外務、厚生労働、文部科学、農林水産、安全保障(防衛大臣)の6委員会は所信聴取終了。

 (3)総務、環境、財務金融、国土交通、経済産業の4委員会はまだ。

 ですが、法案が審議される見込みの常任委員会では、きょうまでに全委員会が所信表明は完了したことになります。ですから、完全与党ペースになりました。まあ、国民が野党を叩いて叩いて叩きまくって「食べていくためには政治を辞めないといけない」という状況まで追い込んだ反動ですから、来夏までは当面どうにもなりません。

【衆議院法務委員会 平成30年2018年11月9日(金)】

 山下貴司法務大臣は所信表明で「上川陽子大臣からバトンを受け取り、第101代の法務大臣に就任しました」。前大臣の名前に言及したのは、今回、山下大臣だけかもしれません。山下さんは「出入国管理法及び法務省設置法など改正案」(197閣法1号)について、「成立すれば中小事業者を含めて専門性のある人材を受け入れらるし、出入国在留管理庁が創設されることで適正に管理できる」と強調し、法案審議を求めました。

 今週一気に話題になった外国人と健康保険について、「外国人に対する社会保障について、法務省が一定の情報を関係機関に提供して加入を促進し、制度を所管する厚生労働省と連携する」と明言しました。おおよそ6年ぐらい前、みんなの党が、法務局は国税庁に情報を自動的に提供するのに、日本年金機構には提供しないと問題視していましたが、法務省と厚労省の連携が良くなってきたようです。

 山下法相は、「無戸籍者については、まず、徹底した状況把握をし、当事者には法務局が寄り添う」と明言しました。

 法制審議会の過程については、(1)民事執行法の見直しは既に法案の要綱をもらっており、(2)公益信託(3)会社法制(4)戸籍法(5)民法特別養子縁組ーーは各々部会ができているとしました。

 また、「裁判官給与法案」(197閣法6号)「検察官給与法案」(197閣法7号)の審議をお願いしました。次回の日程は決まっておらず、公報で伝えることにして、散会しました。

【衆議院文部科学委員会 同日】

 柴山昌彦文部科学大臣と桜田義孝五輪相の2大臣が、衆ではこの委員会。

 まず、「原子力損害賠償法改正案」(197閣法2号)は文科省のようです。今週の記事に一部認識違いがあったかもしれませんが、文科委・柴山大臣も内閣提出法案の質疑にのぞむことになります。

 柴山さんは、文部科学大臣(兼)教育再生担当大臣。併任事例に、安倍晋三内閣ができた12年前の世論を思い出しました。日教組支配の打破と教育基本法改正は成功しましたが、省は経済官庁として堕落した印象の12年です。柴山大臣は「幹部の逮捕など省の不祥事は遺憾だ。外部有識者チームの中間とりまとめをもとにして、大臣や若手が省の在り方を議論している」と冒頭語りました。私は義務教育を担当する局を筆頭局にしないといけないと前々から考えています。柴山大臣は「家庭の経済状況に左右されることなく教育が受けられる」としながらも、2兆円の政策パッケージ、骨太の方針、全社会型社会保障など、政策パッケージに言及するばかりで、あまりにも財源にこだわり過ぎている今の文科省を浮き彫りにしたように、私には感じられました。

 桜田義孝五輪相の答弁には、当ブログにも読者の意見が来ていますが、きょうの所信表明では冒頭から言い間違いがあり、「(アジア競技大会は)2018年!」「冷静に!」との与党から大臣への応援ヤジが飛びました。

 次回は14日(水)午前10時から一般質疑。

【衆議院厚生労働委員会 同日】

 再入閣の新顔、根本匠大臣が所信表明。話の展開は、(1)就労年齢の延長→(2)年金支給年齢繰り下げ→(3)未病対策という、今の政権の3段論法をとりました。この後、各府省庁の障害者法定雇用率水増しについて、厚労省の立場から「遺憾だ」とし、さらに「お詫びする」と素直に語りました。

 この後、「参議院で継続審議となった、「水道法改正案」(196閣法48号参先議=前会で参議院で継続のため=)の早期の成立をお願いしたい」としました。

 根本厚労相は、福島選出の元復興相として、「私自身も(今も)復興大臣としての強い思いがある」と厚労省からの復興について時間を割いて話しました。そして、先の通常国会で成立した法律について、その執行状況について説明しました。省の職員では法律施行後に忙しくなり人数の方が多いわけで、なかなか、厚労省は大変だな、という感想を持ちました。

 この後は、他の委員会同様に、副大臣・政務官のあいさつ。ここで、大口善徳副大臣が「医療、食料、社会福祉、子育てを担当します」とあいさつ。公明党国会対策委員長の8期22年の大口さんとペアを組む自民党の高階恵美子副大臣は2期8年ということで、高木陽介・新国対委員長に代わられた大口さんの副大臣が「更迭・左遷人事」だったことは間違いなく、元気が無さそうでした。

【衆議院外務委員会 同日】

 若宮健嗣委員長が就任あいさつ。安保の岸信夫委員長同様、集団的自衛権の解禁に奔走してきた自民党の族議員です。

 河野太郎外相の国際情勢の説明があり、一部報道があったRCEPですが、「早期発効をめざす」とスケジュールは語りませんでした。また、6つの重点項目の中の5つ目ですが、「中東への政治的関与を増やす」と明言したのは、私としては考えが違うところです。次回は、14日(水)午前9時から一般質疑。

【衆議院内閣委員会 同日】

 7日(水)の9大臣の所信表明に対する一般質疑。合計7時間コースで、きょうは園遊会のため、3時間だけ開かれました。自公立国の4会派が、合計4大臣だけ要求して審議しました。与党はかなり質問時間を野党に譲っているんだと思います。

 ターゲットになったのは、片山さつき大臣ということになります。唯一の女性閣僚で目立つとはいえ、やはり本人の説明が迷走しています。今国会から立憲会派入りした今井雅人さんがさっそく質問し、無償で配布していたカレンダーを有償でも販売したことについて、片山大臣は「ドジョウよりウナギカレンダーと呼んでいる」と答弁しながら自分ひとりだけ吹き出して、「結果的に1枚も有償では売れなかったので、政治資金収支報告書には記載していない」としました。税金の口利き疑惑については、本人がしどろもどろになっており、内容よりも態度に少し問題があると思います。国民民主党の後藤祐一さんに対して、「特別通行証について参議院に提出した書類は発見された」とはじめて答弁しましたが「個人情報が多い」としました。

 内閣委員会に限れば、立憲と国民が協力して、片山さつき地方創生相を追及しましたが、後藤さんが「株式会社片山さつき政経研究所と、N元秘書との間のお金の動きを全部出せ」とやや無理筋に思える質問をするなどしました。いわゆる「大臣のクビをとる」ということは、今国会の前半戦はできない、という見方が有力ではないかと感じます。

 次回は14日(水)9時から。おそらくその日に給与法案が審議入りするのかもしれません。

【参議院議院運営委員会 同日】

 理事会が開かれました。

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