[写真]岡田克也さん、民主党ホームページから。
岡田克也さんは8月15日終戦の日になぜ靖国神社に参拝しないのでしょうか。
岡田さんは副総理だった昨年8月10日(金)の記者会見で、私の質問に答えて
「東京裁判そのものの問題がないわけではないけれども、しかし、日本が自ら戦後を総括していない以上、やはり東京裁判というものを尊重するという考え方に立たざるを得ないと。その東京裁判の結果、A級戦犯というふうに断じられた方々が祭られている、神として祭られているということについて、そこに閣僚が行くということは、私は望ましくないというふうに考えております」
と述べています。
東条英機をはじめとするA級戦犯の靖国神社合祀後は、昭和天皇も天皇陛下も靖国神社にご親拝されていません。これについての感想は岡田さんは語っていません。しかし、岡田さんもA級戦犯の合祀は問題だと考えている点で認識は一致しているようです。
このとき、岡田さんが「これは2005年でしたか、小泉さんと党首討論の議事録を見ていただければよく出ているというふうに思います。小泉総理と全く意見は、ある意味では一致したのですが。永久に戦犯が戦犯であると、戦争犯罪人であるということは一致したので。」と話しているので、議事録を調べてみました。
第162通常国会の2005年6月2日の衆・予算委。このとき岡田さんは民主党代表(ネクスト総理)を務めていましたが、
「A級戦犯については、重大な戦争犯罪を犯した人たちであるという認識はあるということですね」
との問いに、小泉首相は
「裁判を受諾している。二度と我々は戦争を犯してはならない、戦争犯罪人であるという認識をしているわけであります」
と答弁しています。
すなわち、安倍首相や小泉自民党青年局長は、小泉首相が「戦争犯罪人であるという認識をしているわけであります」と答弁したA級戦犯が祀られている靖国神社にきょう、代理も含めて参拝したことになります。
岡田さんはもともと厚生族。経世会(自民党竹下派)の伝統的な利権でした。
岡田さんは自筆の著書で、「新人議員だったとき、私は厚生委員会に配属された。私の希望を汲んでの配属だ。誰がどの委員会のメンバーになるかは、党というよりは派閥が決めていた」「経世会の一員である私の希望が、聞き届けられやすかったのは間違いないだろう。まさに望みどおり、厚生委員会配属になったわけだ」(『政権交代』71ページ)としています。
2013年8月15日(木)も、経世会からは、恩給局を持つ総務省の新藤大臣が参拝しています。一方、援護局を持つ厚生労働省の田村大臣は参拝していないようです。経世会のなかでも対応が分かれていますが、清和会の安倍首相は、自民党総裁として代理参拝しました。安倍首相は自民党政調の厚生部会長(社会部会長)を経験した厚生族です。
岡田さんは消費税による社会保障4分野の一体改革法成立という実績をあげましたが、すでに厚生族からは卒業しています。
安倍首相は、第1次内閣で岡田さんの質問に答えて靖国神社にA級戦犯が合祀されていることについて、
「日本において、国内法的にいわゆる戦争犯罪人ではないということでございます。遺族援護法等の給付の対象になっているわけでありますし、いわゆるA級戦犯と言われた重光葵氏はその後勲一等を授与されているわけでありまして、犯罪人であればそうしたことは起こり得ない、こういうことではないかと思います」
としています。A級戦犯が国内法上の犯罪人でないのはたしかですが、「援護法」の給付対象になっているから靖国神社にA級戦犯が合祀されていることに問題がないとの認識がうかがえる答弁です。安倍さんの援護法を正当性の根拠として答弁したところをみても、安倍さんはまさに厚生族であり、自民党総裁として、厚生族関係団体から票と政治献金をもらいたいという思惑がすけてみえます。
私は昨年12月15日に靖国神社に昇殿参拝しました。このときは「遺族」として昇殿しました。帰り際、遊就館の「ご遺影のパネル番号22の10列の7段目」に「東條英機命 昭和23年12月23日 東京都巣鴨拘置所で法務死」とあるのを見つけました。
少なくとも数百万人の英霊を殺した東条が合祀された神社に参拝することが英霊に報いることにはならない、と私は信じています。だから、新藤さんは、総務大臣ではなく、ご遺族として参拝したのです。その国を思い祖先を思う気持ちは、経世会に受け継がれています。
安倍首相と小泉青年局長の参拝は、昭和天皇のみならず、太平洋戦争でなくなった9割9分の英霊に対する裏切りであると断じます。「援護法の対象だから」と正当化した安倍首相ですが、軍恩(軍人恩給)連盟の全国組織は解散し、靖国に旗が奉納され、遊就館に展示されています。
昭和天皇の心をないがしろにして、自分の利権を強調するのは、東条首相も安倍首相も五十歩百歩。そして、援護法・恩給法の対象となる団体、個人から支援を受けているわけでもないのに終戦記念日に参拝する自民党チルドレンのむなしさ。昭和天皇と英霊の思いはいかばかりか。
晋太郎が泣いている、昭和天皇も泣いている。
安倍晋三首相兼自民党総裁こそ、右翼の名折れにほかなりません。
[国会会議録から引用はじめ]
159 - 衆 - 予算委員会 - 7号
平成16年02月10日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=980&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=8&DOC_ID=8390&DPAGE=1&DTOTAL=4&DPOS=4&SORT_DIR=1&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=3949
○岡田委員 A級戦犯を合祀するかどうかは、確かにこれは靖国神社側が決める問題ですね、国の機関ではありませんから。ですから、そのこと自身は、それが国としていいとか悪いとかいう問題じゃありません。靖国神社側が決める、あるいは御遺族の皆さんが決めることです。
しかし、そこに総理が行くとなれば、これは話が違うんですね。本当に御遺族の皆さんの総意でA級戦犯の皆さんが合祀されているのかどうか、これはかなり異例ではあります。つまり、軍人ではない人も合祀されています。それから、もちろん戦場で亡くなったのではありません。戦後そういうふうになったわけですけれども、私は、靖国神社にお参りするときに、やはりそこに戦争について責任を持つ人たちが一緒に祭られているというのは非常に抵抗感を覚えます。総理はいかがですか。
○小泉内閣総理大臣 私は、抵抗感を覚えておりません。。
第162回国会 予算委員会 第22号
平成十七年六月二日(木曜日)
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/162/0018/16206020018022c.html
○岡田委員 民主党の岡田克也です。
きょうは、総理の外交姿勢、そして郵政改革について議論したいと思っております。
始める前に一言確認しておきますが、きょうは総理しか呼んでおりませんので、外務大臣そして竹中大臣、そこにお座りいただくのは結構ですが、答弁は求めませんので、委員長もよろしくお願いをしたいと思います。
さて、まず、総理に対して、少し重い質問を最初にしたいと思います。
総理は、極東軍事裁判、いわゆる東京裁判、これについてどういった見解をお持ちでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 これは、第二次世界大戦後、極東軍事裁判が行われましたけれども、我が国は、我が国を含む四十六カ国が締約国となっておりますサンフランシスコ平和条約第十一条により、極東国際軍事裁判所、この裁判を受諾しておりますし、この裁判について今我々がとやかく言うべきものではないと思っております。
○岡田委員 今、総理は、サンフランシスコ講和条約第十一条によって極東軍事裁判所の裁判を受諾していると。それは事実であります。
その上で、今おっしゃったことが、とやかく言う話ではないというふうに聞こえましたが、どういうことですか。従来の政府答弁は、異議を唱えるものではない、こういう答弁ですね。同じですか。
○小泉内閣総理大臣 受諾しているということは、異議を唱えるものではない、とやかく言うものではない。
○岡田委員 総理、いろいろな国会での答弁、後でまた申し上げますが、すごく誤解を招きやすいんですよ。総理ですからきちんと答弁していただきたいと思いますが、受諾している、したがって同裁判には異議を唱える立場にはない、こういうことでよろしいですね。
○小泉内閣総理大臣 たびたび答弁しておりますように、受諾しているものであり、異議を唱える立場にはございません。
○岡田委員 そうしますと、その東京裁判、極東軍事裁判で有罪判決を受けた二十五名、うち七名が死刑判決を受けておりますが、この人たちに対してA級戦犯という言い方を通常するわけでありますが、このA級戦犯に対して総理はどういうお考えをお持ちですか。(発言する者あり)
○甘利委員長 静粛にお願いします。
○小泉内閣総理大臣 私は、東京裁判におきましては……(発言する者あり)
○甘利委員長 答弁中です、静粛に。
○小泉内閣総理大臣 A級戦犯のみならず、B級戦犯、C級戦犯、数千人の方々が有罪判決を受けている。それについて、A級戦犯についてどう思うかという御質問だと思いますが、私は、受諾しているわけですから、それについて異議を唱える立場にはございません。
○岡田委員 ちょっと総理、多分事実関係を間違っておられると思いますが、極東軍事裁判、これを東京裁判と俗に言いますが、極東軍事裁判において有罪判決を受けた二十五名について、これをA級戦犯、そのほかの軍事裁判、これは日本の国内もあります、国外もあります。それに対して、B級戦犯、C級戦犯、こういう区別をしているはずですが、今の答弁だと、東京裁判でかなり多数の方が有罪判決を受けているというふうに聞こえましたが、そこはいかがなんでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 明確な事実認識におきましては、後ほど調べて、もし御必要があればお届けしたいと思います。事実関係がどうかということについては、今、はっきりと明確に、私が答えて……(発言する者あり)
○甘利委員長 静粛にお願いします。静粛にしてください。
○小泉内閣総理大臣 誤解を与えてはいけませんので、よく調べて、調査の上、報告いたします。
○岡田委員 総理、こういう話は、私、A級戦犯について質問するということは通告してありましたし、基本的なことですから、やはり間違われない方がいいと思いますよ。
そこで、この二十五名、死刑七名、終身禁錮十六名、禁錮二十年一名、禁錮七年一名、そしてあと三名の方が、二人は途中でお亡くなりになり、一人、大川周明氏は途中で精神に変調を来して裁判から外れました。
この有罪判決を受けた二十五名の人たち、重大な戦争犯罪を犯した人たちであるという認識はありますか。
○小泉内閣総理大臣 それは、東京裁判でそのような判決を受けたわけでありますし、日本は受諾したわけであります。そういう点においては、東京裁判において戦争犯罪人と指定されたわけであり、その点は、日本としては受諾しているわけであります。
○岡田委員 A級戦犯については、重大な戦争犯罪を犯した人たちであるという認識はあるということですね。
○小泉内閣総理大臣 裁判を受諾している。二度と我々は戦争を犯してはならない、戦争犯罪人であるという認識をしているわけであります。
○岡田委員 私は、もちろん、その二十五名の一人一人を見たときに、いろいろな議論はあるんだろうと思います。しかも、東京裁判そのものについてもいろいろな議論はある。勝者が敗者を裁いた裁判であったとか、事実関係において間違いがあるとか、あるいは、新しい罪を設定して裁いたとか、いろいろな議論はありますが、しかし、我が国としてこれを受諾している、これが議論のスタートだと思うんですね。
そして、その東京裁判において現に有罪判決を受けたA級戦犯に対して、これは重大な戦争犯罪を犯した人たちである、そういう認識にまず立っていろいろな議論をしていかないと議論が迷走すると思うんですが、もう一度、そのことはよろしいですね。
○小泉内閣総理大臣 それは、東京裁判を受諾しているということで十分ではないかと思います。
○岡田委員 裁判を受諾しているということは、その二十五名について重大な戦争犯罪人であるという判決が出ているわけですから、そのことは受諾しているということですね。
○小泉内閣総理大臣 その裁判を受諾しているわけであります。認めているわけであります。
○岡田委員 それでは、具体的な話にちょっと移りたいと思います。
五月十六日の予算委員会で、総理が我が党の仙谷委員の質問に対して幾つかお答えになりました。そのことに関して、少し具体的に聞きたいと思います。
まず、総理は、戦没者に対して追悼を行うことに関して、どのような追悼の仕方がいいかということは他の国が干渉すべきでない、こう述べられました。この干渉すべきでないということは、どこかの幹事長が述べられたように、内政干渉すべきでない、こういう意味ですか。
○小泉内閣総理大臣 戦没者に対してどのような追悼をするか他の国が干渉すべきでないと申し上げたのであって、これをおかしいとは私は思っておりません。
そして、内政干渉という定義はないんです。内政干渉というはっきりした言葉の定義はないんです。どれが内政か、今それぞれの国が、いろいろな内政問題について、自分の国はこう思うということを他国に対して言います。
しかし、私の答弁をよく読んでいただきたい。戦没者に対してどのような追悼をするか他の国が干渉すべきでない、これを岡田議員はおかしいと思っておられるんですか。
○岡田委員 総理、私ちょっと我が耳を疑ったんですが、何が内政干渉かということはないんだということをおっしゃったと思うんですが、それじゃ、内政干渉の定義、おっしゃっていただけませんか。
○小泉内閣総理大臣 それは、その時々、内政というものに対して各国がこれは内政干渉だと言う場合があるでしょう。しかし、内政とは何か、こういう問題について定義はないということを申し上げているわけでございます。
○岡田委員 内政とは何かはちょっと横に置くとして、内政干渉の定義を言ってください。
○小泉内閣総理大臣 それは、各国で内政不干渉という立場というものはそれぞれの立場がとらなければなりませんが、それでは内政とは何ぞやという定義はないんですよ、内政というのは。それを私は申し上げているんです。
○岡田委員 総理、内政干渉というのは、れっきとした、きちんとした定義があります。これは、国会の場でも、政府からの答弁もなされています。ある種の武力その他の強制力をもって一国が自国の自由裁量で決定し得る事項に対して圧力を加えて自国の意向に相手国を従わせようとする行為、これが内政干渉の定義です。ですから、強制力をもって他の国の自由裁量に属することについて圧力を加えて従わせようとする行為、これが内政干渉の定義です。
ですから、総理が干渉とか内政干渉とか言っておられますが、それは俗な言い方で言っておられるのであって、この国際法上の内政干渉という考え方に立って議論しているんじゃないんじゃないですか。物すごくそれは軽率だと私は思うんですが、いかがなんですか。
○小泉内閣総理大臣 一般論として、内政干渉という今岡田議員が言っておられること、それはそうだと思いますが、内政ということについては、その国によってとり方が違うんです。だから、ある国にとっての内政、また日本にとっての内政、そういう点について、どれが内政かという定義はないと申し上げているわけでございます。
○岡田委員 総理、私は内政の議論をしているんじゃないんですよ。内政干渉のポイントは、強制力をもって圧力を加えて従わせようとする、これが内政干渉のポイントですよ。
ですから、今回の、どういう参拝をするか、そういうことについて、それが干渉だとか内政干渉、少なくとも法律的な意味での内政干渉には当たらないということは明らかなんですよ。総理は全く意味を、常識的な言葉でもって発しているわけですよ。そして、そのことが国際的紛争を招いているわけです。
○小泉内閣総理大臣 この点も岡田議員は誤解されていると思います。
私は、戦没者に対してどのような追悼をするか他の国が干渉すべきでないと言っているんです。内政干渉をすべきでないということは申し上げておりません。
○岡田委員 最初に総理がそう言われればよかったんですよ。私は、内政干渉という意味かと最初に聞いたんですから。そのときには、あやふやにして答えられたわけですね。(発言する者あり)武部幹事長が言われたことは、全く政治家として無知だし、政治家としての常識に欠ける、そういうふうに言わざるを得ないと私は思います。
それでは、次に、いつ行くか適切に判断いたしますと言われましたね。このいつ行くか適切に判断いたしますというのは、従来総理が言っておられる適切に判断いたしますということと比べれば、一歩踏み込んでいると思うんですね。つまり、行くこと前提の議論ですから。総理は、行くことを前提に述べておられるんですか。
○小泉内閣総理大臣 それは、言葉どおりにとっていただいて結構であります。いつ行くか適切に判断する、そのとおりでございます。
○岡田委員 いつ行くか適切に判断するというのは、行くこと前提ですねと聞いているんです。
○小泉内閣総理大臣 それは、いつ行くか適切に判断するという言葉しかありません。どう判断するかは、人によってとり方が違うでしょう。しかし、それを適切に判断すると、これがいい答弁なんですよ。
○岡田委員 総理、いつ行くか適切に判断するという答弁は、総理は撤回されなかったわけですね。
私は、こういう機会に言い直されればよかったんだと思いますよ。つまり、いつも言っているように、適切に判断いたしますというふうに言われればよかったんですよ。それを、いつ行くかというのが加わっていることによって、もう一歩踏み込んだんじゃないかという誤解を与えているわけですよ。だから、今、私はある意味で総理にチャンスを与えたんですよ。しかし、総理は開き直って、いつ行くかということを今繰り返された。そういう姿勢がまさしく日中関係を、あるいはアジアにおける日本の関係をおかしくしているんですよ。
○小泉内閣総理大臣 戦没者に対してどのような追悼をするか他の国が干渉すべきでないという私の発言が、なぜ他の国を傷つけているんですか。そこをお聞きしたい。
○岡田委員 総理、私もそのことを今聞こうとしたんですよ。総理がそうやって開き直っていることが問題なんですよ。それこそがこの問題の根源なんですよ。
いや、総理が開き直って、なぜ問題なのかわからないとおっしゃるんであれば、それは一般の人がそう言うならいいですよ。しかし、あなたは日本国総理大臣なんですから、わからないと言って開き直っているんではなくて、もし総理が信念を持ってみずからが靖国に行くべきだと考えているんであれば、そのことをちゃんと理解させる責任があなたにはあるんですよ。それに対して異を唱えている人に対して、こういう考え方で行くんだ、そのことは問題ないんだということを説得しなきゃいけないんですよ。説得もせずに、わからないと言って開き直っている。それは総理大臣のやることじゃありませんよ。
○小泉内閣総理大臣 なぜ開き直っていると解釈するんですか。戦没者に対してどのような追悼をするか他の国が干渉すべきでないという私の答弁がなぜ開き直っているととられるのか、理解に苦しんでおります。
そして、今までに、私が靖国参拝するときにどう言っているか、よく調べてください。それは、二度と戦争を起こしてはいけない、今日の日本の発展というのは現在生きている人だけで成り立っているものではない、心ならずも戦場に行かなければならなかった方々のとうとい犠牲の上に成り立っているはずだと、そういうことを考えると、戦没者に対して敬意と感謝の意を表するために靖国参拝に行っているんであると、もう何回も説明申し上げてあります。決して、軍国主義を美化するものではないし、日本が軍事大国になるために行っているのではない。この平和のありがたさをかみしめよう、二度と国民を戦場に駆り立てるようなことはしてはいけない、そういう気持ちを込めて参拝しているということは何回も申し上げております。
○岡田委員 総理、それがひとりよがりなんですよ。私は、日本国総理大臣として靖国に私自身が行くことはありません。そのことは何回も申し上げているとおりであります。
A級戦犯が合祀をされている。そして、そのA級戦犯合祀に当たって、A級戦犯を昭和の受難者だと位置づけて合祀している。その靖国神社に総理は行くべきでないと私は考えます。総理がどういう思いで行ったとしても、しかし、A級戦犯が合祀され、そしてそのA級戦犯が昭和の受難者として合祀されている。私は、その一点をもって、靖国には総理として行くべきでないと思います。
総理、あなたがあなたの考え方を言われるのは結構です。しかし、それが相手に通じていないんです。通じてなければ、きちっと説明して理解させるのは総理大臣の責任でしょう。
○小泉内閣総理大臣 これも、私は過去何回も答弁しているんです。A級戦犯のために参拝しているのではない、多くの戦没者に敬意と感謝の意を表したい、そういう気持ちから参拝しているのであって、特定の個人のために参拝しているものではございません。
私は、岡田代表が靖国に参拝しないということに対して別に批判するものではありません。それは岡田さん自身の考えでしょう。しかし、私が靖国神社に参拝しているということは、今までも申し上げておりますように、多くの戦没者の犠牲の上に今日の日本の繁栄があるんだから、そういう戦没者に対する敬意というもの、感謝というものを決して現在でも忘れてはならないという気持ちから参拝しているわけでありまして、この点については何回も申し上げております。
○岡田委員 それでは、現に、総理の靖国参拝を理由として、今、日中関係が極めて緊張関係にある、この事実は認めますね。どうですか。
○小泉内閣総理大臣 それは、靖国参拝に対して意見の相違はございます。しかし、全般的な日中関係を考えますと、今までにない日中経済の交流は深まっております。交流も拡大しております。
私は、一時的な一部の意見の対立が、日中全体の友好関係というものを考えれば、そういう意見の一部の対立を乗り越えて、日中友好関係の重要性をお互いが認識すべきだと思っております。
そして、私が申し上げておりますように、私の靖国参拝に対する考えがひとりよがりだと言われましたけれども、なぜひとりよがりか、その批判も私は理解に苦しんでおります。
○岡田委員 総理、日中関係はいいと言いますけれども、今いいはずがありませんよ。そこまで開き直ると、ひとりよがりじゃなくて、もう完全な開き直りですよ。
そして、そういう中で、先ほど総理御自身が言われた例えば常任理事国入りの問題、これは、日本としての国の利益、国民の利益のかかった重要な問題だと思います。私は、野党ですけれども、この問題はいろいろなところでサポートしていきますよ。だけれども、幾ら努力しても、あるいは外交の現場でそれぞれが努力したって、まだ中国ははっきりノーとは言っていませんよ、だけれども、日本が常任理事国入りするということについて、今の日中関係、日韓関係、そのきっかけは総理の靖国参拝の問題です。この問題がきっかけになって、常任理事国入りの問題がますます難しくなっているじゃないですか。
あるいは、六カ国協議はどうですか。北朝鮮をめぐる六カ国協議、この問題は、もちろん拉致の問題の解決のためにも、そして核開発を何とかとめていくためにも、極めて重要な六カ国協議であります。しかし、北朝鮮に対して最も影響力を行使し得るのは中国。その日中関係がこれだけぎくしゃくしていて、もちろん日本だけに責任があるとは私は言っていませんよ。だけれども、総理の靖国参拝の問題が一つの原因になっていることは事実、大きな原因ですよ。
そういう中で、常任理事国入りの問題とか北朝鮮をめぐる六カ国協議、首脳会談すらできないというこの現状、それに対して日本国総理大臣としてどう考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 首脳会談は、昨年十一月において胡錦濤主席とも行いましたし、その後、温家宝首相とも会談をいたしましたし、ことしになってから、四月においても胡錦濤国家主席としております。
私は、意見の一部の相違があるから全体の関係が悪いというふうにはとっておりません。また、一部の意見が違うから関係を悪くしようという気もございません。
この靖国参拝を殊さら取り上げておられますが、岡田代表は、靖国参拝がいけないというんですか、いいんだけれども、中国が言うからいけないというんですか、どっちなんですか。(発言する者あり)
○甘利委員長 静粛にお願いします。
○岡田委員 私は、まず、国民の皆さん、特に遺族の皆さんが靖国参拝をされるその心情はよくわかります。しかし、日本国総理大臣たる立場にある人が、A級戦犯が合祀され、そして、それについて昭和の受難者とまで言っている靖国神社に日本国総理大臣が行くべきでないというふうに思っています。今、外国政府に言われて行く行かないを決める問題ではありません。それはまずみずからが判断すべきです。ですから私は総理に判断を聞いているわけですよ。
今現に、これは日中間だけじゃありませんよ。この前シンガポールの首相にお会いしましたが、シンガポールの首相も非常に心配をしておられました。もちろん日韓関係もです。アジア全体が今、この問題をきっかけに日中関係がおかしくなるんじゃないか、そして、日中関係がおかしくなればアジア全体が影響を受けるということを深刻に心配しているんですよ。そのぐらい、今大きな波及効果がある。そして、日本自身にとっても、先ほどの常任理事国、あるいは六カ国協議、拉致の家族の皆さん、そして核開発があれば、日本の安全保障にとって極めて大きな影響がある。
そういう大きな問題がたくさんある中で、総理として、総理の判断をみずからすべきじゃないか、全体をとらえて、それは総理の信条から見れば問題はあるかもしれないけれども、しかし、そこは総理大臣だからきちんと判断すべきじゃないか、そういうふうに申し上げているわけです。いかがでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 それは、そうすると、靖国神社に参拝するのは悪くはないけれども、中国の関係を考えて、中国が好ましいと思わない、嫌だと言っているから行くなということなんですか。(発言する者あり)
○甘利委員長 静粛にお願いします。質問中です、静粛に。
○岡田委員 総理、議論をすりかえないでもらいたいんです。
A級戦犯を合祀した靖国に日本国総理大臣は行くべきでない、それは自分の判断でそういうふうに決めることであって、外国に言われて決める問題じゃない、私はずっと一貫してそういうふうに申し上げています。そして、総理、自分で判断しなさいと。そうじゃないと言うなら、中国や韓国、この靖国参拝に異を唱えている国に対して、みずからの信念を語って説得しなさい。説得もしない、ほうり出して、何で問題になるかわからないといって言い放つ。
総理、その結果として、日本の国益は結局どうなるんですか。国民挙げて、あるいは外務省を先頭に、みんなが本当に努力をして、日本の国の利益、国民の利益のために、北朝鮮との交渉、これをいかにしっかり運んでいくのか、あるいは常任理事国の問題、あるいは東アジア共同体をつくっていくために、やはり日中関係、日韓関係、日本とアジアの関係がいかに大事か、そういう視点で大きな判断をすべきだということですよ。総理、そこがおわかりになりませんか。
○小泉内閣総理大臣 私は自分の判断で靖国神社に参拝しているんですよ。他の国がいけないとかいいとか言っているから参拝しているんじゃないんです。自分の判断として靖国神社に参拝しているんです。その理由は再三申し上げております。
そして、中国の首脳とも韓国の首脳とも会談するたびに、靖国の問題が出るたびに、私は私の信条を説明しております。そして、日中関係、日韓関係の重要性も共有していると思っております。
○岡田委員 総理、私は、総理の選択肢は三つしかないと思っているんですよ。先ほど来申し上げていることですが、一つは、みずからの判断で行かないと決めること。そして二番目は、相手を説得し、総理の考え方を相手を説得する中で貫いていくこと。しかし、総理はいずれもやらないんです、今。単に放置をして、その間、国の利益がどんどん失われていく。そうしたら、三番目の選択肢しかもうありませんよ、総理。それは、総理が日本国総理大臣をやめることですよ。もうそこまで大きな話なんだということ、日本の国の利益がかかっている話でもある、日本の将来がかかっている話でもある、そういう認識はありませんか。
〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕
○小泉内閣総理大臣 それは、私は理解できないんですね。靖国に参拝しなければ中国との関係がよくなる、中国との関係を考えると、中国が靖国参拝というものに対して不快感を持っていると言うから私に退陣せよという議論とどうして結びつくのか。
岡田さん自身が靖国に参拝しないということは、私は批判いたしません。中国が靖国に参拝するのを不快感を持つということも、別に私はそういう考えであるということは理解しております。しかし、今の議論を聞いていると、総理大臣の職務として参拝しているものでない、私の信条から発する参拝に対して他の国が干渉すべきではないと思っているんです。
そして、これはやはり信条の自由というのがありますから、心の問題ですから。そういうことを考えて、私としては、そういう心の問題にまで他の人があれこれ言うから……(発言する者あり)
○渡海委員長代理 御静粛に願います。
○小泉内閣総理大臣 どうかということを考えるよりも、自分自身の判断で考えるべき問題ではないか。これが、総理大臣を退陣しなきゃならないというふうには考えておりません。
○岡田委員 総理、揚げ足をとるつもりはありませんが、言葉をもう少し正確に言われた方がいいと思います。
例えば、信教の自由の問題だとおっしゃいました。憲法の保障する信教の自由というのは、国家権力が個人に対して特定の宗教を強制しないということであって、日本国総理大臣が、おれは信教の自由があるんだから、そういう話は全く憲法というものがわかっていないんじゃないかと私思うんですよ。
とにかく、いろいろな意味で粗過ぎるんですが、私がお願いしたいことは一つ。この事態を放置すれば、日本の重要な国の利益、国民の利益、国益が失われる状況にある。それを打開する責任は、少なくとも日本国総理大臣としてのあなたにあります。どうやって打開するのかを教えていただきたい。
○小泉内閣総理大臣 日本としては、日中間の交流を拡大していき、なおかつ経済の依存関係もますます深まっております。そのような日中の友好性というのは、両国、認識を共有しておりますので、そのような点について、お互い理解を深めていく必要がある。そういう中で、今後の、日中間の協力はもとより、国際社会の中での協力も考えていくべきではないか。
一時的な意見の相違があったとしても、将来を展望すれば、日中関係の重要性というのはお互いよくわかっていると思います。そういう中で、今後、話し合い、また交流を重ねていく必要があると思っております。
○岡田委員 総理、本当に今日本の国の利益がかかっているんですよ。北朝鮮の核武装、どんどん準備進んでいるじゃないですか。あの拉致家族の皆さん、どうですか。そういった問題について、総理としてきちんと解決する責任がありますよ、総理。あるいは、東アジア共同体ということを総理も言われるけれども、日中がお互いいがみ合って、東アジア共同体なんてできませんよ、そんなもの。
そのことについて、総理がみずから打開していく責任があるんです、総理大臣ですから。その自覚がないんなら、もう一回言います、総理、やめるべきです、あなたは。
○小泉内閣総理大臣 その自覚がないならやめるべきだという岡田さんの意見は意見として承っておきます。
しかし、信教の自由のために私は靖国参拝しているんじゃないんですから。心の問題だと。心の問題と信教の自由という、宗教と違います。私は、神道を奨励するために靖国神社に行っているんじゃありません。その点はよく考えていただきたい。
そこで、繰り返しますが……(発言する者あり)
○渡海委員長代理 御静粛に願います。
○小泉内閣総理大臣 戦没者に対してどのような追悼をするか他の国が干渉するべきでないということに対して、岡田さん、ちっとも答弁しません。これが本当にいけないんですか。(発言する者あり)開き直りだと言っておりますけれども、そう思わないんですか、岡田さんは。
○渡海委員長代理 御静粛に願います。
委員各位に申し上げます。質問も聞こえません。御静粛に願います。
○岡田委員 総理、私は申し上げているじゃありませんか。戦没者に対してどういう形でそれを弔うかということは、それは日本が決めることです。しかし、ほかの国が意見を言うことはできます。これは内政干渉ではありません。意見を言うことはできます。しかし、決めるのは私であり、総理御自身です。そのことははっきり申し上げているじゃありませんか。しかし、現実、いろいろな問題がこのことに端を発して起きているときに、それを解決する責任も同時にあなたにあると申し上げているんですよ。
だから、どういう解決の仕方があるか、私は二つ申し上げましたけれども、私はあなたに、靖国に行くのをやめるべきだと一回も言っていませんよ。自分がその解決策を見つけるべきだ、その責任があなたにあると言っているんですよ。それがない。このまま放置する。それはいつかはなんて言われますが、本当に今重要な局面で、日本にとって、日中関係、日韓関係あるいはアジアの関係、そんな時間はないんですよ。だから私は、それならあなたはやめるしかないというふうに申し上げているわけです。
○小泉内閣総理大臣 今、岡田さんは私に対して、靖国神社参拝をやめろとなんか言っていないと言われた。そして、どのようなこれからの日中間の関係を考えているかということでありますので、私は、一部の意見の対立があっても日中の友好は重視だということで、これからいろいろな分野において協力していこうということで、胡錦濤国家主席とも話し合いの中で共通の認識を持ったわけでありますので、経済の交流のみならず、文化、スポーツ、あらゆる分野において友好協力関係を深めていくような話し合いをこれからも進めていきたい。
さらに、国際社会の中でも、国連改革のみならず、北朝鮮の問題につきましても今協力を進めております。そういう中でお互い話し合いをしていく必要がありますし、将来、時間をかけても、私が日中友好論者であるということをよく理解していただくように、これからも努力をしていきたいと思っております。
○岡田委員 私が申し上げたのは、総理御自身がみずからの信念を貫いて、そして、そのことについてアジアの国々に説明をして理解をされる、それだけ説得する自信があるのなら、それも一つの考え方だ、一つの答えだと申し上げたんです。しかし、それができないのなら、それは総理御自身が行かないか、やめるかしかないんですよ。そのことを私は申し上げているわけです。できないんじゃなくて、もしできるというのならやってくださいよ。しかし、総理はずっと言いっ放しじゃないですか。それは日本国総理大臣としてとるべき態度じゃないということを申し上げているわけであります。
[001/004] 165 - 衆 - 予算委員会 - 3号
平成18年10月06日
○安倍内閣総理大臣 日本において、国内法的にいわゆる戦争犯罪人ではないということでございます。遺族援護法等の給付の対象になっているわけでありますし、いわゆるA級戦犯と言われた重光葵氏はその後勲一等を授与されているわけでありまして、犯罪人であればそうしたことは起こり得ない、こういうことではないかと思います。
[引用おわり]
[内閣府ホームページから引用はじめ]
岡田副総理記者会見要旨 平成24年8月10日
http://www.cao.go.jp/minister/1201_k_okada/kaiken/2012/0810kaiken.html
(前略)
(問)【その他】
時事通信社の中西と申します。靖国神社参拝の件でお尋ねしたいのですけれども、8月15日に岡田副総理御自身が靖国神社を参拝することはありますでしょうか。 (答)ございません。(問)その理由についても、教えていただけるとありがたいのですが。(答)基本的に、A級戦犯を合祀した靖国神社に閣僚が行くことは、適切ではないというふうに考えています。
(中略)
(問)フリーランスの宮崎ですが、先程の靖国神社参拝に関して、A級戦犯が合祀されているから参拝しないということでした。これは昭和天皇がA級戦犯の合祀に不快感を示したとされる富田元宮内庁長官の富田メモというものの信憑性が正しいと思われていらっしゃるのでしょうか。また、このA級戦犯7人以外の英霊に何かゆかりのある方の参拝についてはどう思われますか。(答)私が申し上げているのは、やはりA級戦犯というのは、これは何回もいろいろな場で申し上げているのですが、東京裁判そのものの問題がないわけではないけれども、しかし、日本が自ら戦後を総括していない以上、やはり東京裁判というものを尊重するという考え方に立たざるを得ないと。その東京裁判の結果、A級戦犯というふうに断じられた方々が祭られている、神として祭られているということについて、そこに閣僚が行くということは、私は望ましくないというふうに考えております。
これは2005年でしたか、小泉さんと党首討論の議事録を見ていただければよく出ているというふうに思います。小泉総理と全く意見は、ある意味では一致したのですが。永久に戦犯が戦犯であると、戦争犯罪人であるということは一致したので。
[引用おわり]