前日に、解任決議が否決された法務委員長が、スーパー委員長として、大臣、局長、質疑者を制しました。
厚生労働委員会では、中央省庁が2年間で4000人の障害者を雇用する計画について、元副大臣の公明党議員が「私は地方公務員の経験もあるが、景気が良いと、民間に人材が行って、公務員が求人難になる」と見直しをせまると、首相側近の根本匠厚労相が「容易ではない」と認識を共有しているのに、「実現したい」と強調しました。
【衆議院法務委員会 平成30年2018年11月21日(水)】
一事不再議の原則により、今国会中に解任されることはないスーパー委員長になった葉梨康弘さん。2期のときに、自民党国会対策副委員長(兼)衆議院予算委員をつとめ、当時1期生の小泉チルドレンに、空席を埋めてテレビに映るように指示する役目をしていたこともあります。いちいち言及したくないのですが、きょうは大臣や質疑者に「一般論でいいよ」「大臣は法律用語で答弁しているが、見通しと見込みは違う」といった発言を繰り返しました。スーパー委員長なのだから、職権で法案を修正して本則に上限を数字で書き込むとか、日本の中にいる子供に義務教育をしなければならないと政府に義務化するとか、してほしいところです。
「入管難民法改正案」(197閣法1号)が、初めて、趣旨説明されました。ただちに、与野党の対政府質疑がありました。山尾志桜里さんは、法相に対して「ちょっと、目を合わせてもらっていいですか」と牽制。山尾さんはいろいろありましたが、検察官時代のまっすぐな心を一貫して持ち続けて政治にのぞんでいる、ということは私は断言します。元法務政務官の無所属の会・黒岩宇洋さんは「最低賃金未満」も含んだ回答を「より高い賃金を求めて失踪した」と集計していたことについて。法務省入国管理局長は「集計表の作り方が悪かったのはその通りだ」と認めながらも、「内部の資料だった」から問題が無いという珍答弁。平成31年入省庁組から大幅に人員が増えるのに、トップがこれで、職員を管理できるのでしょうか。黒岩さんは「コピー忘れする前のエクセルを修復して出してほしい」と迫りました。
きょうの委員会の最後に、葉梨委員長は、「あす、参考人質疑を行う」とはかり、山尾理事らは「何考えているの!」としました。このはこびはお約束ですが、趣旨説明当日の与野党が質疑しているのも異例であり、自民党のはこびに問題があるのも事実。安倍晋三さんも、山下貴司法相は石破派だから潰れてもいいと思っているのでしょう。自民党はブラック企業です。本音の審議が必要です。
【衆議院厚生労働委員会 同日】
珍しく法案審査の予定が無い厚労委ですが、ほぼ全部の府省庁が障害者雇用を水増ししていた問題について、長時間の集中審議がありました。上述しましたが、公明党山口県本部長で、元副大臣の桝屋敬悟さんは「必要があれば法改正も検討したい」としました。これはいくつか報道が出ていますが、障害者雇用促進法の改正案という話が浮上しても、役所が守らなかったから恒久法改正というのは筋が良い話ではありませんので、与党としても慎重に調査していきたいということだと思います。桝屋さんは「景気の良いときは、民間に人が行く」として、2年間で障害者2000人新規雇用の計画を見直すよう要求。安倍首相と「NAIS」の4人組の1人である大物大臣の根本さんは「容易ではない」としながらも、目標は変えないと強調しました。再来年の3月には必ず結果が出る話です。外国人技能実習生をめぐる議論も多く出ました。
【衆議院外務委員会 同日】
「日中社会保障協定の承認案」(197条約3号)が質疑され、採決。全会一致で承認すべきだ、と決まりました。質疑では、共産党の穀田恵二さんが実習生の問題で、日本が他の国からどう見られるか考えるべきだと説きました。なお、無所属の会は質疑に登場しなかったのですが、聞けば分かりますが、いちいち聞くのもなんなので、とにかく、全会一致で承認すべきだと決まりました。
この後、前日までに自民党の小野寺五典筆頭理事と立憲会派の寺田学筆頭理事が合意していなかったのに、本会議での趣旨説明が終わり、吊るしが降りた、「日欧EPA承認案」(197条約1号)と「日・EUの戦略的パートナーシップ協定の承認案」(197条約2号)が趣旨説明されました。
【衆議院政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 同日】
「2019年の4月7日と21日に、統一地方選を行う選挙期日臨時特例法案」(197閣法12号)が全会一致で可決すべきだ、と決まりました。法律の施行日は、公布の日となります。
【衆議院文部科学委員会 同日】
「原子力損害賠償法の改正案」(197閣法2号)が前回に引き続き審議されました。立憲の川内博史さんは「原賠法と聞くと、胸がザワザワする」と質問しました。そのせいか、賛否は割れました。立憲と、国民は別々に修正案を提出。立憲の修正案は立社などが賛成。国民の修正案は国民のみ賛成したようです。政府原案は、立憲・共産・社民が反対し、自民・公明・国民・維新が賛成しました。このように、電力総連の支持を受ける国民と、原発依存度が高い関西電力がある維新が賛成。胸がザワザワする立憲は反対、ということで、とうぶん理屈ではどうにもならない話です。法案は、衆議院本会議に上程され、次回の本会議で可決へ。
【衆議院消費者問題に関する特別委員会 同日】
前回質疑終局が宣言された「食品表示法改正案」(197閣法11号)。昼過ぎに会議が開かれ、政府原案がそのまま採決され、全会一致で可決すべきだと決まりました。宮越光寛大臣が、他の委員会から現れ、立ち合いました。
【衆議院国土交通委員会 同日】
午前中に開かれ、「洋上風力発電促進法案」(197閣法5号)を、国交省ではない内閣府の宮腰光寛大臣が答弁して質疑。採決では、全会一致で可決すべきだと決まりました。
【衆議院農林水産委員会 同日】
まず一般質疑がありました。そのあと、今国会で2番目の対決法案である、「漁業法改正案」(197閣法8号)が趣旨説明されました。質疑は次回ですが、70年ぶりの改正案と言って、新自由主義的な民間開放の要素が入った改正法案であろうことは容易に察せられます。
【衆議院内閣委員会 同日】
はこびとしては、一般質疑があり、法案の趣旨説明があり、再び一般質疑がありました。
法案としては、桜田義孝大臣が「パソコンを打ったことが無い」と答弁して世界的にも報道されている「サイバーセキュリティ基本法改正案」(196閣法45号)が趣旨説明だけありました。この法案は3月9日に先の第196回国会に提出されましたが一度も審議されること無く閉会中審査となっていました。前国会で混乱したのは同じく閉会中審査となった「国家戦略特区法改正案」(196閣法57号)の存在がありますが、「サイバー」が先に審議入りしたので、「特区」は成立しない公算も高まってきました。首相や片山さつき担当大臣は、次期国会に新しい特区法改正案を提出したい意向を明言しており、政権再交代後の求心力となってきた特区の継続に赤信号がともりました。
午後の一般質疑は、「女性活躍推進」の案件に絞られ、片山さつき大臣を立憲会派の今井雅人さんが追及。ぜひ今井さんにもがんばってほしいところですが、これだけ総無責任体制になってくると、女性閣僚のクビをとるということになると、ますます悪い官僚がはびこることになるかもしれません。片山大臣は見直し規定がある女性活躍推進法の改正案を次期国会に出したい意向もにじませつつあります。
【衆議院経済産業委員会 同日】
今国会で初めて開かれ、大臣所信がありました。
【衆議院東日本大震災復興特別委員会 同日】
大臣所信。浜田昌良復興副大臣もあいさつしましたが、政権再交代後の6年間のうち4年間にわたり、浜田さんは復興副大臣をつとめているようです。「民主党政権の災害復旧は、にぶい、遅い、心が無い!」と参議院本会議場で絶叫していた浜田さんですが、公明党のプロパガンダにも、今となれば、一定の説得力があったということになるのでしょう。
【衆議院科学技術・イノベーション推進特別委員会 同日】
古本伸一郎委員長(国民)が議事。大臣所信と政務三役のあいさつ。
【参議院国家基本政策委員会 同日】
鉢呂吉雄委員長(立憲)が手続きをとりました。
【参議院災害対策特別委員会 同日】
大臣所信に対する一般質疑。
【参議院消費者問題に関する特別委員会 同日】
大臣所信に対する一般質疑。
【衆議院議院運営委員会 理事会 前日、20日】
麻生太郎大臣のG20出席について、立憲が外遊の許可を保留しました。これはなぜかというと、岡田克也さんの親友で知られる、北橋健治・北九州市長に対して、東大卒であることから「税金で大学に行った」という趣旨の演説を福岡市内でした、という問題です。麻生さんは、人口が減っているということも指摘したようで、県内の福岡市と北九州市を比べればそういう批判になるのは、現実でしょう。がんばれ、北橋さん。
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