[写真]岸信夫・衆議院安全保障委員長、2018年11月8日、衆議院インターネット審議中継から宮崎信行がキャプチャ。
木曜日は衆議院本会議の定例日ですが、「出入国管理法など改正案」(197閣法1号)の審議入りが続投した辻元清美国対委員長の抵抗で先送りになりました。同時に、木曜日は衆議院憲法審査会の定例日。しかし、ありませんでした。残り会期が1か月で、どうやって衆参で改憲発議にもっていくのか。元々「96条先行改正」と言っていた安倍晋三首相(自民党総裁)ですが、岸信介内閣からの野望である集団的自衛権を解禁できたから、もう、いいんじゃないでしょうか。
●衆議院本会議は無し。
上述の通り、与野党間で審議入り法案の調整がつかず、きょうは設定されませんでした。
●衆議院憲法審査会は無し。
上述の通り、理事(幹事)の日程調整が整わず、設定されませんでした。
●大臣所信表明。
初入閣である、吉川貴盛農林水産大臣と岩屋毅防衛大臣が所信を演説しました。これで、法案が審議される予定のうち、内閣、農水、安全保障の各委員会で所信が表明されました。法案があり新閣僚となると、法務だけが常任委員会で未開催となっています。あすは「地雷大臣」が3人以上いる内閣委員会の一般質疑がありますが、午後の園遊会の時間帯は休戦。
【衆議院安全保障委員会 同日】
集団的自衛権を解禁したことを、直後に、日本の外務副大臣としてアメリカに「報告」した安倍首相の実弟、岸信夫さんが委員長になり、あいさつしました。
岩屋毅防衛大臣は、まず、12月に閣議決定する防衛計画の大綱・中期防衛力整備計画について5年前と比べて「電磁波攻撃などの新しい分野で備えが必要となっている。専守防衛は当然として堅持するが、従来の延長線上ではない、真に必要な防衛力を見定める」と語りました。日米統合のサイバー防衛などでの予算拡大を示唆したものですが、イージスアショアや次期主力戦闘機については発言しませんでした。
岩屋さんは続いて、日米同盟、沖縄基地問題、防衛省の公文書管理に言及。この後、「防衛省自衛隊給与法改正案」(197閣法10号)について、「ご審議のほどよろしくお願いします」と語り、演説を終えました。
続いて、河野太郎外相が出席しましたが、「元島民が元気なうちに北方四島の帰属と領土の確定に努める」などと語り、現状の安全保障からすると見当違いな話で、外務省の大臣周りも、出席委員会が多くて原稿を書くのに苦労していると感じました。
新進党や民主党に所属しながら、自民党に移籍した裏切り者の、鈴木貴子、山田宏両大臣政務官もあいさつしました。次回は、来週13日火曜日の午前9時から一般質疑。散会。
【衆議院農林水産委員会 同日】
吉川貴盛・農林水産大臣の所信表明。同僚の拍手が他の大臣よりも多かった印象でした。
吉川さんはまず一連の災害に言及し、「ため池の改良などの災害対策のため集中計画3年間を今後進めていく」と強調。この後、「農林水産業は、地域の経済を支えるために大きな働きをしている」としました。「先人の努力で築き上げられたものだ」としながらも、「世界に評価される和食や、美しい水田風景など、魅力ある成長産業にしていく」ことが次世代への継承につながるとしました。吉川さんは「次世代の担い手育成」が最優先としながら「農地集積のみなおしなどで生産基盤を強化すること」が大事だとし、「水利施設やため池の耐震化対策を進め、資材産業の再編、減反廃止による水田フル活用に向けて支援していく」としました。
私が、首相の所信表明演説で気になった「水田フル活用」が農相の所信表明でも出てきました。吉川農相は、二階派の所属で、二階俊博さんが農地改良の団体の会長をしています。ため池は全国にあるわけではありません。ため池が歴史的に多い香川県2区選出の、玉木雄一郎・国民民主党代表は、「内陸津波の防止」と名付けてため池の耐震化構想を野党側でリードしてきました。しかし、野党はJA改革に否定的な議員ばかりで、玉木さんは、今の農政には、分断されているという感じがします。
吉川農相の所信に戻ります。「省として、農家の所得向上に全力投球できるようJAグループの改革に協力する」としながらも「AI、ロボット、ドローンの世界トップレベルの技術をいかした、スマート農業を一層強力に推進する」と語りました。私は、スマート農業、という言葉は初めて聞きました。
農相は自由貿易交渉について国内農家の保護を明確にしつつも、TAGについて「日本側の主張が尊重されるよう、関係省庁と連携する」とややあいまいなことを言いました。今国会に提出された、「経済連携の日欧EPA承認案」(197条約1号)の国内での経済的な保護を約束しながら、「特定農林水産物の名称保護いわゆるGI法を改正する日欧EPA国内実施法案」(197閣法9号)のこの委員会での可決をお願いしました。法案のタイトルは、私が名付けているもので、正式な改正法律案の名称は、議案番号で検索してください。
農相の演説は続き、「海面利用整備を見直す」として、「これらの改革を確実に推進する関連法案」の審議をお願いしました。既に提出された「漁業法改正案」(197閣法8号)のことです。吉川農相は漁業法改正案という表現を使わず、海面利用の促進という海側からの視点で漁業権などの改革に言及しました。
個人的には好感できる吉川さんの農政の基本方針で、この辺は私と、立憲・国民の現職議員と大きく考え方を異にする政策領域なのですが、おそらく、既得権益者も、あまり大きな反対はしないのだろうな、という気がします。
次回の日程は決まっておらず、武藤容治委員長は「公報で知らせる」として、散会しました。
【参議院議院運営委員会 同日】
理事会が開かれました。
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