逝く前に、クロッカス見てほしかったです。

2015-03-30 19:04:44 | 看護師だった頃・看取り

 

 

 

 

旭川も、やっと、クロッカスが咲きました。

小さいけど、強い感じの花です。

黄色のクロッカスを見てほしかった患者さんがいます。

 

ご本人に、「癌」だとは言わなかった時代のこと。

癌と言われれば、命はない と同じことでした。

 

富良野から来られた、50代の小柄な女性の方でしたが、肺癌でした。

乳癌の闘病記を書いた「千葉敦子さん」の本を読まれていました。

 

患者さんも、大体の人が、はっきり言わなくても、病気の程度はわかります。

今でこそ当たり前ですが、担当医師は、「告知した方がいい」という、その時代には、新しい考えを持っていました。

 

予後告知もしたかどうか。

予後とは、あとどのくらいの命かということで、これは恐ろしくて、なかなか聞けません。

 

とても静かに、ただ医師の話を聞いておられました。

娘さんが、お母さんの小さな肩を抱いて、倒れんばかりに歩いて。

その夜は、市内の娘さんのお宅に外泊されました。

 

自分の家族や、自分自身だったら。。。

 

とうとう意識が混濁し始めました。

庭の黄色のクロッカスが咲いて、元気出るかなとか思って、鉢に入れて持っていきました。

 

クロッカスは見てもらえませんでした。

その朝、早くに、亡くなっていたのです。

 

また、クロッカスを家に持って帰り、土に戻しました。

何で人は死ぬんだろっ。。。

 

今は、その頃より死が身近になっています。

死なない人はいないのですから、恐怖でも、何とか皆死んでいく。

こればかりは。。。

 

熊さんと八つぁん

「あの世はどんなところだい」

「いいところらしいよ」

「へえ~、どしてだい」

「戻ってきた人は誰もいない」

 

笑って死にたいものです。

それではまた。


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