先日外部団体が企画主宰した見学会で、空知の赤平市に本社がある植村建設さんの「UNICONフィールド」を見学させていただきました。
植村建設さんは人口減少に苦しむ地方都市にありながら、最新の通信技術やICT技術を導入して、企業力の増強と若者をはじめ多様な人材を生かすユニークな取り組みをされている会社です。
今回はそれらの取り組みの基地と言える、「UNICONフィールド」を訪問して、先進的な活動の説明を受けました。
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そもそも、「UNICONフィールド」のUNICONとはなにか。
それは一つには"UNI"QUE "CON"STRUCTIONという、「ユニークな建設会社」の前段のキーワードの組み合わせということで、二つ目には"Uemura Next Innovation & i-Construction"という、「植村建設の次のイノベーションとアイ・コンストラクション(建設現場にICTを導入しようという取り組み)」の頭文字を組み合わせた造語です。
そしてそれらのシンボルキャラクターに一角獣のユニコーンを用いて、「他にはない優れた存在」を表しています。
植村建設さんが展開しているUNICON活動の具体的な取組は三つあります。
①移動式多機能オフィス車両と発電搭載車両とスターリンク通信機材の導入
②バックホウの遠隔操作システムを導入して、東大発ベンチャー企業と連携して操縦がPS5のコントローラーで行えるシステムを開発
③若手社員を中心にICT事業部を立ち上げ、ドローンサッカーチームを結成してドローンを日常的に触れられる施設の設置
今回はこれらを活動の中心施設であるUNICONフィールドで見せていただきました。
【①移動式多機能オフィス車両とは】
ハイエースベースのキャンピングカーに予備電源ユニットと太陽光発電パネルを装備して、さらに衛星通信システムスターリンクとWIFIアンテナを備え、災害時の先遣隊基地として活躍が期待されます。
スターリンクを備えれば、地上型のWIFI網が途絶えた時でも通信が可能になるのと、WIFIアンテナで自分自身がWIFIスポットかできて、②の重機の遠隔操作も可能になります。
キャンピングカーベースなので、中で2名が車中泊できて居住性を備えた連絡通信基地として活躍できます。
【②バックホウの遠隔操縦システムとPS5コントローラーの利用】
重機を遠隔で操作できるということには、災害時の安全確保ということがありますが、さらには現場に赴けない人でも操縦ができるという意味があります。
そうすると、日中は専門のオペレーターが現場で作業できますが、17時以降や夜間などで労働時間の制限がある時間帯などでは、現場作業員からバトンタッチして、日中は動けない主婦の方だとか、兼業希望の人、さらには体に障害のある方でも遠隔地から作業に参加することができます。
そうなると単純な省人化施工ということに加えて、多様な人材による作業従事が可能になります。
さらにそのことは、リース料が高い高性能ICT重機の稼働率を上げることに繋がり、短い日数で仕事を終えることなどで効率化に繋げられる可能性があります。
また、こちらでは東京発ベンチャー企業の協力を得てなんとファミコンのPS5のコントローラーで重機が操作できるようなシステムにしました。
実はバックホウも座席に座れば左右のレバーをそれぞれ上下左右に動かして機械を操作します。
ファミコンのコントローラの左右レバーの上下左右動作が実際の重機の操作レバーを動かす仕組みになっているので、まさにゲーム感覚で実際のバックホウのアームとバケットを動かすことができるのは不思議な感覚でした。
植村社長は、「娘にやらせたらすぐに慣れて僕より上手でした(笑)」と笑います。
ちなみにこちらのフィールドは囲われた私有地なので、重機を動かすことに技能講習の免許などは要らないそうで、それならば子供たちがやってきてゲーム感覚で重機運転の練習もできそうです。
「ちょっとそういうことも考えていて、子供たちの体験の場にすることで建設の世界に興味と関心を持つ子供たちを増やすことも期待しています」と植村社長。
赤平市は重機の運転ができる子供たちがあたりまえにいる、という地域社会になれば、地域の維持管理に心強いですね。
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【③ 若手社員を中心にICT事業部を立ち上げ、ドローンサッカーチームを結成】
こちらのUNICONベースには網で囲われたドローンサッカーの試合場がありました。
ドローンサッカーは5人一組で攻め手2人と守り手3人の構成で、攻め手がボールになってゴールの輪っかをくぐれれば点数になるというゲームで、守り手はそれを妨害するディフェンスです。
ドローンは球状にガードで覆われていて、何かにぶつかって羽が壊れるということはありません。
ただいずれにしてもドローンを自由自在に動かすスキルがないと勝負には勝てません。
こちらではドローンサッカーチームを結成してこちらで日夜練習ができるのと、これを地域にも開放することでドローンに興味のある若者たちが集うことも期待されます。
ドローンの操縦スキルが上手な若者が増えればその中からその技術を建設でも生かしてくれる人が増えることも期待できます。
いずれにしても、こうした新しい技術には若者に早い段階から触れてもらうのが一番で、そうした意味でもICT事業部は若者の集団です。
なかには高校を卒業してすぐに採用になった女子社員も2名いて、楽しそうに仕事としてドローンを操縦したりICT技術の修練に努めています。
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今回の説明には植村正人社長自らが自分自身の哲学も含めてプレゼンを行っていただきトップリーダーの確固たる思想が強く伝わってきました。
また視察中もずっと付き添っていただいて随時の質問にも丁寧に答えていただくなど、丁寧なご対応をいただきました。
「まだまだこの取り組みの展開を拡大したい構想があるんですよ」と、大きな夢を抱く植村社長。
建設会社が汚くて危険でつらい職場ではなく、新しい技術を取り入れてやりがいのある魅力ある職場にするのも、ICT技術を取り入れることの意味の一つです。
地方の建設会社でも若者に魅力ある職場になれるということを示し、さらにこれからの地域貢献にも夢が広がる植村建設さん。
大変良いものを見せていただきました。
関係の皆様に改めて感謝申し上げます。
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