北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

環境問題を明るく楽しく乗り越える

2007-09-21 23:59:41 | Weblog
 今日はまたちょいと違った勉強会に参加しました。東京にいるといろんな勉強会に誘われて、すごい人にたくさん会えるのが魅力。
 都会の魅力はこの情報量こそです。


 今日の先生は、東北大学大学院の石田秀輝先生。先生は伊奈製陶株式会社(現在のINAX)に入社され、その後同社の研究開発部門を歩まれつつ、セラミックスによる技術開発、製品開発に多大な成果を上げられた方です。
 石田先生のご専門は地質・鉱物学をベースとした材料科学ということになっていますが、先生のユニークな視点は、『自然のすごさを賢く活かす』ものづくりを提唱しています。

  

 「科学による技術開発の扉」は二通りに開かれていて、一つは「これまで地球になかったものをつくる」という扉で、もう一つは「自然の中にあるもののすごさを考えてものをつくる」という扉だ、と先生はおっしゃいます。

 しかし新しいものを作る科学は、それが良い面と同時にどのような悪影響を世間に与えるのかが長い間分からないという側面も有しています。フロンが発明されたときには画期的な冷房用の冷媒としてもてはやされたものですが、それがオゾン層に穴を開けるということがしばらく分からなかったのは記憶に新しいところです。

 そうして石田先生は後者の自然にヒントを得るのが科学の賢いアプローチだと信じていてそれを実践されているのです。

 先生の大発明は、「カタツムリはなぜ汚れていないのか」という問題意識から誕生した汚れを雨で流してしまうタイル。カタツムリが汚れないのは殻とよごれの間の微少なエネルギーの差で、殻と汚れの間に水が入ることで汚れが流れるという原理が分かったのだとか。
 今ではこの技術を使ったタイルがINAXから「エコタイル」として商品化されていて、「汐留の高層ビル群はこれを使っていますから近くを通ったときはご覧になってください」とのことでした。

  

     ※    ※    ※    ※

 さて、そんな先生は環境問題にも警鐘を鳴らしていて、2030年までに環境問題は「二重の制約に苦しむことになる」とおっしゃいます。

 二重の制約の一つは、「資源やエネルギーなどの投入量が多すぎて、地球がきれいにしたり元に戻せる能力を超えてしまっているのに、それでも投入がやめられない」という問題で、もう一つは「そもそもその投入できる資源やエネルギーがもうすぐ枯渇してしまう時期に近づいている」という制約です。

 しかしだからこそ、その問題と正面から向き合って、楽しく乗り越えて行こう、というのが石田先生の立場です。先生の語り口を聞いていると、暗い話も聞いていて元気が出てきます。

    ※    ※    ※    ※

 先生がクイズを一つ出しました。「今日の皆さんの中で、お金持ちになったらディズニーランドを借り切ってたった自分だけで楽しみたいと思う人はどれくらいいますか?」
 
 結果は、約30人いた中で一人の手も上がりませんでした。
 
「ね、そんなことまでしたくない、というこれが日本人のメンタリティなのです。これはつまり自分が勝者で他は敗者という区分けをしたくないという農耕民族ならではの考え方なのではないかと思うんです」

 先生によると、西洋では逆にほとんどの聴衆の手が上がるそうです。
「みんな勝者になりたいんですね」

「私はこの日本人的メンタリティを一言で言い表すと『粋』なのではないかと思うんです。スローもロハスも『もったいない』も、みんな粋なんですよ」

「でも日本人は外からいわれないと自分たちの良さが分からない民族でもありますから、心を尽くして省資源でつましく生きる日本人の国民性を世界に対してアピールしたいものです。環境問題をリードできるのは日本人しかいない、と私はそう思っています」

 明るく楽しく環境問題を乗り越える。私たちには謙虚でつましく、そして逃げない態度が必要なようです。
 
  
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