古森病院@福岡市博多区です。
今日は院内感染の話です。
当院は慢性期型の病院ですが、慢性期の病院には
病状の関係で、急性期病院で抗生物質をたくさん使用された患者様方が紹介されてくることがあります。
抗生物質をたくさん使用する ということは
耐性菌(抗生物質が効かない菌)が発生しやすい環境ということです。
よって入院の打診の際に「耐性菌を持った患者様ですが・・」という情報が
該当される方については 当院にもたらされます。
病院ですので、耐性菌を持った方が入院されるときは
院内に情報を周知し、他の患者様に感染させないように、手洗い消毒、手袋、
必要に応じて隔離、ガウンの使用を行っております。
しかし、慢性期の病院にとってこわいのは
多剤耐性菌よりもむしろ、インフルエンザやノロウイルス、結核や疥癬といった
どちらかといえば、地味な?感染症疾患です。
�インフルエンザは周知のとおり、高齢者の方がかかると呼吸不全などを引き起こし
死亡されることがあります。
�ノロウイルスもウイルス感染による脱水や嘔吐による誤嚥性肺炎により
高齢の方は死亡される方が多く、インフルエンザにも言えますが、感染力が強いので、職員を含め
あっという間に感染が広がります。
�結核については、今の世代の高齢者の方々(戦後を経験しておられる方)は
一度結核に暴露された方が多く、病院を含め、慢性期施設で長期療養中に
時々再発症される方がおられます。
慢性期施設には痰の多い方が結構居られるので、知らない間に発症した
結核菌が院内に散布されると 他の患者様、ご家族、医療従事者を含め多大な感染につながることになり
公衆衛生上 大問題となります。時々、高齢者施設や学校などで結核が集団発生し、しばしば
ニュースになっております。
消毒薬などの卸業者さんのホームページの医療コラムにまとまって載っていた情報
http://pro.saraya.com/fukushi/column/dr-yokoyama/backnumber/121.html
�疥癬は皮膚感染症ですが、ヒゼンダニというダニによって柔らかいところ(陰部や脇の下、指の間など)を
中心に皮下トンネルが形成され、卵を産み、知らない間に増殖します。命にはかかわりませんが、激烈なかゆみと
職員を介し、院内感染となることが多く また治療法が日本では有効な薬が発売されていないことから
感染が長期化し、対応に非常に苦慮いたします。
当院では私が管理者になってからは 幸い、初期でブロックできたケースが大半です。
�今年のインフルエンザは大流行したため、何人か病棟で感染されました。持ち込みルートは
正月面会のご家族由来あるいは年末年始患者様外出後の感染でした。
最初に何人か高熱を出されましたので、その時点で患者様のご家族に説明して該当病棟の入院患者様は
全例タミフル予防内服とし
職員も何人か罹患しましたが、出勤停止として、事なきを得ました。インフルワクチンは患者様はほぼ
全例接種済みでした。保健所には逐一 報告しておりました。
�ノロウイルスはノロウイルスシーズンの外来患者さんの受診後はトイレの次亜塩素酸消毒、
スタッフの入念な手洗いを行い、誰も感染しませんでした。
病棟での患者様の発症がお一人おられましたが、直ちに個室隔離とし、次亜塩素酸による部屋消毒を徹底し
事なきを得ました。病棟患者様のウイルス持ち込みルートは未だ不明です。
�結核については、患者様の喀痰検査の時に全例 必ず結核菌の検査を出すことにしており、
今のところ問題ありません。
�疥癬ですが、数年前に一度院外からの持ち込みがあり、院内感染となったことがあります。
その際は、日本で認められている薬を使用しましたが、効果が乏しく3か月くらい長期化しましたので
感染患者様の御家族様の同意を頂いて、海外で使用されている疥癬の薬を個人輸入して対応いたしました。
効果は目覚ましく、その後はピタッと収まりました。
現在、日本でも保険適用となるように審議されていますが、早く使えるようになってもらいたく
切望しております。
ペルメトリンクリームの厚生労働省への認可要望書(日本皮膚科学会)
http://www.mhlw.go.jp/topics/2012/03/dl/youbousyo-266.pdf#search='%E3%83%9A%E3%83%AB%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%B3+%E7%96%A5%E7%99%AC'
実際の使用例の発表(高齢者施設)
http://www.kyujinkai-mc.or.jp/pdf/yakuzai/h13_iryouyakugaku.pdf#search='%E3%83%9A%E3%83%AB%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%B3+%E7%96%A5%E7%99%AC'
以上、当院での院内感染対策の試みを披露いたしました。
古森病院ホームページ http://komori-hp.cloud-line.com/
今日は院内感染の話です。
当院は慢性期型の病院ですが、慢性期の病院には
病状の関係で、急性期病院で抗生物質をたくさん使用された患者様方が紹介されてくることがあります。
抗生物質をたくさん使用する ということは
耐性菌(抗生物質が効かない菌)が発生しやすい環境ということです。
よって入院の打診の際に「耐性菌を持った患者様ですが・・」という情報が
該当される方については 当院にもたらされます。
病院ですので、耐性菌を持った方が入院されるときは
院内に情報を周知し、他の患者様に感染させないように、手洗い消毒、手袋、
必要に応じて隔離、ガウンの使用を行っております。
しかし、慢性期の病院にとってこわいのは
多剤耐性菌よりもむしろ、インフルエンザやノロウイルス、結核や疥癬といった
どちらかといえば、地味な?感染症疾患です。
�インフルエンザは周知のとおり、高齢者の方がかかると呼吸不全などを引き起こし
死亡されることがあります。
�ノロウイルスもウイルス感染による脱水や嘔吐による誤嚥性肺炎により
高齢の方は死亡される方が多く、インフルエンザにも言えますが、感染力が強いので、職員を含め
あっという間に感染が広がります。
�結核については、今の世代の高齢者の方々(戦後を経験しておられる方)は
一度結核に暴露された方が多く、病院を含め、慢性期施設で長期療養中に
時々再発症される方がおられます。
慢性期施設には痰の多い方が結構居られるので、知らない間に発症した
結核菌が院内に散布されると 他の患者様、ご家族、医療従事者を含め多大な感染につながることになり
公衆衛生上 大問題となります。時々、高齢者施設や学校などで結核が集団発生し、しばしば
ニュースになっております。
消毒薬などの卸業者さんのホームページの医療コラムにまとまって載っていた情報
http://pro.saraya.com/fukushi/column/dr-yokoyama/backnumber/121.html
�疥癬は皮膚感染症ですが、ヒゼンダニというダニによって柔らかいところ(陰部や脇の下、指の間など)を
中心に皮下トンネルが形成され、卵を産み、知らない間に増殖します。命にはかかわりませんが、激烈なかゆみと
職員を介し、院内感染となることが多く また治療法が日本では有効な薬が発売されていないことから
感染が長期化し、対応に非常に苦慮いたします。
当院では私が管理者になってからは 幸い、初期でブロックできたケースが大半です。
�今年のインフルエンザは大流行したため、何人か病棟で感染されました。持ち込みルートは
正月面会のご家族由来あるいは年末年始患者様外出後の感染でした。
最初に何人か高熱を出されましたので、その時点で患者様のご家族に説明して該当病棟の入院患者様は
全例タミフル予防内服とし
職員も何人か罹患しましたが、出勤停止として、事なきを得ました。インフルワクチンは患者様はほぼ
全例接種済みでした。保健所には逐一 報告しておりました。
�ノロウイルスはノロウイルスシーズンの外来患者さんの受診後はトイレの次亜塩素酸消毒、
スタッフの入念な手洗いを行い、誰も感染しませんでした。
病棟での患者様の発症がお一人おられましたが、直ちに個室隔離とし、次亜塩素酸による部屋消毒を徹底し
事なきを得ました。病棟患者様のウイルス持ち込みルートは未だ不明です。
�結核については、患者様の喀痰検査の時に全例 必ず結核菌の検査を出すことにしており、
今のところ問題ありません。
�疥癬ですが、数年前に一度院外からの持ち込みがあり、院内感染となったことがあります。
その際は、日本で認められている薬を使用しましたが、効果が乏しく3か月くらい長期化しましたので
感染患者様の御家族様の同意を頂いて、海外で使用されている疥癬の薬を個人輸入して対応いたしました。
効果は目覚ましく、その後はピタッと収まりました。
現在、日本でも保険適用となるように審議されていますが、早く使えるようになってもらいたく
切望しております。
ペルメトリンクリームの厚生労働省への認可要望書(日本皮膚科学会)
http://www.mhlw.go.jp/topics/2012/03/dl/youbousyo-266.pdf#search='%E3%83%9A%E3%83%AB%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%B3+%E7%96%A5%E7%99%AC'
実際の使用例の発表(高齢者施設)
http://www.kyujinkai-mc.or.jp/pdf/yakuzai/h13_iryouyakugaku.pdf#search='%E3%83%9A%E3%83%AB%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%B3+%E7%96%A5%E7%99%AC'
以上、当院での院内感染対策の試みを披露いたしました。
古森病院ホームページ http://komori-hp.cloud-line.com/