2010年1月7日:午前11時過ぎ
「えっ?行くの?」
声を裏返らせた妻を助手席に乗せ、ウポル・エアポート脇の未舗装の道へ。
アクセルを軽めに踏み込み、慎重に走らせ始めたものの、すぐに後悔が。
轍が深い!深すぎる!!
4輪駆動車、ジープなら問題なさそうだが、普通のコンパクトカーでは、かなり厳しい。
あっさりと車体の底を擦ってしまいそうだ。
それでも、轍からタイヤを微妙にずらして走ることで何とか進む。
(ここは、やはり集中力を高め、慎重に運転していかなければ!)
そう考えているそばから、
妻は何を思ったのか、カー・ラジオのボリュームをいきなり上げた。
♪My home is ~
突然車内に鳴り響くカントリー・ソング!
「あの、いま集中してたいんですけど!」
あわててラジオを消す妻に、信じられない思いで尋ねると、
ラジオのスイッチを切ろうと気を利かせたつもりが、間違えてボリュームを上げたのだという。
(何もこのタイミングでしなくても・・・)と、
喉まで出かかった言葉は、ぐっと飲み込んで、運転に集中しなおす。
ガタガタと揺れる車体をなんとかコントロールしながら、
エアポートのフェンスに沿って回り込んでいく。
途中から、「わっ!」とか、「きゃっ!」とか、
「クルマが傾いてるッ!」とか騒ぐ妻のことは無視して走り続けると、
一軒の民家が!
その門の前で右の道へと曲がると、前方に海が見えてきた。
ちょうど6分ほど走ったところで、目的のウポル・ポイントに到着。
ぼくたちに先行した白いRVワゴンも停まっていて、
家族らしき4人のアメリカ人が、それぞれ景色を楽しんでいた。
「ついに、来たね。」
(←Selected for Google Earth)
ぼくたちもクルマを降りると、草地を吹き抜ける海からの強い風を感じた。
ここも、サウス・ポイントと同様、
風の強さで、木が上ではなく、横に伸びている。
「じゃ、ここで記念写真撮ろうか。」
妻とふたり、ウポル・ポイントでパチリ!
これで、北端も制覇!!
さて、地図を見ると、
ここから海岸沿いに伸びる道をさらに進めば、
カメハメハ大王生誕の地、
そしてハワイ諸島で最も古い時代のヘイアウ、
モオキニ・ルアキニ・ヘイアウへ行けるようだ。
「どうする?行ってみる?」
妻に問いかけた。
ここから、ヘイアウまでは歩きで行くしかなさそうだ。
「どれくらいかかるの?」
妻のもっともな問いに、ぼくは答えを用意していなかった。
折よく、
石垣で囲まれた一軒家のかなり広い庭先に、
住人らしき年配の男性が出て来ていた。
見渡す限り、ほかに民家もないことだし、
庭仕事をしているその男性に、思い切って尋ねてみることにした。
石垣に近づき、
「ハロー!アロ~ハ!」と、呼びかけてみた。
何事かと訝しげにこちらを見たその顔は、褐色の肌といい紛れもなくハワイアン。
昔から、強風の吹き抜けるこの地に住んでいるのだろうか?
あれこれ聞いてみたいという興味も沸いたが、こちらは通りすがりのただの旅行者。
ここは手短に、必要なことだけ尋ねることにした。
「すみません。ここからヘイアウまで行くには、どれくらいの距離がありますか?」
年配の男性は怪訝な表情のまま、「およそ1マイル。」と、教えてくれた。
「この道を進めば、いいですか?」
「ああ、この道の先だよ。」
「サンキュー。」
礼を言って、妻の元に引き返してくると、
白いRVで来ていた家族のうち、父親らしき男性が近寄ってきた。
どうやら、彼らもヘイアウまでの距離を知りたかったようだ。
「ここから、およそ1マイルだって。」
そう教えると、サンキューと笑顔が返ってきた。
「1マイルほどだし、せっかくだから行ってみようか。」
と、気軽に妻を促し、ヘイアウまで行ってみることに。
ペットボトルを持って、太陽が照りつける未舗装の道を歩き始めた。
右手の海を見ながら歩いていると、沖で潮が吹きあがるのが見えた。
「あっ、クジラだ!」
思わず足を止め、目を凝らして見ていると、
親子らしき大小のクジラの姿を波間に捉えることができた。
あわててデジカメとビデオを取り出し、狙いをつけるが、タイミングよく捕えるのが難しい。
後ろから歩いてきていたアメリカ人家族も、
クジラに気づいたのか、
「Wa~o!」
と、歓声を上げながら、カメラを構えているぼくたちを追い抜いて行った。
なおも、カメラを構えていたが、
クジラの姿は消えてしまい、
わずかに潮が吹きあがるのが分かるくらいになってしまったので、
再びヘイアウに向かった歩き始めた。
やはり足の長さの違いか、
アメリカ人家族は、あっという間に先へ先へと歩いていき、その姿が小さくなっていく。
一方、
後を追うぼくたちもそれなりに早く歩いているつもりだが、その距離は広がるばかり。
あっという間に、家族の姿は見えなくなってしまった。
(あれ?何かがおかしい。)
いくら彼らの足が長いからといって、これほど引き離されるものだろうか?
疑念を抱きつつ、
それでも、ヘイアウらしきシルエットが望めるところまでやって来たが、
「ちょっと、遠いかな?」と、
今更ながら1マイルの距離の遠さに気づいた。
しかも、足元を見て我ながら愕然とした。
「そりゃ、そうか!」
よくよく考えてみれば、ヘイアウまで行く準備を何もしていなかったのだ。
あまりにお気楽過ぎた。
先行して行ったアメリカ人家族は全員がスニーカーだったが、
ぼくたち夫婦が履いているのは、サンダルだ!!
快晴のハワイ島で、往復2マイル(3.2キロ)の距離を、
しかも未舗装の土の道をサンダルで歩くことは、やはり厳しい。
ぼくは無理が出来ても、妻が辛そうだ。
「もどろうか。」
已む無く引き返すことにした。
残念だが、次回のお楽しみとして残しておこう。
クルマの止めてあるポイントまで引き返すと、
来た時同様、ガタガタの道を運転して、エアポート前まで移動。
無事に舗装道路まで戻ってこれたところで、ほっと一安心。
午後12時を過ぎ、お腹も空いてきたことだし、
カワイハエまでランチを食べに戻ることにした。
Welina.
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