グー、グー、グー(Ⅰ)

2016-07-17 06:52:47 | 童話
今日はお父さんと宇宙探検の映画を見に行く日だ。
昨日はワクワクしてなかなか寝られなかった。
今は月へ人間が行っているし、火星では探査の電気自動車が走って、写真を地球に送ってきている。
僕が大きくなった時は、宇宙のどこまで行けるようになっているのかなぁ?

今日の映画は、遠い宇宙のはてから、人間にメッセージを送ってきている星を探しに行くらしいんだ。
どんな生き物がいるのかなぁ。

『もうすぐ火星に着くから起きなさい。』
僕は昨日あまり寝られなかったので映画を観ながら寝てしまったのかなぁ。

『火星でロケットに燃料を補充している間、火星基地の中で休憩するよ。』
僕はお父さんに起こされた。

『あれっ、ここは映画館の中ではないや。』
『ロケットから基地の休憩室へ行くまでの間は、宇宙服を着るルールになっているんだよ。』
『うん、分かった。だけれど、僕は今、映画を観ていたんだけれどなぁ。』
『また同じ席に座るから荷物はそのままでいいよ。早く、休憩室へ行くよ。』
『う、うん。変だなあ。』
僕は変だなあと思いながら、お父さんや他のクルーと一緒に基地の休憩室へ行った。

休憩室は大きなドーム型で、全体がガラスのように透明になっていて、ロケットに燃料を入れている所がよく見えている。周りは暗いが空にはたくさんの星が輝いている。

『うわっ、きれいだなぁ。』
『そうだね、お前は初めての宇宙旅行だったね。』
『うん、そうだよ。宇宙はすごいんだね。』
『サンドイッチを食べたら、またロケットに戻ろうか。』
『今度はどこまで飛んで行ったら休憩するの?』
『土星かな?』
『大きなリングのある星だね。』
『そうだよ。リングは近くで見ると、写真よりずっときれいだよ。』
『お父さんは土星に行ったことがあるの?』
『ああ、お前と同じくらいの子供の時に、一度行ったことがあるよ。』
『ふぅ~ん、すごいね。』

そして、ロケットは土星に向って飛行を続けた。