なぜだろう(1)

2017-04-05 21:21:30 | 童話
「おはよう。忘れ物は無~い? 教科書とノートは全部持ったの? 宿題のプリントも持ったの?」
「おはよう。全部持ったよ。」

僕に毎朝、玄関の花瓶の花が話し掛けてくる。
「おかえり。学校は今日も楽しかった? 宿題は有るの?」
「ただいま。宿題はね、プリントが2枚だよ。」

僕は玄関の花瓶の花に話し掛ける。

僕が宿題をしていると、机が話しかけてくる。
「今日も学校で頑張ったね。」
「うん、勉強も運動会の練習も頑張ったよ。」
「宿題が終ったらどこへ行くの?」
「友達とグラウンドで野球をするんだよ。」
「ケガをしないでね。」
「うん、わかったよ。」
「宿題が終ったからグラウンドへ行ってくるからね。」
「行ってらっしゃい。」
僕は机に行ってきますを言ってグラウンドへ向った。

家に帰って手を洗っていると、水道の蛇口から声が聞こえる。
「今日も楽しかった? せっけんをよく付けてゴシゴシと洗ってね。」
「うん、わかった。」

お母さんが用意してくれていたオヤツのケーキを食べようとするとフォークが話しかけてくる。
「今日のケーキはね、高いケーキだから特別おいしいよ。」
「そうだね、いつものケーキよりおいしいね。」
「終ったら片付けてね。」
「うん、わかった。」
「これから、どこへ行くの?」
「これからお母さんとお買い物に行くんだよ。」
「何を買いに行くの?」
「スニーカーを買ってもらうんだよ。」
「カッコいいのを買ってもらうの?」
「ううん、普通のだよ。走りやすいのがいいんだ。」
「お母さんが来たよ、行ってらっしゃい。」
「うん、行ってくるからね。」