僕の元気君(1)

2017-04-17 21:20:48 | 童話
僕の元気君は、今はハムスターだけれど、昨日はカピバラだった。
『どうして変わるのか?』だって、
あのね、元気君は、僕が友達でいて欲しいものに何にでもなってくれるんだ。自転車だったこともあるよ。明日は滑り台がいいかなぁ。

『どうして僕には元気君が居るのか?』だって、
それはね、僕が元気君を大事にしているからだよ。

『元気君はどこからきたのか?』だって、
遠い所から来たらしいけれど、僕の知らない所らしいんだ。

『元気君はお話しするのか?』だって、
僕と居る時だけ、お話しをするよ。

『元気君を見たい。』だって、
お父さんもお母さんも見えないらしいから、君も見えないと思うよ。

『元気君はずっと一緒に居るのか?』だって、
いつも僕の所に居るけれど、時々元気の無い子の所へ行くんだ。

先月は病気で入院している女の子の所へずっと行っていたよ。
『その女の子は元気になったの?』うん、元気になって退院したから、また僕の所に帰って来たんだ。

『その女の子の所に居る時は、何になっていたのか?』だって、
最初は絵本になって、女の子のお母さんに読んでもらっていて、元気になり始めてからは上履きになって、足を優しく包んでいたんだって。

それから、昨日、隣りの男の子が転んで足を擦りむいたので、元気君が行ってバンソウコウになっていたんだ。だけど、すぐ良くなったので、今日帰って来たんだ。

『元気君はすごいんだね。』
元気君は勉強も教えてくれるよ。勉強を教える時は先生に変わるんだ。

『ふぅ~ん。元気君は今どこに居るの?』
今はね、う~んとね、居ないね。

『僕はもう帰るから、元気君が来たら教えて。』
ああっ、いいよ。

なんだ元気君、そこに居たの。友達が会いたいと言っていたけれど、会えないのかなぁ。
えっ、会っても見えないし、声も聞こえないの。
やっぱり友達には見えないのか、残念だなぁ。
君は僕だけの元気君だから他の人には会っていても、見えないし声も聞こえないのだね。
見えるようになるのには、どうすればいいのかなあ。