タヌキとキツネと人間と(1)

2017-04-20 21:25:24 | 童話
今日は暑いので、森のキツネが神社の近くに有るお店にアイスクリームを買いにやって来て、アイスクリームの値段を調べました。
「1個108円か、タヌキに1個あげるから、2個で216円だね。」
そして、キツネはお店の外に出て、左手に小さな石を5個持って、その上を右手でポンと叩きました。そうすると、手の中の石が、100円玉2個と10円が1個と5円が1個と1円が1個になりました。

「ここに216円有りますのでアイスクリームを2個ください。」
「はいはい、ありがとうね。」
とお店の人がアイスクリームを2個くれました。こうして、キツネとタヌキは仲良く美味しいアイスクリームを食べました。

キツネが
「もう1本食べたいね。」
というと、タヌキが
「今度は僕が買ってくるよ。」
と言って、また左手に小さな石を5個持って、その上を右手でポンと叩きました。そうすると、手の中の石が100円が2個と10円が1個と5円が1個と1円が1個になりました。
「ここに216円有りますのでアイスクリームを2個ください。」
「はいはい、ありがとうね。
とお店の人がアイスクリームを2個くれました。
そして、タヌキはキツネの所に帰って、2匹でアイスクリームを食べようとしましたが、2本のアイスクリームは木の枝になっていました。

タヌキが
「あっ、人間に騙された。」
と言うと、キツネが
「僕の時はちゃんとアイスクリームをくれたよ。」
と言いました。
キツネとタヌキは、
「今度は2匹で、もう一度アイスクリームを買いに行ってみようよ。」
「そうしようか。」

そして、今度は2匹がそれぞれ左手に小さな石を5個持って、その上を右手でポンと叩きました。そうすると、手の中の石が、100円が1個と5円が1個と1円が3個になりました。
キツネが、
「ここに108円有りますのでアイスクリームを1個ください。」
と言い、タヌキも
「ここに108円有りますのでアイスクリームを1個ください。」
と言いました。
すると、お店の人が
「はいはい、ありがとうね。」
と言ってアイスクリームを1個ずつくれました。

そして、キツネとタヌキは2匹でアイスクリームを食べようとしましたが、タヌキのアイスクリームだけが木の枝になっていました。また、タヌキが
「あっ、人間に騙された。」
と言うと、キツネが
「僕のはおいしいアイスクリームだよ。」
と言ってアイスクリームを食べました。
「どうして僕だけ人間に騙されるのかなあ?」とタヌキが言うと、
「どうしてかね?」
とキツネが言いました。

しかし、なぜだか分かりません。

僕の元気君(3)

2017-04-19 21:13:53 | 童話
次の日、僕の元気君は赤い色に青色のラインの入ったカッコいいマウンテンバイクになっていた。
『わぁ、カッコいいなぁ。』
公園に行くと友達は、黄色に赤いラインの入ったマウンテンバイクに乗ってきていた。
二人は自分のマウンテンバイクを自慢したが、お互いのマウンテンバイクをカッコいいと思った。

公園からの帰りに、信号待ちしていたお年寄りがいたので、僕と友達はマウンテンバイクから降りて、手を挙げてお年寄りと一緒にゆっくりと信号を渡った。
僕達はそのお年寄りから、『ありがとうね。』と言われた。

僕達は、元気君に明日何になってもらおうか相談した。
『明日は月曜日だから、宿題する時に教えてもらえる先生がいいよ。』
『そうだね。』

ある日、僕はおやつのケーキの大きさで妹とケンカをした。
『僕のケーキの方が妹のより小さいよ。』
『お兄ちゃんのイチゴの方が大きいわ。』
『そんなことないよ、うるさいなぁ。』
『うわ~ん。』
その時、僕のフォークになっていた元気君が、
『兄弟ケンカするのなら居なるよ。』と言った。
僕はあわてて妹に『ゴメンね。』を言って仲直りをした。

しばらくして、僕と友達は明日、小学校の卒業式を迎えることになった。
そして、僕の元気君が話し掛けてきた。
『今迄楽しかったね。君は明日で小学生じゃなくなるから、僕は次の子供の所へ行かなくてはならないんだ。今迄、いろいろな所へ行ったし、いっぱい楽しい事も有ったよね。中学生になっても、お父さんやお母さんの言う事を良く聴いて良い子でいるんだよ。そして、お年寄りや小さい子供に優しくするんだよ。』
『うん、分かった。今迄すごく楽しかった、ありがとう。元気君も次の子供の所で頑張ってね。明日の朝起きた時に居ないと思うので、今バイバイするね。おやすみなさい。』

              おしまい

僕の元気君(2)

2017-04-18 21:07:21 | 童話
そうだ、友達も友達だけの元気君ができるすればいいんだね。
それにはどうすればいいの?
ふぅ~ん、学校での勉強や宿題をちゃんとやるだけじゃなくて、年寄りや小さい子に親切にしていると元気君が来るんだね。

そうだね、元気君が僕の所に来るようになる前に、僕は年寄りの人に電車の座席を代わってあげたし、迷子の子を交番に連れて行ってあげたし、妹が転んでケガをした時に薬を塗ってバンソウコウを付けてあげたりしたね。

でも、みんなやっている事じゃないのかなぁ。
そうか、1回だけではなく、いつも、ずっとやっていないといけないんだね。
僕は電車やバスの中ではいつも席を代わってあげているよ。

よしっ、友達に教えてあげよう。
友達にも元気君が来るといいんだけれどね。
だけど、友達の所に元気君が来たら、僕の元気君はどうなるの?
そうか、友達の元気君と僕の元気君とは別なんだね。
元気君は何人くらい居るの?
そうか、数えきれないくらい居るのか。

元気君はいつまで僕の所に居ることかできるの?
えっ、小学6年生までなの、もっと永く一緒に居られないの?
そうか、元気君はたくさん居ても、子供の方がもっとたくさん居るから、次の子供の所へ行かないといけないんだね。

それでは後2年、僕と一緒に居られるね。
えっ、僕が悪い子になると元気君は直ぐ居なくなってしまうの?
そんなのイヤだよ。良い子にしているから居なくなったらダメだよ。約束の指きりだよ。

しばらくしてから友達が遊びにきた。
『僕にも元気君が来たよ。今はね、消しゴムになっているんだ。』
『本当だ、消しゴムが動いている。』
『昨日は鉛筆だったけれど、やっぱり動いていたよ。』
『僕の元気君は消しゴムの時は、お話しはしていたけれど、動かなかったよ。えっ元気君、動けるの、なんだ動けるのか。』
『明日、二人の元気君に自転車になってもらって、二人で公園へ行こうか。』
『ああ、いいね。』
『元気君にカッコいいマウンテンバイクになってもらおう。』
『僕もマウンテンバイクがいいな。』
『じゃ、明日ね、バイバイ。』
『バイバイ。』

僕の元気君(1)

2017-04-17 21:20:48 | 童話
僕の元気君は、今はハムスターだけれど、昨日はカピバラだった。
『どうして変わるのか?』だって、
あのね、元気君は、僕が友達でいて欲しいものに何にでもなってくれるんだ。自転車だったこともあるよ。明日は滑り台がいいかなぁ。

『どうして僕には元気君が居るのか?』だって、
それはね、僕が元気君を大事にしているからだよ。

『元気君はどこからきたのか?』だって、
遠い所から来たらしいけれど、僕の知らない所らしいんだ。

『元気君はお話しするのか?』だって、
僕と居る時だけ、お話しをするよ。

『元気君を見たい。』だって、
お父さんもお母さんも見えないらしいから、君も見えないと思うよ。

『元気君はずっと一緒に居るのか?』だって、
いつも僕の所に居るけれど、時々元気の無い子の所へ行くんだ。

先月は病気で入院している女の子の所へずっと行っていたよ。
『その女の子は元気になったの?』うん、元気になって退院したから、また僕の所に帰って来たんだ。

『その女の子の所に居る時は、何になっていたのか?』だって、
最初は絵本になって、女の子のお母さんに読んでもらっていて、元気になり始めてからは上履きになって、足を優しく包んでいたんだって。

それから、昨日、隣りの男の子が転んで足を擦りむいたので、元気君が行ってバンソウコウになっていたんだ。だけど、すぐ良くなったので、今日帰って来たんだ。

『元気君はすごいんだね。』
元気君は勉強も教えてくれるよ。勉強を教える時は先生に変わるんだ。

『ふぅ~ん。元気君は今どこに居るの?』
今はね、う~んとね、居ないね。

『僕はもう帰るから、元気君が来たら教えて。』
ああっ、いいよ。

なんだ元気君、そこに居たの。友達が会いたいと言っていたけれど、会えないのかなぁ。
えっ、会っても見えないし、声も聞こえないの。
やっぱり友達には見えないのか、残念だなぁ。
君は僕だけの元気君だから他の人には会っていても、見えないし声も聞こえないのだね。
見えるようになるのには、どうすればいいのかなあ。

火星に行く日と火星に帰る日(4)

2017-04-16 09:59:40 | 童話
『果物がいっぱい実るといいね。』
『そうだね、川と海にお魚がたくさん住むようになるといいね。』
『そうだね。川にはフナとドジョウが育つといいね。それから、トンボの子供のヤゴも育ってトンボになるといいね。』
『そうだね。海には貝やカニが、たくさんのお魚と住めるといいよね。』
『火星に着いたらがんばろうね。』
『うん、がんばろうね。』

しばらくして、2基の宇宙船は火星に着いたので、みんなで力を合せてドームを作りました。
そしてドームの中に山と海を作り、山には苗木と果物の種を植えて、川と海には水入れました。
『終ったね。』
『うん、終ったね。』
『次、また水と苗木を運ぶ時も一緒にやろうかね。』
『ありがとう、頼むね。』

そして、僕達は地球に帰って来てから望遠鏡で火星を見ていますが、火星は遠いのでドームは小さくて見えません。だから、木が大きくなっているかどうか分かりません。

そして、今度火星に行く予定は決まったら、火星の友達と会えるので楽しみにしています。

       おしまい