曼珠沙華炎といふ字咲きにけり ころころ
いつも迷うことに彼岸と秋彼岸のように一年に季節の違う
節季が二つ有る場合、どんなふうに詠み分けたらいいの
だろうと?季語集には詠み方までは書いてない。
四ッ手網すみずみ乾く彼岸かな 吉田鴻司
海に出づ彼岸の餅を平らげて 中 拓夫
神楽坂上りて彼岸詣でかな 島村茂雄
彼岸会やふるさと人も背広着て 草村素子
月山の山ひだ深き春彼岸 有馬朗人
山寺に降りこめられて秋彼岸 大橋櫻坡子
ひとごゑのさざなみめける秋彼岸 森澄雄
濡れつづく母の爪皮秋彼岸 中村明子
狂女のも正座の礼や秋彼岸 小野冬芽
かみそりのひやりと置かる秋彼岸 小松栄子
私にも少し分かることは春はいささか明るさがあるが
御霊との距離が少し遠いかもしれない。
秋彼岸にも明るい句は勿論あるが趣が違う。
殺陣の稽古見てゐる秋彼岸 大島民郎
秋彼岸詣り合はせてみな親し 深見けん二
名水をもていれし茶に秋彼岸 村越化石