徒然刀剣日記

刀剣修復工房の作品・修復実績と刀剣文化活動のご紹介

刀身を活かす柄前

2016-07-04 22:49:46 | 拵工作
しばらく付きっ切りで修復を施していた柄前が完成しました!



そもそも修復とは、一定水準以上の技術が注ぎ込まれた作品を、経年劣化などで破損した箇所を補修し、再度本来の性能を引き出す工作の事を指しますが、今回のご依頼は一筋縄ではいきませんでした。



元々工芸家の手によるものではなく、どこから手をつけて良いやら全く見当がつないことから、時間ばかりが過ぎていくという職人泣かせな作業でした。



下地から作り直した方が断然簡単な仕事でしたが、ご依頼内容がどうも判然とせず、手探り状態が続きました。



現状の柄下地を活かすには、一度染み込んだ溶剤や接着剤を完全に除去しなければなりません。
鮫皮からもラッカーを完全に除去し、強度の補強の為に漆で塗り固める方法をとりました。



柄成りは刀身のスペックを引き出せるように若干肉置きを蛤型に整え、柄糸を幅の狭めのものを用いることで補強と使用感の向上を重視しました。



今回、あまりにも雑な拵えを修復するということもあり、通常の倍ちかい時間がかかってしまいましたが、修復前の様にすぐに壊れてしまう外装では安全に武道の稽古もできませんので、じっくり腰をすえて取り組ませていただきました。

結果、何とかカタチになってくれましたので、職人としてはまずは一段落です。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
佩環 (しゃもん)
2016-11-27 08:28:49
こんにちは。
ブログを拝読いたしました。
早速ですが、九八式軍刀を持っているのですが、その鞘の佩環の塗装を一部落としてしまいました。今は銅のような地肌が露出しております。
佩環の塗装作業はなされますでしょうか。
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軍刀拵の修復 (拵師)
2016-11-28 13:32:07
しゃもん様

コメントありがとうございます。
佩環の塗装についてのお問い合わせの件にて、ご返信差し上げます。
軍刀拵の場合、着色が焼き付け塗装によるものか、電解着色によるか、民間工房や造兵廠によって技法が異なるようなので、確実は事は申し上げられません。
大変申し訳ございませんが、ご了承くださいます様お願いいたします。
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Unknown (しゃもん)
2016-11-29 14:20:16
ご返事ありがとうございます。
色々な塗装があるんですね。
不躾なことをもうしますが、現物をお持ちして見ていただくことは可能でしょうか。作業が無理でも見て分かることをお聞きできればと思います。
よろしくお願い致します。
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工房ご来訪の件 (拵師)
2016-12-08 22:39:16
しゃもん様

申し訳ございません!コメントに気付きませんで返信が遅くなりました。
ご来訪いただく件ですが、工房を店舗として公開しておらず、また集中力を要する作業が多い為、なかなかご訪問頂いてもご対応させて頂くことが難しいというのが現状です。
事前のご連絡で、相談内容が定まっている場合には、ご依頼時にご来訪いただく事は一向に支障ございませんが、口頭鑑定や工房見学のみでのご来訪は人手不足と当方の力不足にてご遠慮頂いております。
大変、申し訳ございませんが、その旨ご了承の程、よろしくお願い申し上げます。

なお、ご依頼が目的のご相談でしたら、別途メールにてお請けいたしますので、お気軽にお問い合わせください。
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