スポ根漫画を御存じだろうか。
スポ根=スポーツ根性ものというジャンルが漫画の一時代を築いていたあの頃、まあ酷いもんだった。
荒唐無稽と一言で片づけられて来たが実はかなり奥深い。
恐らく日本独特の価値観で近代スポーツをエンタメ化した非常に特殊なジャンルだろう。
特に野球では魔球物が主流でその源流は確実に忍術である。
消える、増える、燃える、投手が巨大なガマに乗っていないだけで間違いなく忍者の世界なのだ。
そして魔球を編み出すまでの修行がこれまた忍者そのもので山へ籠り滝にうたれ、崖から飛び降り…いや普通に練習しろよ!!
子供の頃から忍者ものに慣れた世代だからそれを見てもさほどの違和感は感じなかった。
勿論若干の突っ込みはするが…
これが他のスポーツにもどんどん入り込む。
アマレス、バレーボール、ボーリング、柔道、特に梶原一騎が絡むと一気にとんでもない世界へ連れ込まれる。
柔道漫画の大噴火投げってなんだよ!ギャグ以外の何物でもないぞ!!
ボーリング漫画はまたしても魔球合戦になるのだが主人公が編み出そうとしているのはトルネード魔球。
もの凄い勢いで回転をしながらレーンを進み1メートルも浮き上がって全てのピンを吹き飛ばすという恐ろしい魔球なのだ。
何度投げても1メートルは浮き上がらない。
50センチ程浮き上がり全てのピンをなぎ倒すが…
「駄目だ!あと50センチ足りない!!」
膝をついて涙する主人公。
おいおいおいおい!!ストライクじゃねーか!!!
何か違うスポーツに何時の間にかなっているぞ!!
こうしてスポ根漫画は迷走し崖から転げ落ちていくのであった。