勧告では、日本において、韓国と北朝鮮の国籍保有者や中国人ら国内少数派に対する憎悪や差別をあおる発言が広がっている、と懸念を表明。サッカーJリーグのサポーターが掲げた「ジャパニーズ・オンリー」というスローガンを挙げ、排外主義のデモが頻発しているとして懸念を示した。

刑制度に関しては、廃止を十分に検討することや、死刑が適用される罪の数を減らすことなどを求めた。また、人権上の配慮から、死刑囚や家族に対して執行日時の事前通知や、死刑囚を特別な場合を除いて独房に閉じ込めないことなども求めた。

慰安婦問題については、「性奴隷制度」という表現を用いて、「性奴隷制度や戦時中の日本軍による慰安婦に対する他の人権侵害のすべての疑惑について調査し、訴追して有罪の時には処罰するための効果的な立法および行政措置を直ちにとること」などを求めた。

特定秘密保護法については、「秘密指定の対象の定義があいまいで幅広い」ことや、「厳しい罰則」がジャーナリストや人権活動家の行動に悪影響を及ぼしえることなどを懸念した。

 勧告に強制力はない。今回で6回目の対日勧告だが、規約人権委は日本政府のこれまでの取り組みを不十分と見なしており、今回の勧告には実行を求める文言を盛り込んだ。ロドレイ委員長は「前例がないこと」と強調した。(ジュネーブ=松尾一郎)