加計学園獣医学部の講義で、小川榮太郎の「モリカケは朝日の捏造」デマ本が参考書に指定! ヘイト本、日本スゴイ本も…
加計学園の授業で使われる、小川榮太郎『徹底検証「森友・加計事件」――朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪』(飛鳥新社)
「本件は、首相案件」という柳瀬唯夫首相秘書官(当時)の発言などが記載された面会記録文書の発覚で、安倍首相の嘘があらためて実証された加計学園問題。しかも、愛媛県関係者は面会時に交換した柳瀬氏の名刺を持っているとされ、もう誰も「記憶にない」の一辺倒では納得しないだろう。
「首相案件」として行政を歪め、岩盤規制に無茶な穴をこじ開け、結果として約100億円もの血税が「腹心の友」に注がれた──。安倍首相による政治の私物化はこれではっきりとしたわけだが、そんななか、この4月に新設された、疑惑の中心である岡山理科大学獣医学部について、目を疑うような信じがたい事実が出てきた。
それは、大学HPで公開されている講義のシラバスのなかにあった。獣医学部では、1年生を対象とした教養教育科目のひとつに柳井徳磨氏による「現代人の科学A」という科目があるのだが、シラバスによれば〈現代科学の到達した自然観の全体的な枠組みを伝える〉ことを目的とする講義だという。しかし、問題は、この講義の「参考書」として挙げられている書籍だ。
柳井氏の研究分野は獣医病理学だというが、しかしこの講義の「教科書」の欄を見ると、中国・韓国・モンゴルヘイト本を多数出版している宮脇淳子氏の『日本人が教えたい新しい世界史』(徳間書店)なるヘイト本が挙げられていたり、さらに「参考書」の欄にも、極右雑誌「WiLL」やヘイト本の出版で知られる出版社ワックが発行する『日本人はなぜ「小さないのち」に感動するのか』(呉善花)などという「日本スゴイ」本が挙げられており、どのあたりが「現代人の科学」なのかさっぱり意味がわからないのだが、それ以上に驚いたのは、なんと、こんな書籍までが「参考書」として挙げられているのだ。
〈「森友・加計事件」朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪/小川榮太郎/飛鳥新聞社〉(原文ママ)
“安倍応援団”小川榮太郎の「森友・加計は朝日の捏造」と断じるデマ本が参考書に指定!
言わずもがな、この『徹底検証「森友・加計事件」――朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪』(飛鳥新社)は、2012年秋の自民党総裁選直前に『約束の日 安倍晋三試論』(幻冬舎)という安倍PR本でデビューした小川氏が、安倍政権べったりの極右雑誌「月刊Hanada」の発行元・飛鳥新社から“森友・加計報道の検証本”と称して昨年10月に出版したもの。その中身は“安倍首相の完全な潔白”を主張し、森友・加計問題でスクープを連発していた朝日新聞を標的に〈「冤罪事件」を計画し、実行した「主犯」〉〈「安倍叩き」のみを目的として、疑惑を「創作」した〉などと“森友・加計問題は朝日新聞によるでっちあげだ!”と断じているシロモノだ。
発売当時から同書は、朝日新聞を標的にしてネトウヨを煽動し、問題の本題をずらそうとする稚拙かつ悪質な陰謀論でしかなかったが、さらに朝日が森友文書の改ざんや愛媛県の面会記録文書の存在をスクープしたことで、「モリカケは朝日のでっちあげ」なる主張がたんなる妄言で、むしろ安倍応援団による「でっちあげ」であることがはっきりとした。
にもかかわらず、加計学園の獣医学部では、このようなでっちあげ本、陰謀論本を、講義の参考書に使っているのである。──まったく、頭がクラクラしてくるような話ではないか。
しかも、加計学園の“反知性”ぶりはこれだけにとどまらない。本サイトですでにお伝えしたように、加計学園は「モリカケは朝日のでっちあげ」と必死に喧伝してきた安倍応援団員であるケント・ギルバート氏や上念司氏を、なんと岡山理科大学の客員教授として迎え入れるという人事をおこなっているからだ。
安倍首相・加計擁護を展開したケント・ギルバートと上念司がちゃっかり客員教授に!
たとえばケント氏は、加計学園問題が大きく報じられていた昨年7月に〈「加計問題=フェイクニュースだ」と誰でも理解できる〉などと主張。加計報道を〈テレビ報道の偏向〉と呼び、〈番組制作者やコメンテーターの偏向ぶりは、日本が憲法を改正して「普通の国」になることを阻止したい外国政府の工作員か、女や金の問題で弱みを握られた「敵の手先」としか思えない〉などとわめき立てていた。
さらに上念氏も同様に“偏向報道だ!”と騒ぎ、他方で「総理のご意向」文書の存在を実名告発した前川喜平・前文部科学事務次官を「嘘つき」と断言。文書を作成した文科省職員についてのあきらかなデマをSNSやラジオ番組で垂れ流していた。最近も、面会記録文書が出てきた際に「モリカケは朝日案件」といまだに朝日を攻撃するというネトウヨ丸出しの投稿をしたばかりだ。
このような露骨な安倍首相・加計擁護を繰り返してきた人物に、“ご褒美”として客員教授に迎え入れる──。そもそもケント氏や上念氏は、加計問題にかぎらずメディアを通じて悪質なデマを流布したり、さらには排外主義を前面に打ち出し、ヘイトスピーチを連発している。このような人物を客員教授として採用すること自体、大学としての姿勢を疑わざるを得ないだろう。
その上、陰謀論でしかない書籍を、学生に対して講義の参考書として薦めるとは……。これが、“世界最先端の研究”をおこなうという建前で規制緩和がなされ、できた学部の実態の一端なのである。安倍首相と加計孝太郎理事長の深い友情関係によって誕生した獣医学部なのだから、さもありなん、と言わざるを得ない。
(編集部)
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