ICANにメダル、被爆者出席=ノーベル平和賞授賞式-ノルウェー
ノーベル平和賞を受賞し、賞状とメダルを手にするサーロー節子さん(中央)とベアトリス・フィンICAN事務局長(右)=10日、オスロ市庁舎
【オスロ時事】2017年のノーベル平和賞の授賞式が10日、ノルウェーのオスロ市庁舎で行われた。今年7月の国連での核兵器禁止条約採択を後押しした国際的なNGOの連合体「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」が受賞し、ICANのベアトリス・フィン事務局長と、被爆者のサーロー節子さん(85)=カナダ在住=にメダルと賞状が贈られた。サーローさんは記念講演で「世界のすべての国の大統領、首相に対し、条約に参加し、核による絶滅の脅威を永遠に除去するよう懇願する」と訴えた。
ICANは、核兵器の使用が引き起こす非人道的な結末に人々の注目を集めるために行ってきた活動や、条約に基づく核兵器禁止の取り組みが評価された。
フィン事務局長は講演で、核保有国が増えたほか、核がテロリストに渡る恐れも示唆し、「今日、核兵器が使われる危険性は冷戦が終わった時よりも大きい」と警告。米ロなど核保有国や事実上の保有国イスラエル、北朝鮮のほか、日本など「核の傘」に入る国々にも核禁止条約加盟を求めた。
13歳の時、広島で被爆したサーローさんは「私が愛した街は1発の爆弾で完全に破壊された。住民のほとんどは一般市民で、焼かれて灰と化し、蒸発し、黒焦げの炭になった」と証言。核禁止条約の制定を「核兵器の終わりの始まりにしよう」と呼び掛けた。サーローさんはICANの一員として、これまで各地で証言を行ってきた。
サーローさんは核の傘に頼る国々を「共犯者」と表現。同条約への署名を拒む日本政府を暗に批判した。
核保有国は「安全保障環境の現実を無視している」などとして同条約を批判。米英仏は慣例を破り、オスロ駐在大使の授賞式出席を取りやめた。
授賞式には日本から、被爆者の全国組織「日本原水爆被害者団体協議会」の田中煕巳代表委員(85)と藤森俊希事務局次長(73)が出席。広島市の松井一実市長、長崎市の田上富久市長も招待された。(2017/12/10-22:41)
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毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20171211/k00/00m/030/081000c
授賞式 サーローさん「核兵器は絶対悪」
ICANと共に活動、カナダ在住の被爆者が記念講演
【オスロ竹下理子】核兵器を初めて法的に禁じる核兵器禁止条約の採択に主導的な役割を果たした国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)へのノーベル平和賞授賞式が10日、オスロ市庁舎で開かれた。ICANのベアトリス・フィン事務局長(35)と、共に活動してきたカナダ在住の被爆者、サーロー節子さん(85)がメダルを受け取り、記念講演を行った。サーローさんは「受賞は、核兵器の時代を終わらせることは可能だという大いなる希望を与えてくれる」と述べ、「人類と核兵器は共存できない」と力強く訴えた。
ICANは核兵器使用が人道上破壊的な結果を導くという危険性を訴え、7月の禁止条約採択に尽力した点が評価された。条約は122カ国が賛成したが、核保有国や米国の「核の傘」の下にある日本などは交渉に参加せず、米国やロシアなど核保有5大国の駐ノルウェー大使は授賞式を欠席した。
フィン事務局長は講演で「核兵器が使われるリスクは冷戦が終わった時よりも大きくなっている」と指摘。「私たちの運動を批判する人たちは、私たちが現実に基づかない理想主義者であると言う。しかし私たちは、唯一の合理的な選択を示している」と強調。核保有国を名指しし、条約参加を呼びかけた。
広島で被爆し、姉らを失ったサーローさんは「みなさんに広島や長崎で亡くなった人々の存在を感じてほしい。一人一人に名前があり、一人一人が誰かに愛されていた。彼らの死を無駄にしてはいけない」と呼びかけた。「核兵器は必要悪ではなく、絶対悪。禁止条約採択を核兵器の終わりの始まりにしよう」と訴えた。
授賞式には日本原水爆被害者団体協議会の田中熙巳(てるみ)代表委員(85)と藤森俊希事務局次長(73)、広島・長崎両市長も出席。ノルウェー・ノーベル賞委員会のアンデルセン委員長が核兵器なき世界に新たな機運を作ったことに敬意を示した。
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ノーベル平和賞 ICANの素顔|NHK NEWS WEB - NHKオンライン
ノーベル平和賞に選ばれた「ICAN=核兵器廃絶国際キャンペーン」。核兵器禁止条約の実現を働きかけてきた国際NGOのメンバーは20代から30代の世界の若者たちが中心。何が彼らをつきうごかしたのか?
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