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【裁量労働制】施行1年延期 過労死遺族「白紙撤回して下さい」
「悔しいですね」。我が子を過労死で亡くした母親2人が、厚労省のロビーで顔を見合わせ、どちらからともなく呟いた。脇山晴枝さんと佐戸恵美子さんだ。
脇山さんは出版社勤務の息子を20年前に、佐戸さんはNHK記者だった娘を5年前に、過労死で失っている。
「全国過労死を考える家族の会」の12人がきょう、加藤勝信厚労大臣との面会を求めて厚労省を訪れた。
裁量労働制の拡大と高度プロフェッショナル制度※を「働き方関連法案」から削除するよう求めるためだ。(※専門職で年収の高い人を労働時間規制から除外する制度)。
加藤大臣は公務を名目に不在だったため、田畑裕明政務官と面談した。
佐戸さんは涙を拭いながら訴えた。「自分の裁量で働くみなし労働制、これは制度を乱用した明らかな人災です。マスコミの方、記者の方、未和の死を無駄にしないで下さい」。
政務官室ではメディアのカメラが放列を敷いた。ブラック労働のメッカとも揶揄されるテレビ局の面々は、裁量労働制の犠牲となった佐戸未和記者の悲劇をどう受け止めただろうか。
中原のり子さんは、医師だった夫を長時間労働の果てに失った。
「120時間働いたら医師の診察を受けさせると言うが、労働者も医師もギリギリまで働いています。今回の法案はぜひ白紙撤回して頂きたい。一年先の施行に私たちは納得しておりません。せめて私達が納得できるような法案をお示しください」。
中原さんの訴えに田畑政務官は黙って頷く他なかった。
厚労省に捏造させたデータが誤情報であることを野党議員に見抜かれ、安倍首相は答弁の撤回と謝罪に追い込まれた。反響は大きかった。
世論の批判をかわすため政府は裁量労働制の拡大と高度プロフェッショナル制度※の施行を一年延期する方針を固めた。
姑息だ。明らかな目くらましである。過労死を合法化する法案を今国会に提出する方針に変わりはないのだから。
〜終わり~
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