異教の地「日本」 ~二つの愛する”J”のために!

言論宗教の自由が保障され、ひとりひとりの人権が尊ばれ、共に生きることを喜ぶ、愛すべき日本の地であることを願う。

【インタビュー 】 政権のメディア介入 久米宏氏 (毎日新聞)

2015-12-25 10:59:58 | 報道

毎日新聞http://mainichi.jp/articles/20150530/ddm/005/070/019000cより転載

インタビュー

政権のメディア介入 久米宏氏

 政治によるメディアへの介入が強まっている。テレビ朝日「報道ステーション」でのコメンテーターの発言やNHK「クローズアップ現代」のやらせ疑惑に対し、自民党はテレビ局幹部から事情を聴き、局側も関係者の処分を決めた。「報道の自由」が揺らいでいる、という声も上がる。ニュース情報番組の司会者の先駆け的存在である久米宏さん(70)の目には、今日のテレビ報道の姿はどう映っているのか。【聞き手・森忠彦】

テレビ報道、踏み込んで

−−最近、政権のメディアへの介入を感じませんか。

 安倍政権はけじめがないですよね。NHKの会長にお友達を連れてきたところなんか、ルール違反でしょう。民主主義がわかってない。マスコミもよくない。最近、首相とマスコミ関係者の会食が異常に多いですよね。誘う方も応じる方も問題です。一定の距離を保たないと、批判しにくくなるでしょう。そもそもメディアというのは、政権批判することに存在意義があるわけですから。

−−3月27日の「報道ステーション」では、コメンテーター(元経済産業官僚の古賀茂明氏)の発言が問題になりました。

 ビデオを2回見返しても、何のことを言っているのかがよくわからなくて、ちょっと欲求不満でしたね。基本的には、コメンテーターが自由に発言できる番組だということを証明したわけですけども、あそこで打ち切っては、視聴者にはさっぱりわからない。どういう経緯であの話になったのか。もし、僕が司会だったら、最後まで聞いたんじゃないですかね。

−−1985年秋から18年半続いた「ニュースステーション」は夜のニュース番組を変えたと言われるほどでした。当時、圧力を感じたことは。

 僕個人のことで言えば、この話をしちゃいけない、というようなことは一回もありません。この話はしないでおこうというのも、僕個人の判断でした。放送前にスタッフと簡単な進行の確認はしますが、コメンテーターとの打ち合わせも基本的にはなしで、自由にしゃべれました。

 反論が出るだろうと予想される話をすることもありました。放送開始のころは中曽根政権下で、かなり批判的な発言もしました。中曽根康弘さんの群馬の選挙区に行った時は記者会見で私だけがオフリミット(立ち入り禁止)で。ご本人ではなく、周囲が「久米はうるさいヤツだから」と気を使われたようです。

 僕はあくまでも司会者ですから、番組制作上、面白くするためにあえて踏み出すことはあります。中途半端だと面白くないし、やるなら徹底した方がいい。見ていて楽しくて、明るくて、割と都会的な番組なんだけど、時の権力にはかみつく−−。それが意外に受けましたね。

−−ニュース番組の司会者として心がけていたことはありますか。

 当時は夕刊が来るころにテレビ局に行って、新聞と各局のニュースを見て、誰も話していないコメントを見つけることに一番気を使いました。僕が納得できて、かつ見ている人も面白がるような視点はないかと。もし何も思いつかなければ黙っている。余計なことは言わない。無理するとろくなことはありません。

 最近のニュース番組は、全体的に踏み込んだ発言が少なくなっているような気がします。よくない傾向ですね。当たり障りのないことだけ言っても、面白くない。

−−最近の地上波の番組、どう思いますか。

 テレビを見る人は減っていますよ。つまんない番組も多いし。特にバラエティーは。出演している俳優やお笑いタレント、歌手の層が薄いんでしょうね。そこが番組制作側の最大の苦労点でしょう。テレビ業界も意外とつらい職場でして、よほど好きでないともたない。最近は若い人も減っています。視聴率もさらに細かな数字が出るようになって、シビアになりそうです。

−−今はラジオやBS放送の出演が中心ですね。

 気楽ですよ。もともとTBSでアナウンサーとしてラジオで育った人間ですし。今は、たまにテレビに遊びに行くという感じです。特にラジオは何をしゃべっても、どこからも何にも言ってきませんからね(笑い)。政治家やNHKの悪口なんか結構やってますよ。NHKのある番組の悪口をしゃべってたら、最近、その番組がだんだんとよくなっている気がします。聴いてくれているのかな?

 BSも地上波と違って、人間の呼吸に近いゆったりしたリズム感で作れますから。地上波はいろんな意味で回転が速すぎ。その点、BSは人間的だと思います。昔と違ってテレビの選択肢が広がったことはいいことですよ。

 今年は8月15日が土曜日で、ラジオの生放送の日なんです。さて、どんな内容にしようか。終戦70年ですしね。ちょっと、プレッシャーを感じています。


 ■人物略歴

くめ・ひろし

 1944年生まれ。現在のレギュラーはTBSラジオ「久米宏 ラジオなんですけど」(土曜午後1時)とBS日テレ「久米書店」(日曜午後6時)

 

 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。