こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『冲晴くんの涙を殺して』額賀澪

2021-05-01 19:57:32 | 読書感想
 
踊場京香の葬式から物語は始まる。

志津川冲晴が京香と初めて会ったのは、彼女が余命1年の宣告を受けて実家の階段町に戻ってきた日だった。
当時、冲晴は東北で起きた大災害で家族を全て亡くし、京香の実家近くの古い一軒家で一人暮らしをしながら、地元の高校に通っていた。
さらに、京香の祖母が営む喫茶店で朝食を食べ、弁当を作ってもらっていた。

実は、冲晴は家族を失って以来、喜び以外の感情を失い、代償のように頭脳・運動能力が高くなり、しかも、怪我の治癒力も常人離れしていた。
彼は、死神と取引をしたと言うのだ。

それが、京香に出逢った事で、冲晴に変化が現れてきた。

この設定だと単なるお涙頂戴の物語になりそうなものですが、冲晴も京香も等身大の自分を表しているせいか、読みながら人生や死について、現実的に考える気持ちになりました。
それでも日常生活は営まなくてはならないのですから。

私は、この物語がとても好きです。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 小倉井筒屋ローズガーデンにて。 | トップ | コミックス『魔王引退II』遠... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書感想」カテゴリの最新記事