駐車禁止にしておいた土地の話

余っている土地がある。正直狭くて使い道がない。ときどきどこかの不動産会社が｢余った土地があったら活用のお手伝いをします！｣とか営業かけてくるので｢じゃぁそこの土地の使い道あったら提案して｣と返事をするのだが、今まで二度目の訪問があった不動産会社営業は一人もいない。狭くて細くてなまじっか横断歩道に近いので車の出入口に使えるスペースも少ない。いいとこ縦列駐車で二台しかおけず、二台置くと一台目が出られない細い土地なため、有料駐車場でさえ使いづらいからである。ついでに言えば隣接の土地の持ち主が以前父と揉めて｢俺の目の黒いウチはkんとこの良くなることはさせない｣を公言しているので近所との調整も難しい。しょうがないので固定資産税を払いつつ親せきや個人的な来客の駐車スペースに使っている。

以前はそのまま土地は野ざらしにしていた。すると、勝手に誰かが駐車してくる。少しくらいならわたしもガタガタ言う気はない。気持ち遠慮気味に近所の食堂で食事をするために駐車したり、どうしても有料駐車場が空いていないので悪いと思いつつ一晩だけ停めたり･･･と言った心境を自動車の所有者が持っているのならまぁしょうがないか、くらいに思っているのだが、問題は定期的に土地を乗っ取りに来る輩がいることである。放っておくと毎日毎晩同じ自動車が駐車していることがままあるのだ。二～三日ならともかく一か月も二か月も昼間はいないのに夜になると必ず駐車されている、という現象が繰り返される。まるで自分の土地扱いなので、そりゃわたしも怒る。それ以上にこのままだと実質支配されかねない。なので現在は｢駐車禁止｣のカラーコーンを置いている。効果は抜群でそれ以降勝手駐車はあっても一晩くらいになった。それに伴って昼間ちょっと駐車する人もいなくなったが、これは仕方ない。ご近所の食堂には悪いが、一番悪いのは不届き者だ。

ただ、親せきや個人的来客はもちろん見ず知らずの人であってもちゃんとわたしに断りを入れ、一日くらいなら駐車してもいいことにしている。近くにアパートがあってそこの管理会社が話を入れてきたのだ(この際｢だったらアパートが駐車場にウチの土地を借りてよ｣と交渉したが、やはり数がいれられないとのことでまとまらなかった)。価格は時間に関係なく一律500円。もちろん収入として申請している。正直固定資産税の足しにするにも少ないので別に払わなくても、とも言ったのだが、支払いがあったほうがあちらとしても堂々と利用できて精神的にいいのだそうだ。主に利用しているのはアパートに定期的にやってくる清掃会社である。

で、ある日。うちの郵便ポストに｢駐車させていただいたので、駐車料お支払いします｣とともに現金500円の入った封筒が入っていた。いつもの清掃会社であったのは確かだが、普段は顔を出して払っていくのに封書？　まぁ面倒だったんだろうな、くらいに思っていた。翌日その土地の前を通ると、普段二個置いてある｢駐車禁止｣のカラーコーンが一つしかない。飛ばされたか？　そこまで強い風が近所に吹いた覚えはないのだけど･･･。その場を見るとカラーコーンにかぶせていた重し二つのうち一つが真っ二つになっていた。いったいなにが？　結構丈夫だし、買ってからそれほど年月は経っていないから経年劣化もまだ少ないはず。人間が蹴ったくらいじゃそう簡単に真っ二つにはならないだろう、自動車で踏んづければ別だけど･･･。

清掃会社が踏んだのかなぁ。

多分おいてあるカラーコーンをどかさずに自動車を入れようとして踏んづけ、カラーコーンがバラバラになったので回収、重しには気が付かず、バレないうちに封筒でお金払ってさっさととんずら･･･とかそんな感じだろうか。もちろん他の自動車が勝手に入って踏んづけた可能性も十分あるけど、少なくとも清掃会社の封筒が入っていた前日にはカラーコーンは二つとも土地にたっていたのでちょっとタイミングが良すぎる。もし清掃会社がやったとすると、500円じゃ割に合わない･･･。まぁいいけどね。駐車そのものは断ってやったわけだし、カラーコーンに関して攻めるつもりはない。ただ、一個しかないとまた無断駐車が入ってくる可能性もあるので、カラーコーンと重しを追加で購入しなければならなくなったのは少し懐事情からして痛い。今月はアレも買ってちょっとお金を使っているし気分的にもお金に関してシビアにある時期なので余分な出費はしたくなかったなぁと、ただそれだけ。