火の賜物―ヒトは料理で進化した | |
リチャード・ランガム(依田卓巳・訳) | |
エヌティティ出版 |
¥2,400+税 NTT出版 2010/3/31発行
ISBN978-4-7571-6047-7
ヒトの体はなま物を食べるようにはできてない、ということだな。
逆に言えば、痩せたければナマで食え、と。
36頁の、「12歳のころヤノマモ・インディオに誘拐された」って、ヤノマモってヤノマミのこと? 違うかなあ…。
50頁、北極圏でのヴィルヒャルマー・ステファンの記録。
タンパク質だらけの食事が続くと、食べる量がどんどん増え、一週間ほどで当初の3倍から4倍重量の肉を食べている。飢餓とタンパク質中毒の症状を呈する。食べ終わるたびに空腹を感じ、下痢が始まり、そして死ぬ。脂肪を摂るまで治まらない。
タンパク質中毒!
食べてすぐに空腹っていうのは、『アグルーカの行方』を思い出すなあ。写真を見る限りでは、脂肪は十分摂っていそうだったけどな。
56頁。
毎年食中毒被害がいっぱい起きるのは、私たちの祖先が日常的に肉を料理していたために、生肉にいるバクテリアに弱いまま進化したかららしい。
きっちり料理しろよ、ってことだな。
65頁。
> エミュの卵を空中に放って、殻を壊さずに中身を混ぜる。それを熱い砂か灰に埋め、二十分ほど均等に熱が伝わるように何度かまわす。
そ、それは「たまごまるごとプリン」ではないか!
216頁。注釈:第三章注10.
ブドウ糖の鎖にはアミロペクチンとアミロースの二つがあり、アミロペクチンは消化しやすい。
アミロースは消化しにくい。ということは、ダイエットに向いているということだ。
つまり米より小麦粉、小麦粉より豆を主食にするといいってことか。
ところで、ヒトをヒトたらしめたのは料理である、という本書の主題であるが、似たテーマで思い出したのは、島泰三。「口と手連合仮説」を謳う『親指はなぜ太いのか』がたいへんおもしろかった。島の主張は、初期人類はボーン・ハンティングをしていた、というもの。これも説得力があった。
この説についての言及が、215頁注釈:第二章注26にある。
「獲物の動物の骨に残る切り傷から考えると、骨髄だけだったとは考えにくい」とのこと。
んー、どっちが正しいかは私にはわかりっこないから、気楽なもんだ。学者さんたちは侃侃諤諤の議論を戦わせていることであろう。それも楽しそうだなあ(笑)。