「お菓子でたどるフランス史: 池上俊一」
「嘘だらけの日仏近現代史: 倉山満」(Kindle版)
週に1度のフランス語の授業。今日は夜7時から2時間の予定だ。2人の生徒は旅行に行くと、たいていお土産を買ってきてくれるので申し訳ない。
何かお返しをと思って買ったのがこの2冊。初級とはいえフランス語を習っているのだから、フランス史は知っておいたほうがよいだろう。僕も読んでみたいので、短い時間で読めて面白そうなものをと探して見つけた本だ。自分のぶんも含めてそれぞれ3冊ずつ購入した。
「お菓子でたどるフランス史: 池上俊一」
内容紹介:
世界一の国になるには、素敵なお菓子が欠かせない!と考え、その甘い武器を磨いてきた国、フランス。ジャンヌ・ダルクやマリー・アントワネットが食べたのはどんなお菓子? 歴史を変えた伝説のパティシエとは? あの文豪もスイーツ男子だった? お菓子の由来も盛りだくさん! 歴史もしっかり学べる、華麗であま~いフランス史。[カラー口絵4頁]
文化立国フランスを彩る数々の宝刀の中でも、ひときわ輝きを放ち、世界の人々を甘く魅了してきた「お菓子」。それは教会や修道院で生まれ、やがて王や貴婦人たち、そしてブルジョワや文豪、パティシエたちによって、戦略的に磨かれてきた。フランスの歴史をその結晶であるお菓子によってたどり、フランスの「精髄」に迫る。大人気!!東大講義。「パスタでたどるイタリア史」につづく第2弾!
2013年11月刊行、240ページ。
著者について:
池上俊一: ウィキペディアの記事
1956年、愛知県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。専門は西洋中世・ルネサンス史。
池上先生の著書: Amazonで検索
岩波ジュニア新書の1冊。ジュニア版とはいえ侮ってはいけない。フランス史もちゃんと学べる本のようだ。Amazonのレビューも良く、次のようなタイトルで感想が投稿されている。
- タイトルがお菓子だけに甘くみておりました。
- 文化の粋としてのお菓子
- フランス菓子の背景がわかりやすい!
- 楽しくしっかりとフランスの歴史・文化・社会が学べます
- 奥が深い!
- 至福の時間
- まさにフランスの美しいお菓子みたいな完成度の名著!
- 歴史や文化を身近に感じながら学べる
- フランスの精髄
目次は以下のとおり。
序章:お菓子とフランスの深い関係
1章:キリスト教信仰と中世の素朴なお菓子
2章:略取の名手フランス
3章:絶対王政の華麗なデザート
4章:革命が生んだきらぼしのごとき菓子職人
5章:ブルジョワの快楽
6章:フランスの現代とお菓子
「嘘だらけの日仏近現代史: 倉山満」(Kindle版)
内容紹介:
日本人の「フランス大好き」幻想を打ち砕く。
◆シリーズ累計35万部!
学ぶべきはフランス革命やナポレオンではなく、
マザラン、タレイラン、ドゴールだ!
日本人が思い描くフランスとは「優雅な美しい国」だが、それはあくまでも「ベルばら」やナポレオンを美化したフィクションの話。その実態とは何度戦争に負けても懲りず、ときにはおかしな連中が暴れまわって王様を殺す「雑な国」だ。とはいえ、近代国家の嚆矢ともいわれるフランスには戦争に負けても勝ち組にまわるしたたかさがあった……。日本人が学ぶべきは、無益な殺し合いにすぎないフランス革命や美化されたナポレオンではなく、1648年にウェストファリア条約でフランスを大国に押し上げた宰相マザランであり、1815年に敗戦国なのに講和会議を仕切った名外交官タレイランであり、1945年にフランスを滅亡から救った大政治家ドゴールである。日本人がいつの間にか抱いている“フランス大好き"が、実は幻想であったと気付かせる著者渾身の一冊。
◆主な登場人物(ヘンな人、かわいそうな人編)◆
シャルル七世(ジャンヌ・ダルクを見殺しにした王様)
フランソワ一世(異教徒と手を組んだヨーロッパの裏切り者)
ジャン・カルバン(ヨーロッパ中に宗教戦争をまき散らした元凶)
ルイ十五世(“ヤリ部屋"ならぬ“ヤリ館"を「鹿の園」と名付けたヤリチン)
ルイ十六世(アメリカ独立戦争を勝利に導いた名君なのにギロチンで死刑)
ロベスピエール(ルソーを盲信した殺人鬼)
ナポレオン(ヨーロッパの大悪党)
2017年3月刊行、277ページ。
著者について:
倉山満: 公式サイト: http://office-kurayama.co.jp/
1973年、香川県生まれ。憲政史研究者。1996年、中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程を修了。在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤研究員として、2015年まで同大学で日本国憲法を教える。2012年、希望日本研究所所長を務める。同年、コンテンツ配信サービス「倉山塾」を開講、翌年には「チャンネルくらら」を開局し、大日本帝国憲法や日本近現代史、政治外交について積極的に言論活動を展開している。
倉山さんの著書: Amazonで検索
評価が賛否両論、好き嫌いが二分される研究者による本だ。僕はこれまでに次の2冊を読んで感想記事を書いている。リンクをクリックすると紹介記事が開く。
「常識から疑え! 山川日本史 近現代史編 上 「アカ」でさえない「バカ」なカリスマ教科書」
「常識から疑え! 山川日本史 近現代史編 下 「研究者もどき」がつくる「教科書もどき」」
倉山さんの考えに賛同するかどうかは別として、いろいろな視点で物事を見るのもよいだろう。フランス史初心者向けの本ではないから、上で紹介した「お菓子でたどるフランス史: 池上俊一」をお読みになってからのほうがよい。
Amazonのレビューも賛否両論に分かれている。
良い評価をつけている方のレビュー・タイトル
- 筆者の久々のシリーズもので、最高の出来です。
- 推薦図書♪
- 優雅なフランス美しいフランスは 異常であった
- おフランスは狂気の国?!
- フランス革命の狂気が分かり易く記された一冊
悪い評価をつけている方のレビュー・タイトル
- タイトル通りの本
- ステレオタイプ化したフランスバッシング
- 良くも悪くもアメポチ倉山満が放つアメポチ保守の本
章立ては次のとおり。
第1章 フランスらしきものの胎動
第2章 宗教戦争と主権国家の誕生
第3章 世にも恐ろしいフランス革命
第4章 五大国によるウィーン体制
第5章 フランスから見た日本
第6章 ドゴールに学べ
ところで昨夜のワールドカップはフランスがウルグアイに勝利した。次の試合は準決勝で7月11日午前3時から。(日本時間)対戦相手はベルギーだ。残念ながら日本は敗退してしまったから、フランスの優勝を祈ることにしよう。
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英文タイプライターも日本のメーカーだとキー配列が違ってくるのですね。当時開発にかかわった人たちが工夫をこらしたのだと想像しています。詳しく調べてくださりありがとうございました。おまけにコメント欄はテキストしか入力できないのに、配列まで視覚化していただき恐縮です。
僕の元同僚(いまは友人)は富士通出身で、新入社員研修では親指シフト入力は必須だったそうです。慣れると入力がすごく早いよと言っていました。
HERMES BABYの英語用とフランス語用の違いを調べられるとは、シャポーです。私もどこか気になっていました。
それではと、私はHERMES BABY英語用と日本のタイプライター ブラザーヤングエリート下記(冬野の物)を比べてみました。
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→ Q W E R T Y U I O P 1/4
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QWERTY配列のアルファベットはZとYが入れ替わっている他は同じです。
記号類はかなり異なっていてパソコンのキのーボード配列も記号類は色々ですね。
数字の「1」は小文字の「l エル」を使用でしょうか。
大学時代に投稿論文作成でIBMの電動タイプライターを使いました。印字部が球状のタイプボールで、タイプするとガシンガシンと大きな音がしました。
なお私のキーボード遍歴は、エプソンのHC-88のタッチタイプ→OASYSの親指シフト→QWERTY配列と変わりました。
タッチタイプ、親指シフトも良かったのですが、回りと合わせざるを得なくなりQWERTY配列です。
言葉を正確に表記するのは大切です。しつこいと相手が感じたとしても、一般公開される展示物の解説ですから正確にしたほうがよいと思います。コメントを書いたのは、きっとお若い方でタイプライターの操作に使われる用語を知らなかったのでしょうね。「入力」という言葉は可笑しいです。
フランス語仕様にすることで、何か打てなくなった文字があるのかな?と気になったので英語仕様のものと比べてみました。
HERMES BABYの英語仕様
https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/a4/161d1299fe7e9e8744ef00972900a47e.png
見落としがあるかもしれませんが、以下のことに気が付きました。
英語仕様には「1/2」がある。しかし「;」がない。
フランス語仕様には「;」はあるが「*」、「+」がない。
Reありがとうございます。
そうです、このHERMES BABYのフランス語仕様でした。正にこのボディーカラーです。
「没後30年 桑原武夫展」は3度行きました。
桑原武夫さん愛用のフランス語タイプライターのコメントが1度目はただ「愛用」のみでした。帰りがけに窓口の方にフランス語専用なので、コメントを付けるとよいと話して帰りました。2度目はコメントは追加されていましまが、「フランス語タイプライターで入力」と電子機器のデータ入力の様な表記なので、「印字」か「タイプ」が良いのではと伝えました。3度目に見た時は、「フランス語タイプライターで印字」になっていました、しつこかったでしょうか。
桑原武夫さんの「チョゴリザ」は中学の頃初読でしたが、今回再読しました。チョゴリザ登頂までは緊張感一杯の文章ですが、登頂後はガラッと砕けてきて、その空気感が想像出来て苦笑してしまう箇所もしばしばでした。
上記の中学の時にモーリス・エルゾークの「処女峰アンナプルナ」も読みました。そのとき「フランス関係は、なんて文章が上手いのだろう。」という感想を持ったのを覚えています。
電卓や機械式計算機だけでなくフランス文化好き(というか黒木華好き?)という点でも僕と共通項があるのですね。
もし近くで開催されていたとしたら桑原武夫展には、僕も行ったと思います。
「没後30年 桑原武夫展」のご案内
https://www.aack.info/ja/news/2018/2018-11-Kuwabara-fukui.html
フランス語固有の文字が打てる機械式タイプライターは意識したことがありませんでした。HERMES BABYとはこれのことですね!
HERMES BABY
https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/e3/266a4831c397f91457ec8f8af71f586b.png
話は変わりスタンダールの「赤と黒」の翻訳で知られる桑原武夫氏の「没後30年桑原武夫展」を見てきましたが、桑原武夫氏が使っていたフランス語タイプライター HERMES BABYが展示されていました。一番上の列がフランス語特有の活字になっていて、例えば「9キー」の下がセディーユになっていました。
(CURTA Type 1 冬野です。)