ゴンに、見守られながら、本日は、
『秋の茅刈り』です。『肥えぐろ作り』です。
場所は、たびたび登場する、86才の叔母さんの、山の上の集落です。
お手伝いに、近所のお友達が、三人来て下さってました。
お友達も、高齢者予備軍、もしくは、立派な高齢者!
去年も、今年も私は参加させて頂きました。
昔の農家の方々から、受け継がれた、『生きる為の知恵』が、ビッシリと詰まった、農家の四季。
伸びた『茅』
を草刈機で、Tさんちの、おっちゃんが、刈っていきます。
茅は、直径30センチ位に、束ねていきます。この束ねる作業が、1番大変です。今日も、太陽はギラギラと照り付け、時折、風が渡る程度でした。
大量の束ねた茅を、長さを揃えながら、タワーにしていきます。
基本は、タワーの中に雨が入って、腐らないように、最初は基礎をシッカリと三束、立てます。
それから、形を整えながら、一番最後の囲む部分に、長い茅を使います。
『雨』が入らない為です。頭になる、部分は、丁度、女性のアップにした髪を、オダンゴにするように、クルッとまとめます。
回りを、キツーク縛って、一つの肥えぐろが、完成します。
一年中、利用できる、全く無害の堆肥!
凄い!脱帽です。
おばちゃん、おばあちゃんが、カマを腰に吊って、この作業を、しなやかに、繰り返すんです。
私の多くの質問に、答えながら…?
『なあーなあー、おばちゃん、コレッて、いつからしよん?』
『肥えぐろか…サア~、わたしら嫁さんにきたときから、しよったきん、昔からしよんだろうのうや~』
『なあーなあー、西〇のおばちゃん、肥えグロって、漢字でなんて書くん?』
『菜菜子さんよー、わたしみたいなアホに、読み書きのことや、聞かれん~わたしは、アホじゃけん、なんちゃあ、知らんわ~百姓しか、できんわ~』
『おばちゃんは、アホじゃないよ。凄いよ!いくら大学卒業しとっても、百姓できな、生きていけんよ。どんな、時代になるか、解らんよー、これからは!』
『そんがに言うてくれるの、菜菜子さんだけじゃわー』
『犬よ!いぬよ!一緒にきたか♪』
『ねえさんよー、その犬、ゴンって言うんじゃと!』
『ゴンか、わたし名前しらんきん、さっきから、イヌって、よんびょった!知らん顔した筈じゃのう』
『ねえさんも、このあいだから、日に日に、茅刈で、儲けよるのうやー、銭も貯まるのうやー』
『銭は貯まらんぞよ。米、買う位のことよ』『米は、そんがに食べまいがえ。一人だったら、いるまいがえ』
彼女達の話しを、背中で聞きながら、
町で暮らす老人の方々も、こんな、素敵な時間があれば、どんなにシアワセだろうって、思ったんです。
『祖谷』に生き、四季折々の農作業を繰り返し、ひとつ、ひとつ、深いシワを重ねながら、彼女達は、束ねた『時』を積んでいくんです。
『欲望』『プライド』『政権』『利益追求』なーんにも、動じない。彼女達が、嬉しいのは、茅が柔らかい時、ジャガ芋が、病気にならなかった時、そして、回りの友達の、元気な顔を見れた時。
焼け付いた背中に、
秋の風が、吹き抜けた。
『涼しーい、シアワセー』って叫んだ私。
今日も、一日、頑張った。
シアワセ?
んーー?
『皺合わせ?』
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